不動明王伝:ゲーム作品紹介

基本情報

不動明王伝

 

機種:ファミリーコンピュータ(ロムカセット)
発売:タイトー
開発:トーセ
プレイ人数:1
発売日:1988年3月29日
価格:6,195円(税込)
ゲーム経過記録方式:パスワード&コンティニュー
ゲームジャンル:2Dアクション

 

 

ゲーム部分のベースは同社作品「影の伝説」をモチーフに

 

ファミリーコンピュータ用タイトル「不動明王伝」はサイドビューの2Dアクションに8方向にスクロールするフィールド、飛翔距離の高さと慣性が大きくかかる特徴的なジャンプ操作に刀と手裏剣を用いた2タイプの基本攻撃など、同社のヴィンテージゲーム「影の伝説」をベースとしつつ、更にアイテムや法力システムなどの新たな要素も加えた実質的な後継作品と仕上がっているアクションゲームだ。

アクションゲームとしてのシステムもある程度共有した部分を持ってはいるが、物語の背景が大きく異なることもあり、両作品間にストーリー的な繋がりは一切ない。だが、その中身はより家庭用アクションゲーム向きなバランスの作品に仕上がっている。

 

 

不動明王の血を継ぐ青年アシュラナータの活劇。ヒロイン役は…

 

不動明王の血を引く青年アシュラナータを操作し、天下支配を目論む黒翁とその配下の十二邪鬼を打倒し、さらわれた巫女の小夜の救出と、十二邪鬼によって奪われた七支刀と宝珠の回収が本作の目的となる。

 

タイトー作品に登場する小夜という名前の巫女のキャラクター、と聞くとピンと来る方もいるかもしれない。実際その通りのようで、本作の救出対象となる小夜は同社作品「奇々怪界」からの同名キャラによるゲスト出演とのことだ。

ファミコンにとっても奇々怪界という作品は無関係ではなく、本作発売前年にはディスクシステム用タイトルとして同名アーケード作品をアレンジした「奇々怪界 怒涛編」が登場している。ジャンルこそ同じアクションゲームでありながらゲームデザイン自体は本作とは異なり、どちらかといえばシューティング要素の強い作品に分類されるがタイトー作品に興味がある方にはこちらも必見の1本だ。

 

 

 

広大なマップと手ごわいボスが待ち受ける計13ステージ

 

本作のステージ構成は1ラウンド辺り4エリア制の計3ラウンドにラストステージを加えた全13面。各エリア共に道中では絶えることなく黒翁配下の敵キャラクターが縦横無尽に急襲し、エリア最深部には各ステージボスが待ち受ける。

ラウンドクリア毎に少しずつ元の姿を取り戻していく七支刀と各種アイテムを駆使しながら敵を退けつつ進めていくことになるのだが、同時に落下すれば即死といった地形トラップもそこかしこに登場するため、少し前へと歩を進めるにも一筋縄ではいかない。

 

 

多彩なアイテムが道中、アシュラナータの助けとなる

 

道中敵の激しい攻撃に対抗する上で、本作には多彩なアイテムが用意されている。入手方法は敵を倒す事で出現するものから般若門から通じる天国界、もしくは地獄界で入手するものなど。

アイテムも必要な場面で自動的に効果を発揮する自動アイテム、取った瞬間にすぐ効果が発生する即効アイテム、セレクトボタンで切り替えて使用するセレクトアイテム、ストック可能で一度使うと消費する単発アイテムなど効果、用途に分かれて複数の種類が存在する。

 

40種類以上ものこれらアイテムを戦略的に使うことで、道中攻略の大きな助けとなることだろう。中でも被弾一発アウトな本作においては、その生命線となる変わり身の術は常に複数持っておかないと不安になること必至だ。スコア制のアクションゲームらしく、中には獲得時に1万点ボーナスが入るだけ、といったアイテムがある辺りもスコア制がまだまだ主流だったこの当時のアクションゲームの味わいを感じさせる。

 

ファミコン史上初の「3Mビット」アクションゲーム

 

1本のゲームソフトに使用できる容量の制約も厳しかった当時のゲームソフトにおいて、本作「不動明王伝」はファミコンタイトル史上初の3Mビットを起用したアクションゲームとして知られる事がある。

ではこの3Mビットという容量が一体作中のどういったところに主に使われているか、となるといかんせん専門外なので明言こそできないが、プレイ中ざっと一見してみれば随所で演出に力が込められている箇所がそれとなく見られる。

 

個人的に目を惹いたのはタイトル画面。梵字のテキストが画面下部から上段へと流れていった次の瞬間、揺ら揺らと燃え上がる炎をバックにSTART CONTINUEの2項目が現れる― といった構成はシンプルながらも力強さを感じられてとても印象的だ。

  

大容量を余すところなく利用? 広大なステージマップデザイン

 

一方ゲーム内ではなんといっても1ステージ辺りの広大なマップボリュームにその容量はほぼ充てられていると考えられる。基本的に本作はステージクリアのためにボスを探してずんずん進むことになるのだが、アシュラナータの身軽な移動速度をもってしてもとにかく広い。

アクションゲームとしての1ステージ辺りのマップの広さとしてならば数あるファミコンタイトルの中でも群を抜いているのではなかろうか、というほど。実際に触ってみた方はまだ1面なのに中々ボスが見えてこない…と驚くかもしれない。

 

基本即死の高難度、アイテムの充実を図るのが攻略への近道か

 

本作を何の気なしに始めてみた、といったプレイヤーにとってまず目の当たりにするであろう点は、操作キャラであるアシュラナータの攻撃判定の頼りなさだと思われる。

特にニューゲームで始めた場合、序盤はメイン武器の七支刀も未完成な状態のままで取り分けリーチが短く、同様にもう1つのメイン攻撃となる手裏剣もあまり遠くまでは届かず― とどちらの攻撃手段も敵の撃退に対しては若干心許なさを覚えやすい。

そこで開始直後は慎重に敵を倒して先述の身代わりの術をストックしながら、鍵を手に入れて般若門から天国界や地獄界に入場し、各種アイテムを揃えていきたいところ。アイテムが揃ってくれば大幅に戦いやすくなるので、その後に少しずつ本作のゲームバランスに慣れていくといいだろう。

  

2Dアクションのじっくり攻略が好きな方に

 

ファミコン向けの一アクションゲームとして観るならば、本作の完成度は高い水準にまとまっている。クセの強いジャンプや敵の容赦ない攻撃など、全体的に高い難易度を持つ不動明王伝の計13エリアを踏破するのは容易ではないが、反面本作のゲームバランスに慣れてくれば俄然攻略し甲斐が出てくるゲームへと昇華する可能性も秘めている。

パスワードコンティニューシステムを導入しているため、大まかながら途中経過の記録も一応可能。またストーリー的な繋がりこそないが、同じアクションシステムを持った影の伝説をやったことがある方にこそ本作は必見だ。