©Flynn’s Arcade all rights reserved
©Copyright 2025 Bortbyting AB
基本情報
タイトル | Flora & Fang: Guardians of the vampire garden |
対応機種 | Steam,Nintendo Switch |
販売 | Bortbyting AB,Flynn’s Arcade(Switch版) |
開発 | Magnus Fredriksson |
発売日 | 2025年5月22日(Steam版),2025年7月10日(Switch版) |
対応言語 | 英語
Nintendo Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみプレイが可能。ただし、一部ソフト内で言語を変更できる場合有り。 |
備考 | IARCレーティング:7+(暴力(軽度))
ローカル2人同時プレイに対応 ※日本語非対応(ゲームプレイ自体に大きな影響はなし) |
作品概要
「フローラ・アンド・ファング・ガーディアンズ・オブ・ザ・バンパイアー・ガーデン」(「Flora & Fang: Guardians of the vampire garden」)はスウェーデン・キルナを拠点に活動するアニメーター兼映像作家であるMagnus Fredriksson氏が制作を手掛けるゲーム作品。Steam版はBortByting AB(開発者のパブリッシング担当時の名義)からのリリースで、Nintendo Switch版はFlynn’s Arcadeがパブリッシングを担当。
本作は画面固定方式のアーケードプラットフォーマー。プレイヤーは吸血鬼の兄妹であるフローラ、あるいはファングを操作して住居の敷地内に現れた多数の害虫たちを殺虫剤で撃退していく。
ハロウィンを彷彿とさせる吸血鬼、闇夜をモチーフにした雰囲気が特徴で、ローカルの2人同時プレイに対応。ワールド&エリア方式から成るステージ構成、ゲーム内コインと引き換えに強化アイテムが購入可能なショップシステムなどが見られる。
Steamではワールド1を丸々プレイできる体験版が配信中だ。
リンク:Magnus Fredriksson(Official Site)
リンク:Flynn’s Arcade(X(Twitter))
ストーリー
(※ゲーム内プロローグ部分より要約)
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暗闇と月明かりの空の国、狼とフクロウが子守唄を歌う場所。 そこでは、”園芸において右に出るもの無し”、と遠くまでその名を轟かせる二人の幼い兄妹が暮らしていた。
ある時、父親は二人を呼び寄せてこう言った。 「子供たちよ。父さんは出かけなくてはならない。 草花たちを守っておくれ。それだけが父さんの頼みだ。 あの子たちの安全を守ること、それを一番大事にしてほしい。」
月が高く昇り、夜が近づくにつれ、’ブンブン’と響き渡る羽音が恐怖を掻き立てる。 虫の大群の侵入を許したことで、彼らの庭は脅威に曝されていた。 花たちを守らなければ―!
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操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
上下左右ボタン | 移動 |
Lスティック | 移動 |
Lボタン | トラップアイテムの切り替え |
ZLボタン | |
-ボタン | コントローラー接続を切る |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | |
Aボタン | 決定/トラップの使用 |
Bボタン | ジャンプ |
Yボタン | 殺虫剤を使う |
Xボタン | 拾う/捨てる |
Rボタン | トラップアイテムの切り替え |
ZRボタン | |
+ボタン | ポーズ、(2Pプレイ時)ゲームプレイ参加 |
ゲームの進め方
各ワールドはそれぞれ10前後のステージで構成されている。プレイヤーは1つずつ順にステージを攻略していき、最後のステージに待ち受けるワールドボスを倒す事で新たなワールドへと挑むことができる。
プレイヤーのアクション
ジャンプ
Bボタンでジャンプが発動。トラップアイテムに1種類以上のストックがある場合は、ジャンプ後にアイテムを取り出して持ち上げる動作を取る。(持ち上げた状態のままもう一度ジャンプするとアイテムは収納される)
また、ジャンプ後にボタンの長押しをしたまま特定の足場に乗っかると、通常ジャンプの時とは異なる反応が返ってくる。
例えば、泡に向かってジャンプすると通常であれば割れてしまうのだが、ボタンを長押ししながら上に乗る様にジャンプする事で着地時に足元の泡が割れない状態が維持される様になる。そのままボタンを長押ししている間は、足元の泡の上で連続で跳躍を続ける事が可能だ。
長押しジャンプは一部のステージ攻略において重要なテクニックとなるので是非習得しておこう。
殺虫剤を吹きかける
Yボタンで殺虫剤の噴射攻撃を実行。フローラ、ファング兄妹にとって直接攻撃が可能な唯一のアクションだ。
発射可能な方向が真上に限定される点や射程の短さ、左右の攻撃幅なども含め、360°方向から向かってくる害虫達をこれ一つで相手にするのは少々心許ない。
殺虫剤は各種パワーアップアイテムの入手を介してごく短時間ながら強力な攻撃が可能となるので、出現時はなるべく見逃さないようにしたい。
持ち上げ/捨てる
保護対象であるカボチャや各種トラップアイテムは、キャラを重ねてXボタンを押すことで持ち上げて運ぶことができる。
ただし、この状態の時は両手が塞がる関係で殺虫剤を扱えない無防備な状態となってしまう。ピンポイントで害虫に狙われると元も子もないので、安全な場所へと迅速に移すかその場に降ろしてしまおう。
ゲームシステム
カボチャ(保護対象)
ストーリー上は庭の草花たちを守る、という役割を父親から仰せつかっているフローラ、ファング兄妹ではあるが、ゲーム内においてはこの設定は”カボチャを守り抜く事”一点に集約されている。
各ステージには3~5つのカボチャが必ず配置されている。ステージクリアの条件は、1つでも多くのカボチャを虫たちに奪い取られないよう死守する事がステージクリアのための条件となる。
カボチャを守るために
カボチャへの被害は敵に持ち去られる、という内容だけに限らず、近寄ってきたシャクトリムシに齧られたり、赤黒色のクモ等の”火を噴くタイプの敵”によって炎で燃やされたり、といった色々な要因がある。
特に燃え上がったカボチャについては、火が付いたまま何もせずに放置していると焦げたり大きな欠けが出来たりと目に見える被害が生じてしまう。対策としては、カボチャが炎上状態に入った直後に素早く持ち上げて、すぐに落とすことで消化することができる。
こういった被害に対して有効なのがなるべくステージ内のカボチャを一箇所に集めて、虫たちの動きを注視しておく事。安全を確保した上で、接近を許さないように心がけて立ち回ってみよう。
害虫の倒し方
殺虫剤を使った害虫の撃退方法は、大まかに2つの工程に分かれている。
まずは殺虫剤を相手が無力化状態に陥るまで当て続けること。敵のタイプや殺虫剤の強化度合によっては1回当てるだけで即座に無力化状態になる場合もあるが、基本的にはスピーディーに2~3回程度吹き付ける必要がある。
耐久度が高い虫の場合、中途半端に命中させたまま放置しておくと時間経過で立ち直りを始めるので、囲まれている時でなければ素早く無力化まで追い込んでおきたい。
全身が殺虫剤の煙に包まれてふわふわと浮かび出したら無力化成功。この状態になった時に、体当たりを加えることで初めて倒すことができる。効果が不十分なまま体当たりを加えようとすると逆にこちらがダメージを負ってしまうので、相手が無力化状態になっているかどうかをきちんと確認すること。
ただし一部の虫にはこの状態になると上空高くへと飛んでいくようになり、体当たりを狙おうにもジャンプで届かない高さまで舞い上がっていってしまう事態に陥ることも少なくない。
コイン
各害虫を撃退する毎に、1~複数枚のコインが出現。入手時に1つにつき50点のスコアが加算される。
また、コインは単なるスコアアップのためのアイテムに限らずゲーム内通貨の役割も兼ねており、各ワールドのショップ型エリアを介してアイテム購入の資金に充てる事ができる。
クリアリザルトについて
各ステージクリア後、クリア時のライフ残量や残ったカボチャの数やコンディションに応じて、E~Sの計6段階によるクリア判定が行われる。
初クリア時には「YOU GOT THE STAR!」の表示と共に、★を1つ獲得。この★はトラップアイテムのアップグレードに利用する事ができる。
また、クリア時の評価が高かった場合は、リザルト画面に入る直前にステージ内に宝箱が登場することがある。中からはコインやスコアアイテムが大量に出現するので、ファングやフローラが時間経過でステージを脱出する前に素早く拾っておこう。
ボーナスゲーム
B、O、N、U、Sと書かれた5種類の風船を全て揃えると、進行中のステージがその場で終了し、強制クリアとなる。風船でステージを終えた場合はクリアリザルトが無効となり、評価判定が行われない。
また、クリア直後には以下の3種類のボーナスステージのいずれか1つが開始される。
(※以下で紹介しているミニゲームの名称は、筆者側で暫定的に付けた仮のものとなります。)
絵合わせ(神経衰弱)
縦3×横6の計18枚のカードを2枚順にめくり、同じ絵柄のものを揃えていく。揃った絵柄に応じてスコアボーナスやコインの獲得などの恩恵が与えられる。
3回目の失敗を迎えた時点で終了となるが、カードの状態は次回挑戦時へと持ち越される。
コイン拾い(陸上式)
左から右方向へと自動で走る猫をジャンプを駆使して、サボテンを避けながらコインを集めていく。
先に進むに連れて、画面スクロールの速度やサボテンの配置間隔が短くなるなど全体の難易度が急激に上昇していくため、長時間の耐久は難しい。
コイン集め(飛行式)
Aボタンでホバリング操作を行いながら、画面上空から無造作に降ってくるコインを集めていく。水面から下に落ちるか、時折画面内を飛行するハチに接触するとゲーム終了となってしまう。
いずれのミニゲームもコインを追加で獲得できたり、偶にアップグレードに必要な★を入手できる事があったりといった特典が得られる。参加の機会が巡ってきた際は手を抜かず、しっかりとプレイする事をおススメする。
アイテム
ステージ内アイテム
画面を蛇行しながら左右に横断していく幽霊型のモブキャラクターは、アイテムキャリアーの役割を果たしている。普段はコインを持っている事が多いが、偶にハート回復やショットを強化するアイテムを持っていることがある。殺虫剤で素早く撃ち落として、アイテムを頂こう。
ショップ販売アイテム
ショップではプレイ中に集める事ができるコインと引き換えに、トラップアイテムなどの特定のアイテムの購入が可能。以下では商品ラインナップを紹介。
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スーパースプレー
殺虫剤が強化される(1度のみ購入可能) |
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レッドスニーカー
移動速度が僅かに上昇(1度のみ購入可能) |
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ハート
ハートが1つ増加 |
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コインマグネット
コインを引き寄せられるようになる(1度のみ購入が可能) |
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アオガエル
アオガエルが頭上のハエを捕まえる(アップグレード可能) |
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スノーマン
スノーマンが近くの敵を撃ち落とす(アップグレード可能) |
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カボチャ爆弾
敵が運び去る際に起爆し、爆発を起こす(アップグレード可能) |
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虫の天敵
一定間隔で三方向のいずれかに自動で攻撃を行う(アップグレード可能) |
アップグレードが可能なアイテムについては一部のワールド内にアップグレード専門のショップが存在しており、ステージクリアやボーナスゲームを通じて集めた★と引き換えることで強化が可能となっている。
プレイ後の感想
(※今回、パブリッシャーであるFlynn’s Arcade様より本作のゲームキーを提供頂きました。この場を借りてお礼を申し上げます。)
ここまで紹介してきた様に、「Flora & Fang: Guardians of the vampire garden」は、庭を荒らす虫たちを殺虫剤で撃退しつつ大事なカボチャを虫害から防ぐ、といった内容のアーケードプラットフォーマーだ。
『吸血鬼兄妹が死力を尽くし、大事な畑を守るべく奮闘する』、という”牧歌的な営みを行うモンスター”のキャラ設定からはユニークさと愛おしさが感じられ、ドットグラフィックによる作中のキャラクターデザインもチャーミングで好印象を生み出すことに成功している。
殺虫剤が武器となるアーケードプラットフォーマーと聞いて筆者が真っ先に思い浮かべるのは「ドンキーコング3」だ。しかし、本作と実際に比較してみるとそのゲーム内容は大きく異なる。ローカル2人同時プレイへの対応や”上方向に向かって噴射が可能な攻撃アクション”という点を除くと、二作品間でこれといって共通した部分は見られない。
上述通り、ローカル2人協力プレイに対応している本作だが、作中の各ステージはこのプレイスタイルを基準に難易度が調整されているという印象を受けた。それもあってシングルプレイ時でのステージ攻略はかなり難しく、何度もゲームオーバーを味わう結果となってしまった。
しっかりと攻略に臨むのであれば、コインを集めてトラップアイテムのグレードアップを充実させていくのが正攻法となるのだろうが、各ステージではボーナスアイテムを揃える事で強制クリアが可能、といった救済要素があるため、上手く立ち回れなくても裏道的な攻略の道が用意されているのは嬉しい。
全編を通して画面中央とその周辺の一定範囲がブルーム効果演出で照らされる仕様となっているのが特徴で、この演出はゲームプレイ中”視界の狭さ”という制限となってプレイヤーに牙を剥く。各ステージ上においては演出範囲外の箇所は全て暗闇という扱いで、断崖があったとしても気づかずにうっかり落下してしまうといった事故も発生し兼ねない。
上記の件も確かに難易度を高める事に貢献している要素の一つではあるが、本作を難しいと感じさせる最大の原因は、敵キャラクターにあたる害虫たちとの交戦のし辛さにある。
カボチャを狙って上空や崖下、360°あらゆる方向から近寄ってくる虫達の習性や軌道の厄介さに加えて、殺虫剤そのものの射程の短さや攻撃判定の狭さもあり、序盤から登場する羽虫やクモ1つ取っても1匹辺りの対処に難儀することは必至だ。冒険が進むに連れて、”連続で3回命中させないと無力化できない”高耐久な虫や、”無力化した途端に体当たりが届かない高さまで浮き上がっていく”、等の厭らしい動きを取るものも登場するため、1ステージ辺りの攻略は更に難航を極めていく。
吸血鬼が主人公であることに併せての事か、作中では「闇夜」という設定がシステムにも食い込む形で大きく前に出て来ている印象は強い。反面、ステージのバリエーションは1ステージ毎に全く雰囲気が異なる景色が拝めるほどに多彩で華やか。
中でもワールド4は非常にユニークで、これまでの世界観が崩壊する勢いで全く毛色が異なる。少々ネタバレとなってしまうが、具体的には有名どころのクラシックアーケード作品ネタが込められたステージが展開していくといったもの。80年代アーケードゲームに幾らか精通していればすぐに元ネタが分かるものばかりなので、プレイ時には注目してほしいところだ。
これまで多数のクラシックアーケード風のインディーゲームをリリースしてきたFlynn’s Arcadeらしいパブリッシングタイトルで、ゲーム内のメタ的なネタも含めて偉大なる先のアーケードゲーム作品たちに対するリスペクトを込めた開発者からのラブレター的一作へと仕上がっている。
一人でも、協力プレイでも。それぞれの楽しみ方を持ったアーケードプラットフォーマー「Flora & Fang: Guardians of the vampire garden」を是非お試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 7.5 |
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良い点
- タワーディフェンス要素を兼ね備えたファンシーなアーケードプラットフォーマー
- 無制限コンティニューや揃える事で進行中のステージを強制的にクリア状態にするボーナスアイテムなど、攻略においてのサポート要素が充実
- 80年代アーケードゲームファンにとってはワールド4は特に必見
惜しい点
- シングルプレイで臨む場合、かなり難易度が高い
- 殺虫剤やトラップアイテムの性能が全体的に心許なく、特に後者についてはゲーム後半までは強化による効果の違いを実感し辛い
- ゲーム後半に進むに連れて、こちらの攻撃を命中させ辛いレベルで極端に身体の小さい敵が増量する
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