Slain: Back from Hell(スレイン バック・フロム・ヘル)- プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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2018 ©Digerati Distribution / ©Andrew Gilmour

 

基本情報

 

タイトル Slain: Back from Hell
対応機種 Steam,Nintendo Switch,X-box Series S|X
販売 Silver Lining Interactive,Digerati(XBS|X版のみ)
開発 Steel Mantis
発売日 2016年3月25日(Steam版),2018年3月1日(Switch版),2016年10月21日(XBS|X版)
対応言語 日本語, 英語, フランス語, イタリア語, ドイツ語, スペイン語, ロシア語

Nintendo Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみプレイ可能。一部、ソフト内で言語を変更できる場合有り。

(※Steam版では英語のみに対応)

備考 CEROレーティング:C(15歳以上対象)(暴力)
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作品概要

 

「Slain: Back from Hell」(スレイン バック・フロム・ヘル)はテキサス発のゲームディベロッパーSteel Mantisが開発を行うゲーム作品。イギリス・マンチェスターのゲームパブリッシャーSilver Lining Interactiveが販売を担当しており、Xboxシリーズ版においてはDigeratiがパブリッシングを務める。

本作のゲーム内容はサイドスタイルの2Dアクションゲーム。プレイヤーは主人公バートリンを操作し、平穏を脅かされた地カールフを舞台に悪魔の支配者ヴロール卿の下を目指して過酷な冒険を繰り広げていく。

 

Steam及びNintendo Switch両版において「開発」の項目に名を連ねている”Steel Mantis”はAndrew Gilmour氏が開発者として参加するプロジェクトで、本作以後にリリースされた「Valfaris」(ヴァルファリス)開発時のディベロッパー名義でもある。

これら両作品は、”世界観や音楽にヘヴィメタルの要素を取り入れた2Dアクションゲーム”という点で共通しており、コンポーザーとしてスイス発メタルバンド「Celtic Frost」のメンバーとして活動していた経歴を持つアーティスト、Curt Victor Bryant氏が参加している。氏が手掛けるBGMに加え、暴力的なゴア表現や緻密なピクセルグラフィックが織り成す禍々しくも美しいハードコアな世界は必見だ。

 

関連リンク:Andrew Gilmour(X(Twitter))

関連リンク:Silver Lining(X(Twitter))

関連リンク:Digerati(X(Twitter))

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン (上、左、右)武器の切り替え
Lスティック 移動
Lボタン 回避
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック 武器の切り替え

(※各種方向ボタンと同じ効果)

Aボタン 決定
Bボタン ジャンプ
Yボタン 攻撃
Xボタン 防御
Rボタン 神秘の波動/(スティック下倒し中)神秘の衝撃波(※ゲージ全消費)
ZRボタン
+ボタン ポーズ

 

ゲームの進め方

各ステージでは道中の一般エネミーを必要に応じて倒しながら進み、最後に待ち受けるステージボスを倒すことで出現する”転送門”をくぐると攻略完了となる。

チュートリアルステージにあたる「棘の森」及び「血塗れの塔」踏破後に、”楽園”と形容される非戦闘エリアへと移動。ここを拠点として、浄化が必要な各地域へと移動することができる。

 

“楽園”ではエリアの東西に幾つかの他ステージへ通じる入口が設けられているが、最初の内はロックされていて選択できないものもあるため、自然と攻略順は限られてくる。

初めて訪れた時点で新たに挑戦が可能なステージは「高原地帯」、「狼の森」の2つなので、まずはどちらかのステージ攻略を進めていこう。

 

アクション

 

ジャンプ

Bボタンでジャンプ。ボタンを押す強弱によって高度の調節がある程度可能となっている。

 

攻撃/溜め攻撃/弾き返し

Yボタンで装備中の武器による攻撃が発動。連続でボタンを押して行くことで、通常攻撃が最大三種類の技へと派生していく。

 

Yボタンを長押しする事で腰を落とす動作と共に溜め状態へと入り、一定のタイミングでボタンを離す事で溜め攻撃が発動。

鋼鉄の剣装備時は狼の闘気を全身にまとった鋭い一撃を放ち、通常技よりも高い威力のダメージを狙うことができる。

ただし、少しでもボタンを離すタイミングがズレると不発に終わってしまうといった扱い辛い一面もあり、狙って出すには繰り返しの練習が必要となる。

 

また、敵の飛び道具はタイミングを合わせて攻撃を放つことで撃ち返しが可能となっている。撃ち返した敵弾は相手に当たるとそのままダメージへと繋がるので一石二鳥だ。

相手の攻撃によっては一部、武器のタイプを特定のものに合わせないと撃ち返せないものが存在する。タイミングは合ってるのに上手く返せない、と感じた時は武器を切り替えて試してみるといいだろう。

 

武器の切り替え

左:「鋼鉄の剣」、中央:「炎の力を纏った剣」、右:「凍てつく戦斧」

バートリンが最初から扱える武器は初期武器にあたる「鋼鉄の剣」のみだが、ゲーム進行を通じて剣に炎や氷の力が宿されるといった形で武器の種類が追加される。入手した武器は方向ボタン、またはRスティックを上、左、右それぞれの方向に入力する事で切り替えが可能となる。

また、2種類の追加武器はそれぞれで通常攻撃のモーションや威力、技の性能が鋼鉄の剣のものとは異なり、一段目の攻撃で例えると炎の剣であれば横薙ぎに、戦斧の場合は叩きつけになっていたりと使い心地も大きく変わってくる。

特に飛び道具の跳ね返しを狙う際はこの辺りの違いが顕著なので、扱う武器毎に攻撃スピードを含めた発動のタイミングを覚えておかなければならない。

 

回避

地上でLボタンを押す事で回避アクションが発動。使用時におけるコストは特に発生しない。

挙動的に”単なる後退移動による回避”といった内容の技でリスクはほぼ無い反面、後述の「ジャストディフェンス」と比べて防御用アクションとしての使いどころはそこまで多くないかもしれない。

 

防御/ジャストディフェンス(パリィ)

Xボタンを押す事で一時的に防御姿勢を取る。敵が繰り出す多様な攻撃を防御可能な反面、防ぐ毎に敵の攻撃力が次第に上昇していくといったリスクも伴う。

この際、敵が繰り出す攻撃に合わせてタイミング良く発動させることで「ジャストディフェンス」へと派生。決まれば相手の攻撃を弾き返すと同時に、大きな隙を与えることができる。

 

パリィ効果によって怯んでいる相手にすかさず攻撃を叩き込むことで、クリティカル攻撃が確定で発動。この攻撃で相手に止めを刺すと、直後に神秘力が一定量回復する。

ジャストディフェンスで後の先を狙う戦い方は神秘力の回復効果が伴う事もあって、威力が控えめな通常攻撃で地道に戦うよりも遥かにメリットも大きい。本作の攻略上、必須とも言えるアクションの1つだ。

ただ、判定自体はかなりシビアで、失敗時は相手の攻撃をもろに喰らってしまう事から非常にリスキーでもある。狙う際は、相手の攻撃にしっかりとタイミングを合わせて使用しなくてはならない。

 

神秘の波動(特殊攻撃)

 

Rボタンを押すと神秘力を一定量消費して、正面前方にエネルギー弾である「神秘の波動」を発射。ゲージがフル状態であれば最大10発発射することができる。

長押しによるチャージからの発動も可能で、通常攻撃よりは一定量のダメージを望めるものの一発辺りの威力自体は控えめ。空中での使用は不可。

 

また、ゲージがフル状態の場合はLスティックを下方向に入力しながらRボタンで、「神秘の衝撃波」が発動。周囲一帯の敵にダメージを与える起死回生の大技だが、威力自体はそこまで高くない。こちらも空中での発動は不可。

低耐久の敵が多い場面で特に効果を期待できる反面、ゲージを全て消費する関係で、使用直後は神秘の波動を含めたこれらの特殊攻撃をすぐには使用できなくなる、といったリスクも伴う。ジャストディフェンスをある程度使いこなせるようであれば積極的に活用して、神秘力ゲージの迅速な回復に努めたい。

 

ゲームシステム

 

セーブスロット

本作では最大で3つのセーブデータを作成することができる。

セーブデータはエリア切り替え時に行われるオートセーブの他、ステージ内に点在する「灯火」(後述)への接触時に自動的に保存される。

 

灯火(チェックポイント)

青い光を放つ灯火に近づくことでリトライポイントの更新が行われ、同時に体力、神秘力の全快、進捗状況の保存が行われる。

探索可能エリアが広域に渡るステージの場合は通り道に設置されていない場合もあるので、探し出して触れておくようにしたい。

 

回復アイテム

 

各ステージに配置されている「心臓」は、バートリンの体力を回復できる効果を持つ。小型である事や色味の関係で、ステージによっては背景と同化しているように見えることもあって見逃しがちなアイテムだ。

青白い光を放つ「神聖なる天使」は、体力と神秘力両方のゲージを全快する効果を持つ。こちらは主に、前後閉鎖式の戦闘エリアやボス戦の直後などでよく出現する。

どちらのアイテムも限られた場所でしか入手機会が訪れないので、見かけた際は有難く消耗した各種ゲージの回復に充てよう。

 

秘密の部屋

各ステージには「〇〇の秘密」と呼ばれる隠し部屋が存在しており、部屋への入場後に出現する敵を全て倒す事で近くの装置からパーツが出現。これを回収する事で、メダリオンが元の形へと近づいていく。

隠し要素的な扱いにあたるもので、単にゲームクリアを目指すだけであれば必ずしも完成させる必要はないが、全てを集めることで何かが起こる…?

 

プレイ後の感想

表題である「Slain: Back from Hell」は、大胆に意訳するならば、”地獄より舞い戻った処刑人”といったところになるだろうか。

ゲームの舞台となる地カールヴは正しく”地獄”にも等しい様相で、ヴロール卿の支配によって狂暴な悪魔たちと鮮血に塗れた妖艶な世界として描かれている。

精霊の呼びかけによって永き眠りから目覚めた老齢な戦士バートリンはこの状況に終止符を打つべく、ヴロールの首を狙って過酷な道のりを単身で戦い抜いていく。

 

海外産タイトルと言う事で気になるローカライズの度合いだが、こちらについてはテキストの破綻も無く良好。登場キャラクター同士の会話シーンに至っては、敵味方を問わずノリノリで書かれているのが伝わってくる。

同時に作中の一風変わった演出も見所の一つで、取り分けステージクリア時に毎回勝ち鬨的な演出として入る”ヘッドバンギング”(上画像)は、ヘヴィメタを体現した本作らしいテイスト全快の必見デモ。B級なノリのゲームがたまらなく好き、という人であれば非常に味わい深い演出となるはずだ。

 

ゲームデザインとしては、炎や氷の力を宿した最大3種類に渡る武器やゲージ消費型の特殊攻撃を相手や場面に応じて切り替えながら戦っていくスタイルで、武器毎に派手なエフェクトを伴うものもあるが繰り出せるアクション自体はどれも比較的無骨でシンプル。

全編を通して基本的には死んで覚えるタイプのアクションゲームで、オーソドックスなアクションしか持っていない事からダイナミックな立ち回りは難しい。アクションの中でも重要度が高いのが「ジャストディフェンス」で、道中、ボス戦共に優位に戦うためにはこのアクションの成功率が鍵を握ると言って良い程。

ほとんどの局面で”相手の攻撃を弾き返して反撃”、といった受動的な戦い方に陥りがちな点や、限られた神秘力ゲージを運用しながら特殊攻撃を戦略的に使っていく事も重要となる。

 

各ステージ道中では特定の区間で前後の道が塞がれ、全ての敵を倒さないと先に進めない戦闘エリアが何度か登場する。

これらの区間は多くのプレイヤーにとっての難所として立ち塞がる事が予想され、最初の編成を倒しても第二陣、第三陣と続く連続湧きや、無限召喚型エネミーの前後挟み撃ちといった攻勢が戦いへと臨む側にプレッシャーを与えてくる。

実際にプレイしてみた際に、基本1対1のシチュエーションがほとんどとなるステージボス戦よりも苦手、といった感じる方が多いであろう事は想像に難くない。

 

操作面においてはサイドスタイルの2Dアクションでありながら、操作方式がアナログ限定となっているところは気になったポイント。筆者は本作をPROコントローラーでプレイしていたのだが、方向転換操作を行う際にLスティック左右入力後の反動で暴発で反対方向を向いてしまう事がある、といった問題が見られた。

上述通りジャストディフェンスの使いこなしが極めて重要である本作では、この暴発によって逆に敵に危険を晒すことになってしまう懸念もある。スティックの摩耗状況に依存する部分が大きいため、日ごろからLスティックを使い込んでる方においては一応注意が必要だ。

 

難易度は少々高めながらも、ミスした場合は最後に接触した灯火からリスクなしで何度でもリトライが可能、ゲームの中断後も同様のポイントから再開できるなど、仕様面では幾分かユーザーライクな部分も多い。

作中の最終ボス戦は計3フェーズの連戦というハードな展開だが、各段階において露骨な攻撃パターンが存在するので戦い方さえ掴めば自ずと勝機も見えてくる。本作を手に取った方は、是非打倒を目指してみて欲しい。

 

「Valfaris」の製作スタッフによる特徴的なピクセルグラフィックとヘヴィメタ楽曲のタッグ効果により、本作特有のハードコアな世界観を2Dアクションゲームとして見事に描き切った一作に仕上がっている。

ダークなアクションゲームが好みという方には必見の「Slain: Back from Hell」。是非一度お試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) .5

 

良い点

  • ソードアクションとジャンプを駆使して進行するオーソドックスな2Dアクション
  • 高水準なピクセルアートのゲームグラフィック
  • 作中世界観との高い親和性を持ったAndrew Gilmourが手掛けるヘヴィメタル楽曲

 

惜しい点

  • 即死型のギミックがステージ内に多数仕掛けられており、初見殺しな色合いが強い
  • パリィ使用が必須に近いゲームバランスになっており、多少程度でも使いこなせないとオールクリアは厳しい
  • Lスティックの劣化具合によっては移動時にキャラクターが突如、反対方向を向いてしまうといった誤動作が発生し易くなる

 

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