ヴァーニーレイク - プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©2023 LCB Game Studio ©2023 Chorus Worldwide Games

 

 

基本情報

 

タイトル ヴァーニーレイク(Varney Lake)
対応機種 Steam/Nintendo Switch/PS4&5/Xbox ONE
販売 コーラスワールドワイド
開発 LCB Game Studio
発売日 2023年4月28日(全機種)
対応言語 日本語,フランス語,ドイツ語,スペイン語,英語
備考 IARCレーティング:16+(激しい暴力)
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作品概要

 

「ヴァーニーレイク」(「Varney Lake」)はアルゼンチン在住のクリエイターを抱えるゲームスタジオLCB Game Studioによって開発されたゲーム作品。全プラットフォームにおいてコーラスワールドワイドが販売を担当。

本作はテキストベースのノベル型アドベンチャーゲーム。時は1950年代、4度目の夏休みを過ごす10代の少年少女3人組に起こった奇怪な出来事を振り返り、その真相を紐解いていく短編ストーリーとなっている。

スタジオのメンバーである小説家Nico Saraintaris、イラストレーターMartinez Ruppel両氏2名を中心に、「ピクセル・パルプ」シリーズの第2弾として作られたタイトルで、2025年現在、同シリーズとして「Mosmen 1966」、「Bahnsen Knights」の2タイトルがリリース中だ。

 

リンク:LCB Game Studio(Twitter)

リンク:Varney Lake(Chorus World Wide official site内)

リンク:Chorus World Wide(Global Twitter)(JP Twitter)

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン カーソル、スクロールバー等の移動
Lスティック カーソル、スクロールバー等の移動
Lボタン オートモード
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン 読み進める
Bボタン キャンセル
Yボタン
Xボタン バックログの表示
Rボタン 既読スキップ
ZRボタン
+ボタン メニュー呼び出し

 

登場人物

 

(※以下は本編内での紹介テキストや作中での各人物の行動を基にした要約となります)

ジミー

回想パートでの年齢は14歳。クリスティーンに想いを寄せる青少年。

友人のクリスティーン、ダグの3人で「一人っ子クラブ」を立ち上げ、夏休みのひと時を毎年彼らと共に暮らしている。

ヴァーニー湖での奇妙な体験は、後に彼にとって生涯の苦しみを生むことになる。

クリスティーン

回想パートでの年齢は15歳。街に恋人がいる。

再開を果たしたジミー、ダグと共にヴァーニー湖を目指していく。

「夏休みにやることリスト」という計画帳を持ち歩いている。

ダグ

回想パートでの年齢は12歳。クリスティーンとは親戚関係。

「ソリティア・テン」を始めとする独自のルールを設けたゲーム作りが趣味。

ダグにとっては、自らが考案したパズルを2人に遊んでもらう事が何よりの楽しみ。

吸血鬼

本名はリスト。生年月日や出身地を含め、その出自には謎が多い。

ヴァーニー湖畔の納屋の中で一人いた所、一人っ子クラブの3人に偶然見つけられたことで出会いを果たす。

 

ゲームシステム

 

以下では「ヴァーニーレイク」のゲームシステムを簡単に紹介。

 

セーブについて

基本的に選択肢以外ならば、どのタイミングでもセーブが可能。セーブスロット数は合計9。

本作には「好きな章から読み返す」といった便利機能は残念ながら備わっていない。各章自体はそう長くないので、お気に入りの章があったらスキップ機能を活用したり、章が切り替わる前後でセーブするクセをつけておこう。

 

選択肢

本編各章では随所で選択肢が出現する。場面によっては選んだ選択肢によって、その後のちょっとした展開やメインキャラクターの独白、登場人物の受け答えが若干変化する場合も見られる。

また、本編エンドを迎えたスタッフロール後にはエピローグを描いた数カットのCGが表示される。途中に取ってきた行動次第で変化するので、是非繰り返し遊んで全種類を集めてみよう。

 

バックログ機能

本編プレイ中、Xボタンを押すことでバックログ機能を利用可能。バックログで読み返しが可能な範囲は各章毎に区切られる。

画面右側にスクロールバーが表示される場合は、各種方向キー、もしくはLスティックの上下操作でバーを操作できるが、日本語設定の場合、ログ数が多くなるとバーを操作した際に行間が飛ばされて表示されてしまう現象が見られる。

各章辺りのテキスト量はそこまで多くはないものの、この現象が要因でバックログ機能としての使い勝手はイマイチ。対応可能ならば、今後アップデートによる修正が望まれる。

 

画像ギャラリー

本編を読み進める内、様々な条件を満たすことでギャラリーの各項目がアンロックされる。ギャラリーのイラストはどれもこのモードでしか見られないものばかり。

各サムネイルの下に解放のためのヒントが書かれているので、これを手がかりにしながら本編で色々試してみよう。

 

ミニゲーム

 

同じピクセルパルプシリーズの第1作目「モスメン 1966」では、インゲーム要素として”絶対に解けないソリティア”を遊ぶことができたが、今作では複数のミニゲームが登場する。以下ではその一部を紹介。

ソリティア・テン

作中の特定シーンでプレイ可能。ダグが考案したというカードゲーム(通称「ソリティア・テン」)をミニゲームとして実際にプレイすることができる。

(一定の場面までゲームを進めると以降、タイトルメニューからも選択可能になる。

 メニューからプレイする場合でもカードゲーム終了後はそのまま本編シーンの続きから始まる仕様となっており、ミニゲームコンテンツとしては独立していない)

 

カードの選び方についてはゲーム本編のシステムをそのまま利用した、”選択肢で選ぶ”という形式になっている。

「ソリティア・テン」の基本ルールは以下の通り。

  • 1ターン毎に計7枚割り振られたカード(組札)を組み合わせた時の数が「10」になるように調節していく。黒の文字のカードを加算用、赤の文字のカードを減算用となる。
  • 組み合わせたいカードがない場合は山札からカードを1枚めくることができる。
  • テーブル上に出ている全ての組札を使い切った上で、合計時の数字が「10」の状況を作り出せれば「スーパー10」達成で勝ちとなる

 

「モスメン 1966」に登場したソリティアとはまた一味違うルールとなっているが、トランプカードを使った新種のパズルとして楽しめるゲーム要素となっている。

自力ではどうしても「スーパー10」を達成できないという方は、本編を進めてみる事で攻略のヒントがもらえるかも…?

 

けんけんぱスゴロク

「ソリティア・テン」と同じくダグが考案したというゲームで、こちらは2人での対戦型(相手はコンピューターによる自動操作)となっている。選択肢を選び、横5×縦2マスのフィールド上でサイコロを転がしながら移動を繰り返し、相手より先に小石を拾ってゴールすれば勝ち、といった単純明快なゲームだ。

ただし、”小石はサイコロの目が1で止まった時のみ拾うことができる”、”ゴールのマスではゲーム開始前に振ったサイコロの目が出た時でないとゴールできない”など、各アクションには厳密なルールが設けられている。出目の並びを計算しながらマスを移動して、相手より先にゴールに辿り着こう。

 

マッチ棒パズル

マッチ棒を指定の本数のみ動かして特定の条件を満たそう、といった内容の定番パズル。こちらも作中でダグが持ち込むゲームの1つだ。

ゲーム内の選択肢機能を使って、場所や置き方を指定していく形式になっている。また問題によっては、正解は一つとは限らない事も…?

 

また、特定の条件を満たすとタイトルメニューから「マッチ棒パズル」を選択できるようになる。ダグが新たに用意した計10問をあなたは果たして全て攻略できるだろうか?

 

プレイ後の感想

「ヴァーニーレイク」の物語は短いチャプターの連続で構成されており、主には少年少女3人組視点の1954年パート、某作家視点の1981年パートという2つの視点を交互に繰り返しながら展開していく。

人並な夢を持ったうら若き10代の青少年ジミー、クリスティーン、ダグ。3人は夏休みに訪れたヴァーニー湖での探検中に一人の吸血鬼と遭遇、その思いがけない出会いがやがて彼らの運命に大きな歪みが生まれる事態へと発展してしまう―

当初は合計3作品の登場が予定されていたピクセルパルプシリーズはそのプロットや登場人物、時代設定といった構成要素を含めてそれぞれが単体で独立したエピソードであるように見えた。しかし、前作「モスメン 1966」から続けて今作をプレイしてみると、意外な部分で繋がりを持っている事に気が付くことができる。

 

80年代アドベンチャーを彷彿とさせるクラシカルなユーザーインターフェースや、「選択肢」要素を取り入れた読み物というスタンスは同シリーズ内で共通しており、今作では「モスメン 1966」に比べてミニゲーム要素が大幅に追加。地味な規模ながらノベルゲーム外の遊び応えも増した形となっている。

本編自体は短く、物語の大筋自体は選んだ選択肢に関わらず同じ結末へと辿り着く一本道構成。テキストにじっくり目を通しながらプレイしてもエンディング到達までの所要時間は2時間とかからない程度だ。2周目以降となれば、一度読んだテキストもスキップ機能をフル活用する事でゲーム進行の更なる高速化も望めるだろう。

 

ただ今作の場合、選択肢による微かな分岐要素や本編内に組み込まれた各種ミニゲームの勝敗度合いが絡まって、エンディングのカットシーンが変化するという仕掛けがあり、手探りでこれらの要素を追う場合は目当てのシーン到達への手順を模索する事で時間がかかってしまう可能性もある。

また、バックログのキャッシュが多くなるに連れてスクロールバー操作の微調整が効かなくなるという問題がある。これは前作「モスメン 1966」において使い心地の悪さを感じていたポイントの1つなのだが、2作目でもそのまま受け継がれているのは残念に感じてしまった。(ただ、これはコントローラーが一般的な操作デバイスとなるコンソール移植版ならではの特有の仕様によるものとも考えられる)

 

以下は物語の内容には直接関わらない類のネタバレとなるが、今作の実績の中には”解除するのにヒントの元ネタを知っている事が前提”といったものが存在している。登場人物の一人ザントスが絡むミニゲーム(上画像)がその該当シーンなのだが、”このミニゲーム上である特別な手順に沿った操作をする”事が該当実績の解除条件となっている。

達成のためのヒントは一応ギャラリーのメニュー上で確認できるのだがかなり大雑把なことしか書かれておらず、元ネタに気づいていない方の場合は自力で答えに辿り着きにくいであろうといった懸念がある。筆者の場合は元ネタをわざわざネットで探す羽目になったが、国内のゲーム界隈でも一部にしか通じにくそうな身内的なネタが登場する作品が昨今多い事を鑑みると、上記もそういったお遊びの一つだったのかもしれない。

 

 

ピクセルパルプシリーズは当初予定していた3作のリリース後は暫く沈黙を保っていたが、その後2024年に最新作となる「Grizzly Man」(グリズリーマン)がLCB Game Studioより発表された。1983年のアラスカを舞台に、正体不明の危険な存在”グリズリーマン”に焦点を当てたスラッシャー映画作品的な内容とのことで、Steamでは2026年リリースを目指して現在開発中。同シリーズのファンにとっては期待が高まる一作だ。

また、今作「ヴァーニーレイク」では、これまでにリリースされたピクセルパルプの他作品「モスメン 1966」と「バンセンナイツ」をの第1章をプレイ可能な体験版が収録されている。内容自体は単発で配信中の体験版と同じだが本編とはまた趣の異なるエピソードを試し読み感覚で楽しめるので、各作品未読という方は本作購入の際に是非触れてみて欲しいところ。

 

物語の進行やミニゲームを含め、ゲーム内のあらゆる要素が選択肢によって展開する古典的な短編テキストアドベンチャーゲーム。ノベル系ゲームや同シリーズに関心がある方にこそ、「ヴァーニーレイク」はチェックして頂きたい一作。

かつてジミー、クリスティーン、ダグが体験したひと夏の出来事。果たして、彼らと吸血鬼の間にどのような交流があったのか? 本作のプレイを通して、是非その顛末を確かめてみて欲しい。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 8.0

 

良い点

  • 80年代初期のPCアドベンチャーゲームのようなテイストのノスタルジック溢れる4色風グラフィックとサウンド
  • 極めて高い安定感を誇る丁寧なローカライズ
  • 本編内に用意された多彩なミニゲームの数々により、前作よりも本編外の遊び応えが向上

 

惜しい点

  • 物語の大筋は1本道だが一部の選択肢やミニゲームの成果が結末に大きく影響しており、一部のカットシーンを見る場合手探りの攻略では少々困難
  • 一部の実績に解除条件が分かり辛いものが含まれている
  • (※Nintendo Switch版)コントローラーでの操作時、バックログ機能においてログの量が増えて来るとスクロールバーの微調整が効かない(※移植版ピクセルパルプシリーズ共通の問題)

 

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