ガールズメイドプディング - プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©2025 Kazuhide Oka
©2025 KAMITSUBAKI STUDIO

 

 

基本情報

 

タイトル ガールズメイドプディング
対応機種 Steam,Nintendo Switch
販売 KAMITSUBAKI STUDIO
開発 Kazuhide Oka
発売日 2025年4月9日(Steam版)/2025年4月10日(Switch版)
対応言語 日本語, 英語, 中国語 (簡体字), 中国語 (繁体字)

Nintendo Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみプレイが可能。ただし、一部ソフト内で言語を変更できる場合有り。

備考 IARCレーティング:3+
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作品概要

 

「ガールズメイドプディング」は個人ディベロッパーKazuhide Oka氏の開発によるゲーム作品。日本国内のクリエイティブレーベルKAMITSUBAKI STUDIOとの協同による”音楽×ゲームプロジェクト”『ANMC』の一タイトルとして製作が行われた。

本作のゲーム内容は会話形式のテキストとバイク移動によって物語が展開するガールズトーク・ツーリングアドベンチャー。ある日を境に地上から人々が消滅してしまった終末的世界を舞台に、プレイヤーはこの地にたった2人だけ残された少女達の旅路を見届けていく。

ジャンル表記に”ガールズトーク”とある様に、バイク旅の道すがらスミビとニコミの会話を中心に繰り広げられるノベル要素をメインに、切り替え式のエリア上でバイク移動&探索を行う3Dフィールドシステムを融合した、一風変わったゲームデザインが特徴となっている。

 

リンク:Kazuhide Oka(Official Site)|(X(Twitter))

リンク:KAMITSUBAKI STUDIO(Official Site)|(X(Twitter))

 

ストーリー

 

(※製品ページ紹介文より該当箇所を引用)

 

誰にも見られていない人が消えてしまう──

そんな謎の現象が起き始めて半年。

スミビとニコミは、バイクに乗って二人きりの旅をしています。

 

「もう一度、あのときのプリンが食べたい」

旅は、スミビのそんな一言から始まりました。

 

町から町へ食材を求めて進むうち、人々との出会いもあります。

そこで二人は少しずつ世の中で起きたことを知っていきます。

 

二人は決してお互いから目を離しません。

見られていないと、消えてしまうから。

 

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン
Lスティック バイクの移動方向を指定
Lボタン ギアチェンジ(1速→2速→3速→1速…)
ZLボタン オートマ走行の切り替え
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック メニューの操作
Aボタン 決定
Bボタン キャンセル
Yボタン (アイテム指定時)アイテムを捨てる/調理する
Xボタン (アイテム指定時)アイテムを使う
Rボタン (アイテム選択時)レシピを見る
ZRボタン (長押し中)バイクの走行
+ボタン ポーズメニュー

 

難易度について

 

「ガールズメイドプディング」では3タイプの難易度が用意されている。難易度の変更メニューは、Day1を無事に終えた後に登場する。

NORMAL 標準のモード
CASUAL 「満腹」、「体力」、「正気」の減少率が軽減される
STORY 「満腹」、「体力」、「正気」が減らなくなり、真夜中を迎えても1日が終了しなくなる

各難易度は一度決定した後も、プレイ中メニューの「設定」から自由に変更が可能。本編の内容に大きな違いはないので、各自毎に遊び易いと感じる難易度でプレイするといいだろう。

気軽に物語を読んでみたいという方には「STORY」、ある程度ゲーム性の伴う形で遊びたいという方には「CASUAL」での初回ゲームプレイがおススメだ。

 

登場人物

 

(※本編内テキストより要約)

スミビ ニコミ
無表情気味で怠惰な風を装いつつも、リアリストで冷静に物事を見る少女。年齢非公表。

喫茶店『CCC』の常連で、当時は店頭の従業員であるユノミという女性の追っかけをしていた。

人間が消滅するという壮絶な現象に巻き込まれながらも難を逃れた1人で、その後ニコミが駆るバイクでの2人乗りを介して、いつの間にか共に旅をする仲となっていた。

喫茶店『CCC』でアルバイトとして働いていた猫耳の女子高生。語尾に「にゃ」を付けるのが口癖。

メイド風のエプロンスタイルの衣装は職場の正式な制服だが、デザインは店長の趣味から来ているとの噂もある。

バイク好きだった父親の影響もあってか機械には強く、人間消滅現象によって姿を消した店長のバイクを借りて、その場に居合わせたスミビと一緒に旅に出る。

and more…?

 

ゲームの進め方

 

エピソードの進行

ゲームの目的は画面右側に逐次表示される項目「〇〇エピソード #〇」を1つずつ読みながら、物語を進めていくこと。Lスティックで進む方向を制御しつつ、ZRボタンの長押しによる手動、あるいはZLボタンでオートマ操縦をオンにした自動走行のどちらかを使ってバイクを走らせていくのが本編進行上の基本となる。

また旅の途中、道端の落下物や住人が消えた空き家内の捜索を介して食材、燃料などの備蓄品を発見したり、食材を使って料理を作るといったサバイバル要素も登場する。

 

テキスト進行の仕組みについて

作中のテキストはバイクの走行に応じて随時進行していき、吹き出し下部の白いメーター(上画像青い囲い)が、右一杯まで進行する事で自動的に次のページへと送られる。

(ただし例外的に、設定メニューの調整中などにAボタンを押すことでページが進んでしまう場合もある)

バイクのアクセルを緩めると速度に応じて吹き出しのメーターも緩やかになり、停車すればそれに併せてメーターも停止するようになっている。

また、テキストの進行速度についてはオプションから調節が可能なので、じっくりと読みたい場合には設定を見直してみよう。

 

ゲームシステム

 

Dayについて

本作のチャプターは「Day」という単位で表現されており、1日の内、早朝~深夜までの時間帯を1つの単位と扱われる。

例外として「STORY」モードプレイ中のみ、深夜でも無制限に活動が可能となっているが、各Dayは難易度を問わず空き家での「宿泊」を経て終了するようになっている。(後述)

 

時刻について

1日(ゲーム内では「Day」表記)辺りの時間は画面右上の専用バーで表示され、ゲーム内の時間はバイクを走らせる毎に流れていく仕組みとなっている(反面、停車中であれば進行しない)。

マーカーが右端の月が描かれたところにたどり着くまでの間に、以下のどちらかを満たせなければスミビとニコミの2人は共に消滅し、物語が閉じてしまう。

1)空き家を見つけて「夜を過ごす」を実行する

2)表示されているエピソード項目を全て消化する

各エピソードは最後まで読み終えることで、残り時間が現在時刻に応じた特定のポイントまで自動で経過する様になっている。そのため、活動終了時刻が近い時間帯で無闇にエピソードを進めるのはリスクも大きく危険。

一方、エピソードを消化するための期限についてはこれといった制限はなく、時間内であれば好きなタイミングで進めていっても問題はない。

 

「話題」について

各エピソードの進行中、テキスト内に赤字で記された箇所が登場することがあるが、この「話題」キーワードが表示されると画面右側に新たなエピソードが自動的に追加される。

 

追加されたエピソードについては、Day当日中は開始条件を達成するまでの間は画面右側に表示され続けるようになる。エピソードは各Day辺り最大5つまで同時に保有されるが、条件未達のエピソードが複数ある場合はDayを跨ぐことで組み合わせが変わる事がある。

特殊な条件が必要となるごく一部のものを除き、基本的に各エピソードの主な開始条件は”指定の地域に辿り着く“、”指定のレシピで料理を作成する“、”何か一品料理を作る“など。いずれの条件も、基本的に燃料や食材などアイテムを普段から幅広く持つことを心掛けていれば、比較的スムーズに達成できるはず。

 

パラメーターについて

2人のコンディションを示すパラメーターとして「満腹」、「体力」、「正気」の3種類のメーターが存在しており、それぞれバイク走行による時間の経過やイベントで選択した行動によって増減する。どれか1つでもメーターが空っぽになった時点で旅の終了と共にゲームオーバーになってしまう。

各パラメーターは主に料理を介して回復することができるので、食材に余裕がある場合は積極的に作って絶えず補充を行っておきたい。

なお、各パラメーターは前日に高い数値を維持したとしても、1日の始まりには初期値へと戻ってしまう。Day終了の直前に料理で満タンにしても無駄になってしまうので注意。

 

アイテムの回収

道を走っていると所々に、木箱やポリタンクが落ちている事があるが、これらのアイテムを回収する事で食材や燃料を1つ入手する事ができる。

なお、アイテムの最大所持数を1つでもオーバーしている場合、バイクが走行することはできなくなってしまう。この場合はすぐに荷物を整理して、アイテムスロットに余裕を持たせるよう心がけよう。

 

また本編を進める内、上記に混ざってカセットテープ(CT)を路上で発見できることもある。中にはいったい何が録音されているのだろう?

 

料理

「ガールズメイドプディング」における料理は任意の食材を2つ、あるいは3つ掛け合わせ、適切な調理手段を介することで作ることができる。(「燃料」などの食材以外となるアイテムは選択不可)

作り方の手順としてはまずXボタンで荷物を確認し、1つ目、2つ目、(レシピによっては3つ目)の食材をそれぞれAボタンで指定すると画面下部に完成後のメニュー名が表示、Yボタンを押せば調理開始だ。

 

作中で作成可能な料理にはそれぞれレシピが存在しており、バイクで走行中に偶に路上で拾うことができる。レシピを入手していない状態で組み合わせを発見した場合は完成アイテム名の項目が[???]と表示されるが、そのまま実行することできちんと作成する事が可能。

ただし、レシピによっては必要な食材を持っていたとしても、対応した調理手段をあらかじめ入手していない場合は作成することができないという点は覚えておこう。

 

基本的に作中に登場する各食材は同じものを2つ掛け合わせることでも特定の一品が仕上がるようになっており、例えばキャベツを2つ掛け合わせた場合は、初期から保有している調理手段の「ドレッシング」を活用してシーザーサラダが完成する。

一方で、レシピに対応していない食材を組み合わせて調理を実行した場合、「フシギな料理」と言う名のナゾ料理が出来上がる。不要な食材同士を掛け合わせてパラメーター回復用として活用できるが、このメニュー自体はストーリー進行においては条件外のレシピとなる料理なので気をつけよう。

 

空き家の探索

道の左右両脇側をチェックしていると時々、所有者が不在となった民家やガレージなどの空き家の存在を確認することができる。入り口付近に立ち寄ってAボタンで調べてみると選択肢が登場。

 

選択肢の中から「食材を探す」を選択すると、ちょっとしたミニゲームに成功する事で1~3種類の食材や回復アイテムを補充することができる。(この項目は空き家1つにつき1回のみ利用が可能)

「泊まる」を選んだ場合は即座に旅を中断して宿泊へと進み、現在のDayを終了することができる。ただし、この項目は日没以降にならないと使用することができない。

空き家となる対象の建物は走行中、各地域で頻繁に登場するのでこまめに立ち寄る様にすると良いだろう。

 

フィールド上のイベント

路上では時々、猫の集会や横転したトラックなど、”何らかの要素が2人の行く手を塞いでいる”といったイベントが登場することがある。ここで強引に進む、という選択を選ぶ場合は、通行料代わりとばかりに何らかの対価を支払うことになる。

例外的に「猫の集会」だけはプラス効果しか発生しないが、多くの場合はパラメーターやアイテムの減少、といったリスクを負うことになってしまう。無理には通らずに引き返して別のルートを探す、といった方法を選ぶこともできるので、パラメーターやアイテムの所有状況と相談して判断しよう。

 

燃料を使って即時移動

エピソードの進行条件には「〇〇に辿り着く」と、地域名が指定されるものが登場する場合がある。と言っても地図やナビゲーターのような便利機能が備わっていない作中の仕様上、現在地がどのエリアであるのかよく分からない、という方も少なくないはず。

 

そんな時は燃料を使用する事で、選出された3つの地名候補の中から選んで即時に移動することができる。その中に進行条件と合致する地域名があればしめたものだ。

このように、アイテム枠には最低1つは燃料を入れておくと、いざという場面でエピソード進行への移行をスムーズに行う手助けとなる。上手く活用していこう。

 

Dayの終了と振り返り

「時刻について」の項目での条件を満たし、時間ゲージが深夜のところに到達すると、一日を無事終えた事を示す専用メニュー画面へと切り替わる。

この画面では翌日以降の各Day到達報酬や、当日中に遭遇したエピソードのバックログの確認が可能となっており、Day進行中はしっかり目を通す余裕がなかったテキストもここで好きなだけ読み直すことができる。

確認が終わったらAボタンで次の日程へと進めていこう。

 

プレイ後の感想

無人の荒野と化した虚無な世界をたった2人で旅しながら生き抜びる―、そんなスミビとニコミ、2人の少女の生き様を描く「ガールズメイドプディング」。終始2人が物語の中心となるダブルヒロインな構成のストーリーが繰り広げられるが、メインエピソードでは主にスミビの視点を中心に描かれる。

ガールズトーク然とした2人の会話は、平穏だった日常の続きを見ているかの様なテンションのやり取りで、一見はのんびりとした作風なのだろうか、と錯覚させられる。ところが、各日程で夜を無事に乗り越えられなければ旅はそこで唐突に終わりを迎える― といった一面も持つのが本作の非情な世界観だ。

 

「ガールズメイドプディング」という表題や時々スミビが口にする要求の内容から、「これはプリンを作ればエンディングに辿り着けるのでは?」と最初は誰しも考えがちだ。「ストーリー」の紹介文にもあるように、旅の相棒ニコミが旅を続けている目的も「スミビがもう一度食べたいと話すプリンを完成させたい」という素朴な願いから来ていたりする。

実際のところ「プリン」のレシピ自体は物語の比較的最初の方で登場する。ところが、材料の「卵」や「牛乳」は回収できても、調理手段である「オーブン」の方が中々手に入らない。いくつか日数を進めてみれば手に入る事を理解した上で、仕方なく物語を先の方まで進めてようやくの思いで「オーブン」を入手。さあ、これでようやく「プリン」が完成!― と思いきや、「思ってたのとは違う」、とスミビに一蹴されてしまうという始末。

本作のゲームプレイを通じて、ここまでのワンセットを喰らったという方は多い事だろう。だからと言って、そこで挫けてはならない。ゲーム内の行動でスミビを納得させる事は無理でも、彼女が言う「プリン」の完成を追い求める事自体は、物語上の重要なファクターとなっているのだから。

 

テキストベースの作品ではあるが、ボタンをポチポチしているだけで読み進められる一般的なノベル型ゲームとは区別化が図られており、本作では”テキスト送り=アクセルを踏むこと”、という少々変わったアプローチのゲームデザインが特徴の一つ。ただ、プレイ中はアイテムの回収やルートの選択の度に進行方向を切り替えたりしなくてはならない等、ゲームに慣れてきた頃には遊び手によって”煩わしさが先に勝つ”といった印象になってしまう危惧もある。

道中で発見できる食材や燃料は頻繁に拾える反面、全体を通してアイテム所持枠自体はそれほど多くなく、落ちてるアイテムは片っ端から拾いたくなってしまうタイプのプレイヤーにはこの点は地味なストレスとなるかもしれない。特に1度に5個までしか持てない最序盤は整理整頓に追われて、話の内容が入ってこない、というような事は極力避けたいところではある。

 

今作は製作にKAMITSUBAKI STUDIOが協力している点で、同スタジオはこれまでバーチャルアイドル「花譜」を始めとした幾名ものアーティストを輩出している実績を持つ。作中では特定の場面においてボーカル曲が効果的に使われている等の演出が見られ、活用した仕掛けの巧妙さに筆者は唸らされた。

ゲームという媒体を通じたアーティストマネジメントを生業とするスタジオならではの楽曲紹介スタイルや、本編クリア後に回収可能なおまけ要素が幾つか用意されていたりと言った形で随所でプレイヤーに驚きをもたらしてくれる。是非隅々までプレイして、一つ一つ確かめてみて欲しいところ。

 

“少女の2人旅”と言う設定や関係性から、本作に関心を示している方の中には少なからずソフトな百合要素を求める層も存在する事だろう。そういった方面にとっても、しっかり期待に応えてくれる作品となっているので安心して最後まで楽しんで頂きたい。(どの程度の深度であるかはレーティングを見て各自で判断頂きたい)

無人の世界を2人ぼっちで何処までも走り続ける少女達、スミビとニコミの旅路の果てを「ガールズメイドプディング」本編をプレイして追いかけてみよう。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 8.0

 

良い点

  • ポストアポカリプス的な世界観を舞台に、会話劇を中心に展開するストーリー
  • 食材捜索や料理、就寝地点の確保といったサバイバル的なゲーム要素
  • 限界的な世界の中で煌きを持つ、スミビとニコミのザイルパートナー的なキャラクター関係

 

惜しい点

  • バイク走行によるテキスト送りや食材集めは序盤は目新しさこそあれ、プレイを通して次第に作業的なものに感じてくる
  • カメラ距離1はあまりにバイクやキャラクターと近すぎて、スクリーンショット撮影には不向き
  • アイテムスロットは最大10枠まで拡張可能だが、こまめに持ち物を整理しないと頻繁に食材で一杯になり易い

 

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