添丁の伝説 The Legend of Tianding - プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

  • 2024年11月30日
  • 2024年12月6日
  • Steam
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基本情報

タイトル 添丁の伝説 (The Legend of Tianding 稀代兇賊の最後)
ジャンル 2D横スクロールアクションゲーム
プラットフォーム Steam・PlayStation 4・PlayStation 5・Nintendo Switch・Xbox One・Xbox Series X/S
メーカー Neon Doctrine・Creative Games Computer Graphics
公式サイト 添丁の伝説 公式サイト(英語)

 

ゲームについて

1909年、台湾の大稲埕(だいとうてい 現在の台北市大同区あたり)を舞台とする2D横スクロールアクションゲーム。

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主人公は義賊のリャオ・ティエンディン(廖 添丁、りょう てんてい)。

富める者(悪徳商人や強欲な軍人など)から奪い、貧しき者(大稲埕の住民や乞食たち)を助ける住民たちの英雄だ。

大稲埕の街で情報収集を行い、ストーリーのキーとなる情報を得た状態で所定の人物と会話すると下水道や軍工場などのアクションステージに突入。

アクションステージの最後にボスキャラが待ち構えており、ボスキャラを倒すとストーリーが進みステージクリアとなる。

 

ストーリー

1894年~1895年にかけて行われた日清戦争に敗北した清王朝は下関条約により台湾・遼東半島・澎湖列島を日本に割譲、台湾は日本の統治下にはいる。

異国の支配を良しとしない台湾人は義勇軍を形成、台湾人による独立国の樹立を目指し日本への抵抗を続けた。

 

日本軍と激し武装闘争を繰り広げる義勇軍。

だが猟銃や槍、刀など旧式の武器で武装した義勇軍は新型の洋式銃で武装した日本軍の敵ではなく台湾各地で追いつめられていく。

しかし希望を捨てるなかれ!義勇軍はあの義賊がついている。

 

暴君に制裁を加えて正義を貫き、不義の財を奪って貧者に分け与え、日本の統治者からは指名手配の厄介者、台湾の民衆からは英雄以外の何物でもない義賊。

台湾全土に知れ渡った義賊の名はリャオ・ティエンディン。

リャオ・ティエンディンは台湾の人々を助けるため暴虐な役人や貪欲な悪徳商人たちと戦い続けるのであった。

 

登場人物

 

リャオ・ティエンディン

本作の主人公。

弱きを助け強きをくじく、優しさと正義感あるれる好青年。

師であるゼン・グオインのもとで習得した拳法で悪徳商人や強欲な軍人などに立ち向かい、貧しい人々や義勇軍を助けることから民衆の間では英雄として名高い。

本作ではリャオ・ティエンディンが大稲埕に舞い戻ってきたところから物語は始まる。


ア・グアイ

リャオ・ティエンディンの幼馴染で、江月楼の芸旦(芸能者)。

身寄りのないリャオ・ティエンディンにとって唯一の家族と呼べる存在。

刺繡が得意で、リャオ・ティエンディンの装備するお守り袋もア・グアイのお手製である。

 

ゼン・グオイン

リャオ・ティエンディンの拳法の師匠。

リャオ・ティエンディンの身を案じ山へ連れ戻しにくるも、リャオ・ティエンディンの救民の堅い意志を知ると説得を諦める。

老年になっても武芸の腕前は衰えず、鍛錬でリャオ・ティエンディンを打ち負かすほどである。

 

ウー・ルチアン

リャオ・ティエンディンの古くからの知り合いで語り部。

リャオ・ティエンディンの協力者で彼を警察からかくまったりしていた。

本作では語り部の立場からチュートリアルやクリア済みステージのリトライでお世話になることになる。

 

ア・リン

人力車を引く車夫の青年。

リャオ・ティエンディンを尊敬しており、道案内を買って出るなど協力的な好人物である。

本作では車夫としての職業を活かし、街での高速移動(ファストトラベル)を担当する。

 

ア・ニウ

渡し舟の船頭をする青年。

不思議な所のある青年でリャオ・ティエンディンに対し「あんたはロビン・フットか!」と言ったり、船で川を渡る途中で謎めいた発言をする。

 

ディン・ペン

「二十八宿会」と呼ばれる宗教団体の指導者でチン・フォンの師匠。

伝承にも通じており、リャオ・ティエンディンに女海賊の秘宝についての伝説を伝える。

表向きは宗教団体の指導者だが、裏では抗日組織のリーダーとして武器強奪などを指揮している。

 

チン・フォン

ディン・ペンの一番弟子で拳法の使い手。

「二十八宿会」の幹部の一人で情報収集から作戦の立案など参謀的立場の知恵者でもある。

 

ワン・ブンチョウ

日本の統治者に取り入り、不正を行い私腹を肥やす悪徳商人。

悪行がもとでリャオ・ティエンディンに両足の骨を折られて歩けなくなっており、リャオ・ティエンディンに復讐を企む。

本作でも茶葉会社の社長として(健康に害を及ぼすレベルの)悪質な茶葉の販売や、住民からの強引な賃料取り立てなどで暴利をむさぼっている。

 

松本 帷一(まつもと ゆいつ)

日本人の警察官。階級は警部でリャオ・ティエンディンからはヒゲ警部と呼ばれている。

仕事熱心で、法の執行では日本人と台湾人を平等に扱う真面目人間である。

職務には忠実で融通が利かないところもあるが、立ち退きさせた老婆から売り物のミカンを全て買い上げるなど根は優しい人物。

本作でもトップクラスの善人である。

 

飯岡 秀三(いいおか しゅうぞう)

松本の部下の警察官で階級は巡査。

登場シーンではいつも何か食べており、のんびりしすぎる態度を松本に毎回叱られている。

 

島田 雄之進(しまだ ゆうのしん)

新任の警察署長。

国内最高のエリートのそろう高等警察課に所属していた。

傲慢・冷徹な人物で人命を軽んじるような命令を平気で下す。

松本に対しては、高等警察課への推薦をエサに気の進まない命令に従わせる。

 

 

システムについて

ゲームの操作・システムについての説明。

ゲームの操作

ゲームの操作についての説明。

ボタン操作の表記はPS4コントローラーとする。

 

基本操作

移動 左ステックの左右 左右に移動する。
しゃがむ 左ステックの下長押し その場にしゃがむ。
ジャンプ ×ボタン ジャンプする。ボタン長押しで跳躍距離が延びる。
右ステックと組み合わせると前方にジャンプできる。

ジャンプ中に再度ボタンを押すことで2段ジャンプ(お守りの効果で3段ジャンプまで可能)。
飛び降り ×ボタン+下キー 真下に飛び降りる。
上キー アイテム使用 グアバオ(台湾の饅頭料理)を食べてHPを回復する。
所持できるグアバオの数に制限があり、消費したグアバオはステージの途中で拾うかセーブポイントで回復できる。
江月楼の料理長からグアバオを購入するとグアバオの最大所持数が増える。

 

戦闘操作

攻撃 □ボタン 短刀で攻撃する。ボタン連打で連続攻撃を繰り出す。
飛んでくる銃弾に攻撃を当てると相手に向かって銃弾を弾き返すことができる。
特殊攻撃 ○ボタン MPを消費して特殊攻撃を繰り出す。
左ステックとの組み合わせにより「寸拳」「昇竜蹴り」「跳び蹴り」「サン(斬+足)地」と技が変化する。
必殺技 △ボタン 「赤布縛り」と呼ばれる敵武器を奪い取る攻撃を繰り出す。
武器を奪い取ると、奪い取った武器で攻撃できるようになる。
武器をドロップ L2ボタン 「赤布縛り」で奪った武器を捨てる。
回避 R1ボタン 前転して敵の攻撃や罠を回避する。
ジャンプ中にボタンを押すと、横回転しながら回避を行う。
受け身 ×ボタン or R1ボタン ダメージを受けて吹き飛ばされている時にボタンを押すと垂直に飛び上がり、素早く態勢を立て直せる。

 

特殊アクション

蜘蛛縄 L1ボタン 前方に縄を投げる。滑車に向かって投げることで足場の無いエリアを移動できる。
滑翔(滑空) R2ボタン 上昇気流のある場所で気流に乗って飛ぶことができる。
空中にいるときにR2ボタンを押しっぱなしにすると布を広げて上昇しだす。

 

ゲームのシステム

ゲームのシステムについての説明。

 

赤布縛り

攻撃を当て敵が弱ると△ボタンが表示され、「赤布縛り」と呼ばれる技で敵の武器を奪えるようになる。

武器を奪うには初めに通常攻撃で敵を弱らせ、敵に△ボタンが表示されたタイミングで発動すると敵の体を赤い布でくるみ、武器を奪うことができる。

敵の武器を奪うと武器の使用回数が0になるか、L2ボタンで武器をドロップするまで奪った武器で攻撃する。

武器を奪われた敵は素手となり攻撃力が落ちるため、攻守両方の面から「赤布縛り」は重要な攻撃手段である。

 

武術

武術は大きく分けて「回避から発動するタイプ」と「MPを消費して特殊攻撃(○ボタン)で発動するタイプ」の2種類ある。

 

回避から発動するタイプ

敵の攻撃にタイミングを合わせて回避を行うと発動する。

威力は強力だが敵の攻撃に対して回避が早いと発動せず、遅いとダメージを受けてしまう。

雑魚キャラとの戦闘よりボスキャラとの戦闘向きの武術である。

回避から発動するタイプは2種類ありがステージ中には片方しか使用できない。

神無影 分身を作り出し、発動中は攻撃によるダメージは2倍となる。
剣無痕 透明になり敵から見えなくなる。攻撃すると気を放出して敵を攻撃する。

 

MPを消費して特殊攻撃(○ボタン)で発動するタイプ

MPを消費して特殊攻撃で発動する。MPは時間経過で回復。

ボタン操作の組み合わせで技が変化する。

ジャンプ中に発動できる技もあり、3段ジャンプの代わりに使うこともできる。

技を習得すればいつでも習得済みの技を使うことが可能だ。

寸拳 ○ボタン 前方に吹き飛ばし効果のある攻撃を繰り出す。
昇竜蹴り ○ボタン+上キー 上方への飛び蹴りを繰り出し、上方の敵を攻撃する。
ジャンプ中に発動可能で3段ジャンプの代わりとして使うことができる。
飛び蹴り ○ボタン+横キー 前方への飛び蹴りを繰り出し、離れた敵との距離を詰めて攻撃できる。
ジャンプ中に発動可能で跳躍距離を延ばすことができる。
サン(斬+足)地 ジャンプ中に○ボタン+下キー 真下への攻撃を繰り出す。
破壊可能な足場を破壊して通路を作る場面でも利用する。

 

お守り袋

ア・グアイからお守り袋をもらうと特殊効果を秘めたお守りを着用することができるようになる。

お守りは戦闘向きのお守りや探索時のサポート効果のあるお守りなど多種多様である。

ステージ攻略の目的(対ボス戦や収集アイテムの回収など)に応じてお守りを使い分けることが重要だ。

一度に着用できるお守りの数はお守り袋のスロット数までであり、ゲームを進めると最大5スロットまで増える。

 

地図

大稲埕とその近辺の地図。

攻略中の目標は地図上で「!」で表示されるので、目的地に迷ったときは地図を見るとよい。

また大稲埕で行動中に「車」マークの人力車の立て札を調べることでファストトラベルが可能となる。

街中を歩いていると弱い者いじめをしているごろつきやリャオ・ティエンディンを逮捕しようとする警官との戦闘が発生することもあるので注意が必要だ。

 

収集アイテム

乞食にお金を恵んだり、アクションステージで壺などを破壊すると収集アイテムが手に入る。

※乞食へ施す前に所持金を確認すること。所持金が足りないと理不尽なことに怒られてしまう。

収集アイテムはリャオ・ティエンディンの能力値をアップさせるため、たくさん集めるほど有利になる。

一部のアイテムはサイド・ストーリーの選択肢にも影響を与えるため、サイド・ストーリーを進められない場合、取り逃した収集アイテムを回収することで進めることができる。

ウー・ルチアンとの会話からクリア済みのステージを選択する時、○/○とアイテムの取得状況が表示されるので参考にするとよい。

 

 

ゲームを遊んだ感想

1970年代の少年漫画風のイラスト・演出と主人公の多彩なアクションが特徴の2D横スクロールアクションゲームである。

エンディングまでのボリュームは少なめだが、プレイ内容によってストーリーやエンディングに変化が発生するため、繰り返し遊ぶにはちょうど良いボリュームとなっている。

ゲームのストーリーも良く出来ており、初めは悪徳商人を懲らしめる義賊らしい活躍から始まり、抗日運動への協力、海賊の秘宝の探索など話が広がっていく。

 

アクションゲームとしては操作性もよく、ステージクリアだけを目指すならある程度のコンテニューは必要だが、そこまで難しくない難易度でプレイヤーを選ばない作品だ。

アクションゲームの腕に自信があればステージに隠されたコレクションアイテムの制覇を目指してプレイすると難易度は上がり遊びごたえが出てくる。

 

本作の特徴として「赤布縛り」と呼ばれる敵武器を奪い取るアクションが挙げられる。

通常のリャオ・ティエンディンの攻撃は短刀と拳法だけだが、「赤布縛り」を利用することで敵から奪い取った武器で攻撃が可能となる。

敵から奪える武器はごろつき達の持つ斧や棒から始まり、軍隊の持つ手榴弾やバズーカ砲など種類は多彩だ。

また、「赤布縛り」で武器を奪うと相手は素手となり攻撃力が落ちるため、戦闘に有利となる。

 

ただし「赤布縛り」には下記の制限がある。

・奪い取った瞬間に武器を装備するため、それまで装備していた武器を捨ててしまう。

・武器ごとに使用回数が決まっており、武器を使い切ると短刀に装備が戻ってしまう。

このため武器を奪い取る順番やタイミングによって戦闘時の難易度が大幅に変わるため、雑魚キャラ相手の戦闘でも単調になることはない。

 

ストーリーやキャラクターに目新しさは少ないが、アクションゲームへの味付けとしては十分な内容である。

アクションゲームとしても操作性・バランスはよく、回復アイテムを多めに持てるためアクションゲームの初心者でもクリアできる。

上級者であれば難易度設定を上げたり、隠しアイテムのコンプリートを目指すなどやりこみ要素もある。

キャラクターのイラストがやや古めの印象でぱっと見で損しているところもあるが、ゲームの出来は良いため是非とも遊んでもらいたい作品である。

 

 

評価

個人的スコア 8.5

 

良い点

・敵から奪った武器でプレイヤーキャラの攻撃方法が大きく変わるため、雑魚キャラとの戦闘でも武器を奪うタイミングを考える必要があり戦闘が単調にならない。

・会話シーンに漫画風の挿絵を挿入することでストーリーを上手く盛り上げている。

・キャラクターのイラストはやや古めなタッチ(1970年風)だが日本人にもなじみやすい。

・ボスキャラはラスボスを除いて3、4回コンテニューすれば倒せる難易度なのでアクションゲームの初心者にもお勧めできる。

 

悪い点

・お金の単位が銭と円(100銭で1円)のため、慣れるまで所持金や払うお金を勘違いしてしまう。

・プレイ画面上ではお金の出入りするタイミングしか所持金が表示されない。そのため所持金を確認するためにステータス画面を開く手間が発生する。

・登場する雑魚キャラは警官や日本軍、または台湾人のごろつきと種類が少ない。

 

 

 

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