キング・ジスター3(King Jister 3)- プレイ後の感想と作品解説【レビュー】 

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©2025 AppsGears & dsgn s.r.o.

 

基本情報

 

タイトル キング・ジスター3
対応機種 Steam,Nintendo Switch
販売 AppsGears
開発 AppsGears
発売日 2023年12月20日(Steam版),2025年5月15日(Switch版)
対応言語 日本語, 英語,チェコ語*

Nintendo Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみプレイ可能。ただし、一部、ソフト内で言語を変更できる場合有り。

(*e-shopには表記なし)

備考 IARCレーティング:7+(暴力の暗示)
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作品概要

 

「キング・ジスター3」(King Jister 3/Král Jister 3)はチェコ共和国の独立系ゲームスタジオAppsGearsが開発、販売を手掛けるゲーム作品。

本作はポイント&クリック形式のアドベンチャーゲーム。西洋風の架空の王城を舞台にした物語で、プレイヤーは愛しの王女アリアベルをジスター王の魔の手から救い出すべく、その行方を求めて城内探索を行っていくといった内容だ。

 

欧州圏域を対象にGoogle Play、及びApp Storeにて販売されたスマートフォン対応ゲーム「King Jister」、「King Jister 2」*に続くシリーズ第3作で、ストーリーは前作「2」からそのまま続いている。ジャンル自体は同じ探索アドベンチャーでありながらも、テキストベースだった前2作からポイント&クリック形式へと路線を大きく変更しての登場となった。

Nintendo Switch版では新たに日本語に対応。プレイ中は画面上部に比較的大きな文字による字幕が表示され、快適なプレイが可能だ。

(*過去リリースの2作品については英語のみの言語対応となっている。)

 

リンク:Král Jister – česká textová hraing(Official Page)(※チェコ語)

リンク:AppsGears(X(Twitter))

 

ストーリー

 

今よりはるか昔、よく晴れたある日の事。キングジスター王国での出来事です―

王都より遠く離れた地で勤務をしていたあなたは、ジスター王が送りつけた正体不明の従者によって、愛しの王女アリアベルが攫われてしまった事を耳にします。

 

長い旅を乗り越え、やっとの思いで辿り着いたジスター城。

城内への潜入後、あなたは数々の罠や謎、迷宮を突破しながら王女の捜索に尽力します。

 

しかし、彼女の姿は未だ城のどこかに囚われたままです。あなたは城内の次なる階へと足を踏み入れました。

こうして、アリアベル救出の為の新たな物語がここに幕を開くのです。

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン 各方角への移動
Lスティック カーソルの操作
Lボタン マップの表示
ZLボタン インベントリ表示
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック カーソルの操作(※Lスティックと同効果)
Aボタン (インベントリで指定したアイテムを)使う
Bボタン インベントリ表示(※ZLボタンと同効果)
Yボタン 拾う/取得する
Xボタン 見る/調べる
Rボタン 全オブジェクトの表示
ZRボタン インベントリ表示(※ZLボタンと同効果)
+ボタン メニュー画面

 

 

ゲームの遊び方

ゲームは極めてスタンダードな一画面方式+ポイント&クリックスタイルの探索アドベンチャーだ。チェック可能な対象をクリックして調べ、場合によっては入手したアイテムを適切な場面で使用することで1つずつ道を開いていくのが基本的な遊び方となる。

 

ゲームシステム

 

移動は方向ボタン

「King Jister 3」の舞台となるジスター城内部は、ゲーム上では固定画面のエリア同士で繋がった構造となっている。

エリア間の移動は画面上から見て、進入可能な通路や入り口、扉のある方角に対応した方向ボタンを押すことで行う。画面左側の通路の奥へ行きたいのであれば左の方向ボタンを押す、と言った具合だ。

移動可能な方角には、画面右上のコンパス四方に矢印が点灯するようになっているので、これを目印にしよう。

 

基本は全オブジェクト表示機能の使用から

ゲーム開始直後や新たなエリアに到達した際には、まずはZLボタンを長押しして調査可能なオブジェクトを一括で表示する事から始めてみよう。

ボタンを押している間、調査可能な対象には画面上に円形のマーカー(上画像参照)が表示されるようになっているので、カーソルをどこに置けばいいかが一目瞭然だ。

 

調査可能ポイントでのアクション

 

調べる

Xボタンでカーソルで指定中の対象を調べることができる。多くは対象に関する感想が返ってくるだけだが、稀に実行した時点でゲームオーバーになってしまうシーンがあるので注意。

 

取る

アイテムとして利用可能な対象であれば、Yボタンで入手することができる。入手後はインベントリ(後述)からAボタンを押すことでいつでも対象の確認が可能だ。

 

対象にアイテムを使う

インベントリ(下記項目「インベントリを開く」を参照)から任意のアイテムを指定後、Aボタンを押すことで画面上のカーソルが対象アイテムを掴んだ状態のハンドアイコンに変化。使いたい対象にカーソルを合わせ、そのままAボタンを押すことでアイテムを対象に使用する。

掴んだアイテムは一度指定した対象に実行した時点で解除されてしまうため、再びインベントリから行わなくてはならない。

 

インベントリを開く

所持品を確認したい場合はZLボタンを押してインベントリを開いてみよう。ボタンを押した直後、横長のアイテムスロットが画面下部に出現。ここで、所持アイテムをカーソルで指定した後各ボタンで詳細を調べたり、手で掴んだ状態にしてアイテム使用の準備を行うことができる。

上記の状態から使いたい対象にカーソルを合わせてAボタンを押すことで、アイテムの使用を試すことができる。ただし、いずれのアイテムも適切な場面以外ではジョーク混じりの反応が返ってくるだけか、容赦のないゲームオーバーを迎える、といった運命が待っている。

入手アイテムの中には思わぬ使い方をするものも含まれているので、材質や形状などから想像力を働かせることが先に進むための鍵だ。

 

マップの表示

プレイ中、Lボタンを押すことでいつでもマップを確認する事が可能だ。五角式の盾マークと向きが現在位置と向いている方角を示しており、マップの表示範囲は一度でも訪れたエリアの身が反映される方式となっている。

本作は3Dダンジョンタイプのゲームデザインではないが、進入方向毎に風景視点が切り替わる仕組みのため、慣れない内は現在位置を把握し辛い。迷ったと感じた時は積極的にLボタンを押し、地図機能を活用していこう。

 

ゲームオーバーについて

特定のポイントでは、判断を間違うと即座にゲームオーバーに突入してしまうことがある。初回のゲームオーバーを迎えるとそれ以降、画面左上に髑髏のアイコンと共に死亡回数が表示されるようになり、ゲームオーバーを迎える毎にカウントされるようになってしまう。

ただし、ゲームオーバーを迎えてもそのまま直前のシーンから何度でもやり直せる上に、死亡カウント自体はゲーム本編に影響を及ぼすものでもない。ミスの数が増えたからといって必要以上に心配を抱くようなゲーム要素ではないので、あまり気にせずにあらゆる場面で色んな行動をどんどん試してみよう。

 

プレイ後の感想

本作「キング・ジスター3」は独り言スタイルの軽妙なナレーションが付いた一画面スタイルのポイント&クリック式ADV、ということで、80年代のアドベンチャーゲームでは「シャドウゲイト」(ICOM Simulation/ケムコ)を思いだすという方もいるだろう。

なんとなく作品シリーズの沿革を調べてみたくなり公式サイトを少し覗いてみたのだが、ページの開設はなんと1999年であるとの事。更に本シリーズの源流となったのは1994年にBBSを介して配信されたPC、及びMS-DOS版「King Jister」とのことで、30年以上もの年月をかけてシリーズを温めてきた開発陣のその息の長さに驚かされるばかり。

 

シリーズ第3章にあたる本作「キング・ジスター3」ではヒント機能の類は一切用意されておらず、謎を解く上では全て自力でどうにかするしかないのが辛いところだが、最悪総当たりも可能となっているので辛抱強く色々試して行けばクリアは十分目指すことができる。進め方が分からなくなって行き詰まる山場は場面に出くわしたとしても、せいぜい2,3箇所といったところだろう。

また、ゲームシステムからは少々かけ離れたパズル型のミニゲームも幾つか登場するが、本編にちょっと変化を持たせるために用意されたような内容となっており、決して難しいものではない。

本編進行中は常時オートセーブが行われる上に、各テキストは毎回英語による読み上げが入るもののAボタンでスキップできるため、テンポの悪さという意味でのストレスはプレイ中は一切感じない。ただし、アイテム入手時等に流れる”1度しか表示されない”タイプの内容のテキストは、うっかりスキップすると読み返すことができないといった思わぬ弊害も。スピーディーに進められるゲームデザインである分、注意が必要だ。

 

テキストゲームだったスマートフォン用タイトル前2作から、探索アドベンチャーへと路線を変えたとされる今作ではSteam及びNintendo Switchとプラットフォームも大きく変えている点は興味深く、続編を予定している「King Jister 4」では対応を予定しているプラットフォームがNintendo Switch一本に絞られている。完成はまだ先となりそうだが、公式サイトによれば2025年現在の開発進行率は80%であるとのこと。

公式サイトによれば「King Jister」は全6部作を予定していると明示されており、今回はその内の第3作目である事からも明確なように物語は今作単体で完結には至らない。作品概要に記した通り、シリーズ1作目と2作目はスマートフォン向けのタイトルとして無料配信が行われているが、言語対応はあいにくと英語のみ。

公式サイトの沿革からシリーズの動きを見てみると本作「キング・ジスター3」の初出は2014年の事で、シリーズとしては1999年の「King Jister 1&2 特別テキスト版」以降、15年間動きが止まっていた様子を見せている。「3」以降は時代に合わせた開発環境の変化なども影響してか製作にもかなりの時間を要している印象で、無事完結へと至る事ができるかは今後の開発陣次第だが、今後のシリーズの動向に期待したい。

 

単純なプレイボリュームだけを見ると所要時間は1~2時間程度といったところで、テキストの流れ的に「あ、終わりそうだな…」、といった見事なタイミングで期待通り(?)にエンディングへと突入する。無闇に引っ張り過ぎず、軽くプレイする上で丁度いいボリュームであると感じられた。

前述通り、前2作がスマートフォン環境でのみリリースされている事もあり、SteamやNintendo Switchといった環境でのみ本シリーズに触れる場合はここまでのエピソードがごっそり抜け落ちている事になるが、ストーリーはほぼ添え物のような作りになっている事から、今作から入っても問題なく楽しむことができる。

90~2000年代初頭辺りのテイストのフルCGで描かれた城内ビジュアルが、今となっては懐かしさをも感じさせる「キング・ジスター3」。スタンダードな脱出系アドベンチャーが好きな人には価格相応に楽しめる一本となるだろう。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) .5

 

良い点

  • 古典的なポイント&クリック式の探索アドベンチャー
  • (Nintendo Switch版)翻訳精度の高い日本語字幕でプレイ可能
  • 短編につき、サクッとクリアできる程良いゲームボリューム

 

惜しい点

  • (Nintendo Switch版)ポイント&クリックスタイルの作品と基本的には相性が良いとされる画面タッチ操作に対応していない
  • ごく一部のエリアに限り、調べた途端に唐突にゲームオーバーになってしまう仕掛けが集中している
  • 前2作が本機やSteam環境には移植されておらず、本作自体も途中のエピソードにあたるため物語的には完結に至らない(次回作は現在開発中とのこと)

 

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