ヴァーチャルハイドライド ~遊ぶ度に世界が変化する3DアクションRPG。その組み合わせは40億以上!?

スポンサーリンク

f:id:stgk:20190307091023j:plain

©SEGA ENTERPRISES,LTD.1995

©T&E SOFT,Inc. 1984,1995 All rights reserved.

 

 

基本情報

 

タイトル ヴァーチャルハイドライド(Virtual Hydlide)
対応機種 セガサターン
販売/開発 セガエンタープライズ/T&E SOFT
発売日 1995年4月28日
備考 セーブデータ数:3

 

作品概要

f:id:stgk:20190307091920j:plain

1984年にPC-8801用のアクションRPG作品としてリリースされた「ハイドライド」。1995年、その流れを汲む作品がセガサターンに登場した。「ヴァーチャルハイドライド」と題された本作では、これまでに登場した計3作品のような見降ろし型から一変、実写取り込み映像と本格的な3D視点のシステムを起用したアクションRPGへと大きな変貌を遂げている。

本作の世界観やストーリーの部分は1作目「ハイドライド」をベースとしており、登場モンスターやゲーム展開もかつての冒険を彷彿とさせるものに仕上がっている。序盤の展開を取り上げてみても、森→墓地→吸血洋館(バンパイア退治)→… という流れで、1作目を遊んだプレイヤーならば少なからず懐かしさを覚えることだろう。

 

ワールドクリエイトシステム

f:id:stgk:20190307094714j:plain

「ヴァーチャルハイドライド」では、従来の同作シリーズとは一味異なる意欲的なシステムを採用している。

まずはハイスコアシステムの起用。本作では敵を倒して経験値を上げてレベルアップ― といった典型的なRPGのレベルシステムは排除。一方で、敵を倒す事でスコアが手に入る形式が搭載された。一応RPGということでレベルアップ自体の概念は残っており、ゲーム中特定の地点までゲームを進める毎に順次レベルアップ。HPや装備可能な装備品各種の総重量が増加していくという仕組みだ。

そして本作のもう1つの特徴が、ワールドクリエイトシステム。「ヴァーチャルハイドライド」ではニューゲームごとに世界が創生され、フィールド/ダンジョンマップの構造や、アイテム配置などが丸ごと変化する仕様となっている。マニュアル上ではその組み合わせは全部で40億通り以上というのを本作の特徴の一つとして謳ってある。実際、ニューゲームのたびに新たな気持ちでプレイに臨めるのは、本作の画期的なポイントであると言えるだろうか。

世界が作られる度にクリエイトコードなる英数字の羅列によるパスコードが表示されるが、これはその時に作られた世界をそのまま記録したコードだ。前回攻略半ばであえなくゲームオーバーとなってしまった際、同じ世界でもう一度遊びたい時にはニューゲーム時にこのコードを入力することで、全く同じ世界を1から遊ぶことが可能となる。前回作られた世界の攻略がどうしても諦められなかった場合の救済措置となるだろう。

 

操作方法

 

(キーコンフィグで「ボタン配列A」選択時)

十字キー 上:前進 下:後退 左:左回転 右:右回転
STARTボタン メニュー呼び出し
Aボタン 防御
Bボタン 攻撃1
Cボタン 攻撃2
Xボタン 調べる/走る
Yボタン マップ確認
Zボタン ウィンドウ表示
Lボタン 左にずれる
Rボタン 右にずれる

ボタン配列はプリセットのAとBの2種類から選択が可能。プレイし易い方を選んでおこう。

 

プレイヤーのアクション

f:id:stgk:20190309193723j:plain

本作の操作スタイルはセガサターンパッドのボタンをフルに使用する設計となっている。

 

f:id:stgk:20190309194614j:plain

まず、十字キーは上下が前進と後退。左右が視点移動という操作体系となる。ここに加えてL/Rボタンで左右にずれることによる、カニ歩き風の移動も可能。前進と後退については、Xボタン押しっぱなし状態でダッシュ移動とバックステップが行える。ただしダッシュは所持アイテムの総重量が高すぎた場合、速度が落ちるので要注意だ。

 

f:id:stgk:20190309195022j:plain

Aボタンで防御姿勢をとるガードを、B/Cボタンでそれぞれ振り下ろしと突きの2タイプの攻撃を繰り出せる。2つのアクション間で威力的な差はないが、敵との間合いによって使い分けると効果的だ。

 

f:id:stgk:20190309194813j:plain

足元に落ちているアイテムや、眼前のオブジェクトを調べる場合はXボタンを押す。アイテムは背景に隠れることも時々あるが、比較的目立つ形や色をしているので発見の上で戸惑うことはほぼ無いだろう。

 

f:id:stgk:20190309195050j:plain

Yボタンでエリアマップを表示。上画像は序盤のフィールドのマップとなる。前述のワールドクリエイトシステムにより、フィールド1つ取っても決して一本調子な構造にはなっておらず、ニューゲーム毎に毎回地形や配置が一切異なったものとなる。難易度次第では次の目的地が地図上に表示されるので、これを目印として進めていこう。

 

f:id:stgk:20190309205028j:plain

Zボタンでウィンドウをオープン。キャラクターステータスやプレイ中の難易度、ワールドクリエイトコードなどの情報が下段に詰まっている。ゲームの中断や環境設定などもここで行えるので、必要に応じて利用していこう。

 

ゲーム難易度

f:id:stgk:20190309205250j:plain

ゲーム開始時には初級、中級、上級の3種類の難度から選択が行える。難易度ごとの主な違いは最初からマップが完成された状態であるかどうか、次の目的地が表示されるか否か、といった部分にかかってくる。

初級の場合はこれらの制約はどちらもかからず、比較的ゆったりした冒険が可能。反対に上級では両方の制約がかかることで攻略に歯応えが出て来ること必至だ。それ以外には難易度毎の特徴は特にないので、各自のプレイスタイルに応じた難易度を選択してみよう。

 

f:id:stgk:20190309205412j:plain

f:id:stgk:20190307100011j:plain

ゲーム開始直後、プレイヤーは短剣一丁のみの姿で平野に登場するが、そのままの格好では心もとないので、まずは初期装備品を探して墓地を目指すのが王道の進め方となる。フィールドを一通り歩いてみれば、ジェリーやトレント、コボルドなどのモンスター群と遭遇することになるので、彼らを相手にここで操作方法に慣れておくと良いだろう。

 

f:id:stgk:20190309205516j:plain

f:id:stgk:20190309205542j:plain

基本的に落ちているアイテムは拾った直後は未鑑定状態になっており、使用してみるまでその性能は分からない。鑑定自体には特別必要なものはなく、ただ使用するだけでアイテムの正体は判明するのだが、それが呪われたアイテムであった場合は解呪を行わないと処分することができなくなってしまう。呪いの種類ごとに様々なペナルティも受けてしまうため、うっかり引っかからないためにもくれぐれもアイテムの鑑定は慎重に行いたい。

 

プレイ後の感想

f:id:stgk:20190309210823j:plain

本作のようなサードパーソン(三人称視点)スタイルのアクションゲーム作品は今でこそ珍しくはないが、セガサターンで登場した同タイプのゲーム作品は極めて少なく、その意味では貴重なタイトルだと言える。ハイドライドシリーズを遊び慣れてる人ほど、見降ろし2D型のアクションRPGだった前3作からの変貌ぶりにあるいは面食らうかもしれないが、世界観は間違いなく同シリーズを継承したものとなっている。前シリーズを一切遊んでいない方でも過去作品との絡みは特になく、本作のみを純粋に単発作品として楽しめるので安心してほしい。

十字キーによる視点移動や左右ステップなどの一風変わった操作感覚のクセに初めは戸惑うかもしれないが、じっくりと攻略を進めるのが楽しい作品となっている。セガサターンユーザーで取り分けアクションRPGが好き、特にローグタイプの「ランダム生成型」アクションゲームが好き、といった方にこそ触れてみて欲しいタイトルだ。

 

評価

 

個人的スコア 6.0(10点満点中)

 

良い点

  • ワールドクリエイトシステムにより、プレイするたびにアイテムやモンスター分布、マップ構造に至るまで世界全体がガラッと変化するため毎プレイ新鮮味が生まれる
  • 上記システムによるランダム性の強いワールドによって、毎プレイ予測のつかない最後まで緊張感に溢れるプレイを楽しめる
  • 技術的に未熟な部分は見られるが、現代で主流の1つとなっているファンタジー3Dアクションの土台を95年販売の本作で表現している

惜しい点

  • データの読み込みの関係かアクション面におけるあらゆる動作がコマ送りで進行するため、アクション面で滑らかな動きを期待する場合はストレスとなるやも
  • ゲーム内にスコアシステムが搭載されているものの、自己記録への挑戦以外の面における重要度(隠し要素や実績の解除など別方面へのアプローチ)が特にない
  • 舞台となるフェアリーランドや登場するモンスターなどシリーズ旧作品と共通している要素はあるが、プレイ中はそういった面影は感じにくい

 

 

スポンサーリンク