@2021 Copylight Blaze Entertainment Ltd.
はじめに
皆様は、『Evercade』というゲーム機のシリーズが存在している事をご存じでしょうか?
ざっくりと説明するのであれば、”欧州圏の80~90年代ゲーム作品を遊ぶことができるクラシックゲームコンソール”といったところです。
ヨーロッパ市場をターゲットにした製品で、日本国内ではほとんど出回っていないと思われるため、ゲームに造詣が深い方であっても「商品名自体、初めて耳にした」という方も少なくないかと思われます。
そんな「Evercade」ですが、果たしてゲームコンソールとしてはどんな特徴を持っているのでしょうか?
今回は特別企画として、製品シリーズの1つ「Evercade VS」を短期連載という形で数回に渡り大特集していこうと思います。
関連記事内では筆者が実際に本機を触りながら、製品仕様の紹介から使い方、実際に触ってみた感想、プレイ可能なソフトラインナップなど様々な方面から分析を行い、個人的にまとめ上げたものを随時綴っていく予定です。
第1回目となる今回は、「Evercade VS」の”製品仕様”、及び”セッティングから起動まで”の流れに関する話題を中心にお届けします。
Evercadeとは?
「Evercade」は英国の企業「Blaze Entertainment」社が販売する、クラシックゲームに特化した欧州圏向けのゲームコンソールシリーズです。
シリーズの各モデル共通の特徴として”ゲームカートリッジ方式”を採用していることが挙げられ、ソフトの入れ替えによって様々なタイトルを遊ぶことが可能となっています。
最初期モデルである「Evercade」は携行が可能なハンドヘルドタイプで、2020年5月に一般販売を開始。
以降、2023年現在までに上記製品を追従する形で「VS」、「EXP」の計3モデルが順次リリースされています。
(※ハンドヘルドモデルとして同系統の商品となる「EXP」の販売開始に伴い、初期モデルの「Evercade」はV.3.0.0.ファームウェアアップデートを持って、惜しまれながらも製造終了となりました)
本項で紹介する「Evercade VS」は、Evercadeシリーズ2番目のモデルにあたる製品で2021年12月より一般販売を開始。
一般販売用のBasic Pack、Premium Packの2種類に加え、僅か5,000台限定の特別モデルとなる”Founder Edition“(英国の通販サイト「FUN STOCK」での予約購入制商品。現在は完売)など、複数のモデルが存在します。
初期モデルや次期製品の「EXP」が携帯型であるのに対して「VS」はシリーズ唯一の据え置き型となるゲームコンソールで、従来の家庭用ゲーム機のように”映像モニターに接続して、1080pのフルHD画質でプレイできる”のが特徴の1つとなっています。
次の項目では「VS」本体の特徴について、更に詳しく紹介してみましょう。
Evercade VSの特徴
Evercade VS本体の特徴
「Evercade VS」には、以下のような特徴があります。
・コントローラーを最大4つまで接続可能なUSBポート
・1920×1080のフルHD解像度(HDMI接続)
・デュアルカートリッジ仕様(最大2本同時挿し込み可)
・Wi-Fiによる本体アップデートに対応。本体購入者全員が対象のサービス特典も
・本体内蔵の複数の秘密要素(※アップデートで追加される場合有り)
・メーカーライセンスによる400以上のゲームタイトルに対応(続々追加)
(※80~90年代のクラシックタイトル及びインディーゲーム)
現役のゲームコンソール各種と比べると機能的には平凡でこそありますが、フルHD解像度やネット接続による本体アップデートに対応など、現代的な設計になっています。
筆者が個人的に「Evercade」シリーズで最も惹かれたのが、ソフトウェア展開がカートリッジ方式であるという点です。
ここ数年間で様々な商品がリリースされてきた、「クラシックミニ ファミリーコンピューター」や「メガドライブミニ」などを始めとする”小型復刻ゲームコンソール”各種においては、ごく一部を除けばいずれも”対応ソフト=本体内蔵型”で、一品ものとして完結していた商品がほとんどでした。
それに対して、本製品のようなカートリッジ式の場合は将来的なソフトラインナップの拡張という面で期待が持てます。
サブスクリプションの台頭も含め、ゲーム1本辺りの販売方式も次第にダウンロード配信中心へと移行しつつある現代において、上記の一点は”ゲームソフトを物理的に買い揃える”スタイルのコレクターにとっては、強いアピールポイントと映るのではないでしょうか。
Evercadeシリーズ専用カートリッジの特徴
「Evercade」シリーズを展開しているBLAZE Entertainment自体は、2023年現在、自社製ゲームIPを有していません。
各カートリッジに収録されているタイトルは、いずれもサードメーカー製のゲーム作品ということになりますが、全て各メーカーからのライセンス許諾を経て販売されています。
カートリッジ1つ辺りには、大体2~10数タイトルが収録されており、希望小売価格は17.99£(約3,300円(時価))と非常にリーズナブル。
こちらが「Evercade」用ソフトカートリッジのパッケージ内部の様子です。
パッケージ寸法は、高さ140mm×幅105mm。A6文庫本くらいの大きさで、本棚へ並べるのに丁度いいサイズです。
パッケージ仕様はメガドライブのものを一回り小さくしたような形状で、中にはカートリッジと共に収録タイトルの解説書が封入。
ソフトカートリッジはEvercadeシリーズ全体に互換性があり、一部の例外*を除いて3モデル全ての機種で動作可能です。
(*過去にリリースされたカートリッジの内、Evercade VSでは一部、動作対象外となる製品が存在します。詳細は今後投稿予定の別記事にて記載)
2023年11月現在、Evercadeシリーズは販売済みのカートリッジを合わせると、400タイトル以上のゲームに対応しています。
NES、SNES、Megadrive、などメジャーどころの機種対応作品を抑えつつ、近年ではクラシックアーケードゲームからも数本のタイトルが参戦を果たしていたりと、少しずつラインナップの拡大を見せています。
更にはIntellivision(インテレビジョン)や、日本では当時ほとんど普及しなかったTC64(コモドール64)、Amiga(アミガ)などのホームコンピューター用の旧作がピックアップされているのも特徴です。
かつてのヨーロッパ界隈のゲームにおける一時代を体験したい、というコアなゲームファンにとっては、当時のタイトルの片鱗を垣間見ることが出来るのも魅力の1つと言えるでしょう。
製品仕様
以下に、「Evercade VS」の仕様周りに関する情報を記載して参ります。
(※一部、海外Wikipediaを参考にしています)
商品名:Evercade VS
メーカー:BLAZE Entertainment Ltd.
発売日:2021年12月
(外箱寸法*)(*Premium Pack)
幅:330mm
高さ:115mm
奥行き:190mm
製品重量:1.5kg
(本体寸法)
幅:198mm
高さ:46mm
奥行き:128mm
本体重量:472g
ストレージ:4GB(内蔵)
USBポート数:4
電源供給:Micro-USB | 0.5V/1.0A以上
メディア:ROMカートリッジ
OS:Linuxベース
CPU:ARM Cortex-A53 クアッドコアプロセッサ 1.5Ghz
メモリ:512MB / DRAM DDR3
対応言語:英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ポーランド語、オランダ語
製造国:中国
本体重量は、Joy-Con装着時のNintendo Switch本体重量(406g)より若干上くらいの重さ、といったところです。
4GBの内蔵ストレージを有していますが、容量の大半は本体アップデートに利用されているものと思われます。
なお、ハードスペックに関する話題は筆者にとって専門外の分野につき、シリーズ記事内ではほぼ取り上げることは無いと思います。あらかじめご了承下さい。
購入方法
「Evercade」シリーズは欧州圏市場に向けた商品ということで、日本国内では一般の家電量販店はおろか、本商品を取り扱う店舗自体を見つけることはまずできないでしょう。
更に、本商品の発売は2021年末で、現在では本商品の需要と供給のピークは当に過ぎた後、といった印象もあり、取扱店での在庫を探すこと自体がまずは困難となる事が予想されます。
欧州はアジアや北米に比べるとゲーム市場の規模が控え目なようなので、「Evercade」シリーズにしても元々の生産数自体が余り多くない可能性は高いです。
ということで、入手手段は専らネット通販になります。
公式サイトには小売業者名が一覧で掲載されていますが、最初からアジアがターゲットの商品ではないだけに、目を通して見たところで馴染みのない店舗名の方が多いと思われます。
日本国内からの購入で手ごろな選択肢としては、Amazon、Yahooショッピング、もしくはPlayasia辺りであれば検索でヒットし易く、在庫が残っている可能性がほんの少しあるでしょうか。
市場平均価格
本場英国での「Evercade VS」各モデルの希望小売価格は、Basic Packが89.99£(ポンド)、Premium Packは109.99£となっています。
日本円換算ではそれぞれ約16,600円、20,000円(時価)といったところですが、実際にはここから、ほんの少し上乗せされた価格で売られている場合がほとんどです。
(筆者の場合は幸い、比較的適正価格で購入することが出来ました。)
海外輸入品につき、取り扱い店を発見できた際には取引上のトラブルを避けるためにも、注文前にあらかじめストアの情報をきちんと調べておくことも忘れずに。
開封
それでは実際に開封していきます。
こちらが「Evercade VS」製品本体の外箱です。
今回購入した”Premium Pack版”は、本体と各付属品に加えて、「Technos Arcade 1」と「Data East Arcade 1」のパッケージ付きカートリッジが2つ同封されている仕様です。
側面や裏側には英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語の5言語で、本体仕様の各特徴や取扱時の注意などがビッシリと書かれています。
外箱はスリーブ状になっており、これを左右どちらかにスライドさせると、上画像のような真っ赤なデザインの内箱が姿を現します。
そしてこちらが内容物です。内訳は以下の通り
・コントローラー×2(USB TypeA | ケーブル長:3m)
・ゲームソフトパッケージ×2(「Technos Arcade 1」/「Data East Arcade 1」)
・Micro-USBケーブル(ケーブル長:1.5m)
・クイックスタートガイド(68P)
画像左上のお弁当箱のような形状をしたオブジェクトがEvercade VS本体になります。
コントローラーはUSB Type-A方式の有線型で、前面部と上部側面に合計12個のボタンを備えた構造。
赤い色が印象的なケーブルは3mとたっぷり余裕のある長さです。
右下の黒いケーブルは電源供給プラグで、こちらはMicro-USB方式。
一般的なUSB Type-Aポートに接続して利用できますが、快適なパフォーマンスの稼働には”0.5V/1.0A以上の電力供給が必要“となります。
右下の小冊子がクイックスタートガイド。
セッティングに関する基本的なマニュアルとトラブル時のQ&Aといった内容が記されており、割り当てページ数は1つの言語辺り8ページ。同じ内容が計8言語別で書かれています。
当然ながら、日本語はただの一文字も含まれていないので、製品購入後に目を通す際は悪しからず。
最後に、右上の2つのパッケージが、上記の項目で説明したゲームカートリッジになります。
Premium Packに含まれている2本のパッケージソフト収録タイトルはそれぞれ以下の通り。
商品名 | 収録タイトル |
---|---|
Technos Arcade 1 | ・The Combatribes(コンバットライブズ) ・Block Out(ブロックアウト) ・Battle Lane Vol 5.(バトルレーン Vol.5) ・Double Dragon II: The Revenge(ダブルドラゴンⅡ) ・Double Dragon III: The Rosetta Stone(ダブルドラゴンⅢ ザ・ロゼッタストーン) ・Mania Challenge(※日本未発売 「エキサイティングアワー」の続編) ・Minky Monkey(ミンキーモンキー) ・Mysterious Stones: Dr John’s Adventure(ミステリアスストーンズ) |
Data East Arcade 1 | ・Bad Dudes Vs. Dragon Ninja(ドラゴンニンジャ) ・Breakthru(強行突破) ・Burger Time(バーガータイム) ・Chain Reaction(マジカルドロップ) ・Gate of Doom(ダークシール) ・Darwin 4078(ダーウィン4078) ・Lock ‘N’ Chase(ロックンチェイス) ・Sly Spy(シークレットエージェント) ・Tumblepop(タンブルポップ) ・Wizard Fire(ダークシールⅡ) |
両メーカー共に人気どころもいくつか抑えつつ、なぜそこを…?といったタイトルも含まれていたりと、幅広いジャンルを抑えた渋いチョイスだと思います。
ゲーム市場におけるクラシックゲーム復刻の動きは近年、現代プラットフォームへの移植という形で各国毎に積極的に行われていますが、上記収録タイトルの中には、日本では未だ復刻されていないタイトルもいくつか見られます。
(テクノスであれば「バトルレーン Vol.5」「ミンキーモンキー」「ミステリアスストーンズ」、データイーストであれば「ドラゴンニンジャ」「ダーウィン4078」「シークレットエージェント」など)
ただし、各作品共に収録バージョンはいずれも欧州圏向けにリリースされた1バージョンのみ、となっていますので悪しからず。
【重要】セッティング前に別途必要となるもの
・Wi-Fi環境(※本体アップデートが必要な場合)
「Evercade VS」各モデルの製品内には、本体と最低限の付属品が封入されていますが、映像と音声を出力するためのHDMIケーブルは含まれていません。
これについては本体用に新調する、もしくは、普段使用しているケーブルを併用する、などの形で別途ご用意下さい。
また、「Evercade VS」はWi-Fi接続に対応しています。この機能は本体のアップデートを行う際に必要となります。
現状、Evercade VSにおいて、ネットワーク接続を活用して出来ることはハッキリ言ってそう多くはないですが、色々と使い勝手が向上するので、接続環境があれば是非用意しましょう。
セッティング
かなり前置きが長くなりましたが、ここからは本体起動からゲームプレイまでの流れを写真付きで紹介していきます。
ということで、早速セッティングに移ってみましょう。
配線から起動まで
まずは、本体背面の各端子にHDMIケーブルとMicro-USBケーブルを接続。
もう一方をそれぞれ、映像モニター側の同端子と電源供給が可能な媒体のUSB端子に繋いでいきます。
続いて、前面の4つあるUSB端子にコントローラーを接続。
プレイヤー1のコントローラーは一番左側のポート(〇のマーク)に挿し込みます。
配線に関する工程はたったこれだけです。
接続を確認したら、本体右側のパワーボタンを約1秒間長押しします。
その後、長押しの力を緩めるとフロント部のランプが白く点灯を始めます。
ランプが七色にグラデーション後、赤色に光り始めたら起動成功です。
接続モニターにメーカーロゴと本体ロゴが順に流れ、ホーム画面が表示されます。
本体にカートリッジを装着する
ゲームカートリッジを装着するタイミングは、電源投入前、起動中のどちらでも構いません。
本体フロント部のフタを上方向に開けると、中に赤色の2つのスロットを確認できます。ここにカートリッジを挿し込みます。
挿し込む際の向きですが、ラベルが貼られた側を背にした状態で挿し込んで下さい。
挿入時には、しっかりと挿し込んだという手応えは余り返って来ませんが、グラつきが起こらないようにきっちり奥まで挿し込みましょう。
抜く時は、スロット上部のくぼみとカートリッジの出っ張り部分に指をかけて手前に少し引き出した後、カートリッジ両脇を親指と人差し指でつまんだまま、スッと手前に引き出すようにすればOKです。
初回起動時の設定
起動後、Evercade VSロゴを経て、初期設定を行います。まずは使用言語の選択です。
欧州圏で使用される8言語の中から1つを選んでAボタンで決定。
最も無難なのは「English」ですが、別途、必要な言語が他にある場合はそちらを選んで下さい。
続いて、Wi-Fi接続設定をすぐに行うかの質問が表示されます。
すぐに行う場合は、そのままAボタン:SET UP WIFIを選択。今回はひとまずBボタンでスキップします。
Bボタンでスキップした直後に現れるWi-Fi設定スキップに関する警告表示をAボタンでスキップすると、続いてEULA(利用許諾契約)の確認画面が表示されます。
長い文面を一番下までスクロールした後、Aボタン:ACCEPT EULAで同意の意志を示します。
以上の設定を終えると、いよいよホーム画面へと移ります。
以降の手順は次の項目で紹介します。
ゲームを選んで遊ぶ
上画像が「Evercade VS」のホーム画面になります。
本体フロント部分のカートリッジスロットに「Evercade」の専用ゲームカートリッジを1つ、或いは2つ差し込んでいる場合は、2本分の収録タイトルを一斉に読み込みます。
ゲームを選んで遊びたい場合は、コントローラーのD-パッド(方向ボタン)でプレイするタイトルを選んで、Aボタンで決定。
ここでは試しに、「Technos Arcade 1」に収録されている「Double Dragon 2: The Revenge」(上画像中央下)を選んでみます。
D-パッドでカーソルを操作し、画面をスクロールして該当作品のサムネイル画像を選択後にAボタンで決定しましょう。
すると上画像のような画面に切り替わります。
このランチャー画面では、オリジナル版の発売年度、ゲームジャンル、対応プレイ人数、簡単なゲーム解説文(「READ MORE」を選ぶと続きを閲覧可能)などのデータが確認可能。
「Stats」の項目では”総プレイ時間”、”プレイ回数”、”ロード、セーブ回数”といったトータルプレイデータの確認が可能となっています。
同画面表示中に、Dパッドで下の方向にスクロールすると、操作説明(初期設定時)を図解でチェックできるので、必要に応じて目を通しておくと良いでしょう。
画面中央付近の「Play」ボタンに青枠のカーソルが表示されている状態で、Aボタンを押せばゲームが起動します。
(「Last Save」を選んだ場合は、最後のセーブポイントからの再開状態で起動します。)
©Arc System Works
以上の工程を経て、「Double Dragon 2: The Revenge」が無事起動しました。
「Evercade」ソフトの内、「Arcade」シリーズの各収録作品で遊ぶ場合、”SELECTボタン:コイン投入、STARTボタン:ゲーム開始”が各収録タイトルの共通操作となっています。
アーケードゲームの仕様に基づき、ワンプレイやコンティニューには1回辺りコインが1つ必要となることも併せて覚えておきましょう。
以上が、ゲームタイトル選択から起動までの手順となります。
ゲームプレイ中の各種本体機能については、後日投稿予定の別記事にて改めて紹介しようと思います。
まとめ
概要から購入、ゲーム起動まで「Evercade VS」について長々と紹介してきました。
ここからは、実際に触ってみた感想を交えつつ本製品の長所・短所を下記でまとめてみます。
長所
「Evercade VS」の長所として、筆者が最初に挙げたいポイントが本体のデザインです。
紅白ツートンのカラーリングが施された本体ボディとコントローラーは、懐かしさと近代的な雰囲気を伴った”ネオクラシック”といった趣で非常にクール。
稼働中はフロント部分が発光するのもオシャレなポイントで、どこか往年の特撮ヒーロー的な佇まいに、初回起動時には思わず気持ちが昂りました。
(筆者の年代的には、海外ドラマ「ナイトライダー」に登場するスーパーカー・ナイト2000を彷彿とさせます)
また、セット一式のコンパクトさや配線の少なさ、セッティングの容易さも好印象となった部分です。
コントローラーのケーブルは3mと少々長すぎる感もありますが、結束バンドなどで綺麗に巻くことでコンパクトに収納が可能。
本体は500g未満と比較的軽量で、場所を取らないコンパクトなサイズになっています。
(※携行も視野に入れる方の場合は、ハンドヘルドモデルである「Evercade EXP」の方をおススメ致しますが、現在は「VS」以上の品薄商品となっています)
対応タイトルのラインナップについては、欧州での展開を見せる各サードメーカー製タイトルを中心にかなりマニアックなチョイスとなっていますが、8bitゲームコンソールからホームコンピューターまで、幅広いプラットフォームのゲーム作品が1つのハードで遊べるのは魅力的なポイントです。
短所
短所としてまず挙げられるのは、システムテキストからクイックスタートガイドを含め日本語には一切対応していない点です。
(元々が、欧州圏向けの製品なので当然と言えば当然なのですが)
更に、製品内にはHDMIケーブルが付属していません。購入を一考されている方は、この点をあらかじめ覚えておいて下さい。
コントローラーは海外仕様の関係もあってか、決定とキャンセルのボタン効果が逆配置になっています。
上記の問題は印字についても同様で、スーパーファミコンのボタン配列に慣れている方の場合、AとB、XとYの並びがそれぞれ入れ替わっている点が、慣れない内は混乱するかもしれません。
操作性の面においては、D-パッドのレスポンスや4ボタンの感度が比較的軽めで、特に後者は連打系の操作には向いていない印象です。
タイトルによってはゲームプレイ中、スプライトの点滅(いわゆる、被ダメージ時等の場面におけるキャラの”ちらつき現象”)発生時に、オブジェクトが一時的に全く映らなくなるケースが見られます。
これについては、各種スキャンフィルター機能を使用することで一定の軽減効果が見られる場合がありますが、遊ぶタイトルによってはプレイ中にかなり気になるかもしれません。
また、購入時においての重要な点として製品保証に関する問題も無視できないところです。
Evercade公式の「サポート」にメールを送った際、自動で送られてきた返信メールに書かれていた記載によると、
欧州圏の正規販売店からの購入の場合は2年間の補償を受け付けている。
非認定販売者からの購入品は補償の対象外となる。“
とのことでした。
大まかに言えば、公式サイトの「Retailers」項目に店名が掲載されているショップ以外で購入した場合は、もれなく対象外に当てはまるということになります。
日本国内で楽しむために購入を考える場合は、基本的には補償は受けられないと見た方がいいでしょう。
Evercade VSはゲームコンソールとしては比較的低価格設定な方ですが、決して安価な商品というわけではないので、「それでも手に入れたい」という方は、上記のリスクを加味した上での購入をおススメ致します。
まとめ(簡略版)
・配線や初期設定も含めて、起動までの導入がごく簡単
・パッケージと収録タイトルの紹介書付きで、コレクション性が高いカートリッジの仕様
・ステートセーブ&ロード機能、疑似スキャンライン機能、ベゼル(壁紙)などの本体機能を搭載
・Wi-Fi接続に対応、ネットワーク経由で本体アップデートが可能
・日本語による公式なサポートは一切なし
・HDMIケーブルが同梱されていない
・AとB、XとYが逆転しているなど、ボタン表記の配列が日本の仕様と少々異なる
・各収録作品のバージョンは、欧州圏リリース版のみに限られる
最後に
以上、「Evercade VS」の購入からセッティング、起動までの流れと、製品への雑感を簡単ながら綴ってまいりました。
今回は短期連載特集という特殊な形式でお送りしていますが、このような企画は筆者としても初めての試みであり、構成などの面で色々と至らなかった点もあるかもしれません。
おかしな箇所が発覚した場合は、必要に応じて随時加筆、修正をさせて頂きますので、記事内でお気づきの点が御座いましたら、コメントをお寄せ頂ければ幸いです。
といったところで、第1回はここまで。
次回は「Evercade VS」のオプション機能やネットワーク接続といった、「環境設定」に関するあれこれについて紹介してまいります。
(続きます)
@2021 Copylight Blaze Entertainment Ltd. はじめに 前回より短期連載(予定)でお送りしている「Evercade VS」特集。 第2回となる今回[…]