基本情報
サンドラの大冒険 -ワルキューレとの出逢い-
機種:スーパーファミコン(ROMカートリッジ)
発売:ナムコ
開発:ノバ
プレイ人数:1人
発売日:1992年7月23日
価格:8,300円(税別)
ゲームジャンル:アクション(サイドビュー形式)
■ナムコ「ワルキューレ」シリーズのスピンアウト作品
ナムコのゲーム作品「ワルキューレの冒険」シリーズに登場するキャラクター
サンドラを主人公に据えたスピンアウトタイトルのアクションゲームとなるのが
本作「サンドラの大冒険 -ワルキューレとの出逢い-」だ。
ファミコン用タイトル「ワルキューレの冒険 -時の鍵伝説-」では
単なるお助けキャラといったポジションだったが
同シリーズ内でも特に人気の高いアーケードゲーム「ワルキューレの伝説」では
2P側のプレイアブルキャラクターに抜擢。
少しずつその存在感を高めていったサンドラというキャラクターは
スーパーファミコンでは、ついに主人公の座を獲得。
タイトルにまでその名を冠することとなった。
■病の息子を救うべく、お父さんサンドラは旅立つ
ゲーム内でのサンドラの目的は、風土病に侵された息子を救う
その方法を捜して旅をする、といったもの。
農具の鋤を片手に、全8ステージの長い道のりを駆け抜けていくことになる。
本作でのサンドラのアクションは実に豊富。
Bボタンを使った鋤による基本的な攻撃や溜めジャンプ
真上に飛び上がった直後、横方向に大きく突進する錐もみダイブアクション
等、鋤を使ったものを中心にした多彩でアクティブなアクションを持っているが
モーションが大掛かりで隙が出るものが多く、無闇に使うと比較的自爆を起こし易い。
入力方法を覚えたからといって、自由気ままに使うのは本作では厳禁だ。
(※自爆についてのより具体的な所感は後述)
攻撃アクションはほとんどの相手に対して、基本的な攻撃手段となる
Bボタンでの鋤の小振りが最も使い勝手が良いだろう。
■前二作から一変 純粋なサイドビューアクションに
RPG要素の強かったトップビュー形式ACTの前二作とは打って変わって
「サンドラの大冒険」のゲームシステムはスタンダードなサイドビューの
2Dアクションゲームとなっている。
世界観や登場キャラクターは従来のシリーズを踏襲しており
コアクマン、ズール、シザース等の旧作からお馴染みのモンスターも多数登場。
副題にもある通りワルキューレと出会うまでの前日譚、というストーリーのためか
本編中でワルキューレの姿を拝むことが出来ないのは少々悔やまれる点か。
スーパーファミコンの性能を駆使して、無駄なくシンプル
且つ柔らかいタッチで描かれた彩り豊かな各ステージは
いずれも絵本の世界を旅しているかのような雰囲気に満ちており、実に魅力的だ。
■随所に挿入されるテキストでの会話劇が物語を彩る
本作はストーリー描写もしっかりしていて
各ステージクリア後にはビジュアルと共にナレーションによるあらすじが
プレイ進行中には特定のNPCとのテキストによる会話劇が随所にそれぞれ挿入される。
この演出自体は前作「ワルキューレの伝説」から使われているものではあるが
本作は総テキスト量もかなり多いので、読み応えもたっぷりだ。
■コンティニューは使い過ぎに要注意
本作では残機を使い果たす、あるいは作中のNPC会話内の選択肢で
誤った選択をしてしまう事で、魔王ゾウナによって
ブラックサンドラへと姿を変えられるバッドエンドへと直行してしまう。
この点も含めて、総じて激辛難度気味な「サンドラの大冒険」ではあるが
一応コンティニューシステム自体は搭載されており、
デフォルトで7機と多めに用意されている残機を万一全て使い果たしても
ステージ最初からの再開自体は可能となっている。
ただし本作のコンティニューシステムは、利用した回数がカウントされ
過度に利用しすぎた場合、強制バッドエンドになるという仕組みになっている。
エンディングを迎えるためには必然的に、極力コンティニューには頼らず
全てのステージを踏破できるだけの腕が試されることになるのだ。
■温かみ溢れるビジュアルに反して、その難易度は…
「サンドラの大冒険」は一見は穏やかな雰囲気のビジュアルから
“手に取り易そうなゲーム”と映りがちだが、その見かけに反して
本作の難易度はとんでもなく高い。
敵への接触や、被弾一発で即アウトという即死システムに依るところや
全体的なアスレチック要素自体の難易度が高いことも、主な要因としてあるが
同時にサンドラの各アクションの隙の大きさも併せて挙げておきたい。
前述通りサンドラは鋤を使ったアクションを繰り出して進めていくのだが
錐もみアタックや下突きなどの各種アクション発動後に、狙いが外れると
着地時に尻もちをついたり、地面に刺さった鋤を抜こうともがく―
等の一定時間身動きが取れないアクションをその都度取るのだ。
モーション一つ一つは表情豊かでそれ自体は特にマイナス点には映らないが
この動きがいちいち長い上に、もがいている間は完全に無防備となるのが問題点。
その僅かの隙に敵が近づいてこようものなら、一切反撃できずに接触してミス
というサンドラの末路を指をくわえて見ているしかないもどかしさを味わう事になる。
上のような理由も含めて、本作攻略の上で攻撃アクションのうっかりによる空振りは
プレイ中では絶対に避けたいところだ。
■制覇は難いが、シリーズファンは抑えておきたい一作
奇しくも難易度の高さを強調した紹介になってしまったが
本作はいわゆる覚えゲータイプのゲームバランスでデザインされているので
繰り返し挑戦して慣れていくことで、攻略自体は可能な設計になっている。
(それでも全体的な難度は相当なもので、ある程度の覚悟をもって臨んで頂きたいところなのだが…)
アクションゲームとしての完成度自体は高く、ストーリー要素も強めで
一度プレイすれば思わず先を観たくなる造りになっているのは憎い点だ。
ワルキューレの歴代シリーズファンにとっては勿論避けて通れない作品ではあるが
シリーズファンでなくとも激辛気味の2Dアクションを求めてる方には
挑戦し甲斐のある一作として挙げておきたい。