魔物ハンター妖子 -第7の警鐘- ~チャイナドレスの魔狩り人、真野妖子の激闘をアクションゲームで

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©NCS corp. 1991 / ©MUTSUKI&MIYAO 1989

 

 

基本情報

 

タイトル 魔物ハンター妖子 -第7の警鐘-
対応機種 メガドライブ
販売/開発 メサイヤ/日本コンピュータシステム(NCS)
発売日 1991年3月29日
備考 原作「魔物ハンター妖子」(原案:六月十三 キャラクターデザイン:宮尾岳)

 

作品概要

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「魔物ハンター妖子」(以下、妖子)は六月十三&宮尾岳両氏の共作で手掛けられた作品で、1990年代初頭にOVA(オリジナルビデオアニメーション)とゲームを主なプラットフォームとして複数のメディア展開を果たした。「妖子」の作品として最も代表的なのはOVAシリーズで、これらはいずれも東宝、バップ社の提携でミュージッククリップ集を含めた計6本の映像作品が作られている。

80年代~90年代アニメーション作品の題材として見られる”戦う女子高生ヒロインもの作品”の一つとして分類される作品ではあるが、頭部両サイドに輪を象った三つ編みと、戦闘着としてチャイナドレスを纏う主人公、真野妖子(まの ようこ)の印象的なビジュアルは、OVA作中で時折登場するセクシーなシーンも絡めて一定のファンを生み出した。

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今回紹介する「第7の警鐘」はOVA、ドラマCDなど複数ある「妖子」系列の作品の内TVゲーム作品の1つで、メガドライブ向けタイトルとしてリリースされた2Dサイドアクションゲーム。妖子の魔物ハンターとしての基本設定だけを同じにしながら、他の関連作品との繋がりは一切ないオリジナルストーリーとなっている。

 

ゲームの特徴

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学園が異界に飲み込まれ、空にはその首謀者と思しき怪しい影が映る― といったカットからゲームはスタート。妖子は装身具である妖魔リングの力を借りて魔狩人 ー 魔物ハンターの姿で、この怪現象の元凶を追うべく立ち上がる。

重々しい雰囲気の空と巨大な植物が大地に根差した異界を舞台に、魔の力を得た怪物が襲って来る― といった装いのステージ1は妖艶な雰囲気を醸し出しながらも、本作独特のプレイ感覚を習熟する上でも持ってこいのバランスに仕上がっている。

 

「第7の警鐘」はごくごくシンプルなステージ攻略型ジャンプアクションといった設計で、時間制限ありのライフ&残機制、最大7回まで利用可能なコンティニュー制を採用している。

ライフゲージは、敵や敵弾との接触でダメージ分のゲージが緑から赤へと変化。ゲージはダメージ判定後に一定量は自然回復するが、のけぞりや無敵時間といった概念がない本作では敵に接触したままでいると一瞬でライフが空っぽになってしまう。そのため敵本体には攻撃が必要な時以外は無闇に近づかず、後述するリング攻撃等で適度な距離を保ちながら戦っていくのがベストな戦術となるだろう。

上記の内、時間制限については各ステージ共に比較的シビアで、ボス戦付近でリスタートした場合は残り時間が短い事が多く、のんびりと戦う猶予を与えてもらえない。各ステージ突破の上では、必然的にスピード重視な攻略を求められるゲームバランスになっている。

 

操作説明

 

(※メガドライブ用3ボタンPAD準拠)

十字キー 移動
Aボタン
Bボタン 破邪の剣による攻撃/(押しっぱなしで)妖魔リング展開
Cボタン ジャンプ
STARTボタン ポーズ(一時停止)

 

妖子のアクション

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妖子の武器は妖魔リングから精製される破邪の剣(はじゃのつるぎ)。Bボタンをほんの少し長めに押す事で剣による上段振り降ろし攻撃を行うが、小刻みに押すとこの振り降ろし動作を途中でキャンセルし、頭上付近で剣を振るモーションを高速で行い、頭上からの攻撃を防ぐといったテクニックへと応用可能だ。

ジャンプ中はキーを下に入れたまま押す事で、下突きのアクションへと変化。下方から攻めて来る敵や敵弾に対しては、こちらも重要なテクニックとなる。

 

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Bボタンを押しっぱなしにするとリング状のシールドを展開。押しっぱなしにしている状態を維持する事で、シールドを張ったままの移動が可能となる。軽度の敵弾などはこれを張っているだけで全弾防ぐことができるので、道中の攻略、ボス戦両方において生命線となるテクニックの1つでもある。

そしてこのリングシールドのもう1つの特徴は、リング展開中任意の方向にキーを押したままBボタンを押すことで、妖子本体を中心に8方向へとブーメランのような軌道で飛ばすことが可能な点だ。敵弾を防ぐといったリングシールドの効果はそのままに、唯一の飛び道具攻撃としても重宝する。

厳しい攻撃が繰り広げられる各ステージを乗り越えていく上で、このテクニックは必須となるのでなんとしても習得しておきたい。

 

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Cボタンではジャンプを発動できるが、本作における妖子の跳躍性能はジャンプそのものの高度、空中での慣性、空中での軌道の修正方面などを含めてクセが強く、実際にプレイしてみると慣れるまでは狙いのポイントへと上手く飛び移るのもままならない。取り分けステージ1のボス戦直前のエリアでは、左右へと交互に振り付ける強風に煽られる、といった追い打ちをかけるようなシチュエーションが登場。ジャンプ操作の重要性を1面から突き付けられる屈指の場面であり、プレイヤー次第ではここで挫けるケースも少なくないだろう。

全編を通してステージギミックに比較的アスレチック色が強い作品でありながら、二段ジャンプ、跳躍力増加といったジャンプ能力における強化要素は本作には一切存在しないので、ジャンプの感覚はこのステージ1を通して早めに掴んでおきたいところだ。

 

カットシーン

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道中の1~4各ステージクリア後にはCGによる1枚絵が挿入される。いずれも各ステージに沿った景観と、妖子の激闘ぶりをイメージしたものになっており、クリアのご褒美要素といった側面が強い。

当時、主にCD-ROMを扱ったアニメーション表現をふんだんに盛り込めるタイプのゲーム作品では”セクシャルな描写表現”は珍しくはなかった。元々OVA版がセクシー寄りな作風だった「妖子」の関連作品の中でも「第7の警鐘」は2Dアクションゲーム方向に徹しており、上記のご褒美画像を含めてそういった過激めなカットは控え目に抑えられている。その点については安心して(?)遊んで頂きたい。

 

ファンゲームとしての側面

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1本のパッケージソフトとして見た場合、本作のボリュームは全5ステージと非常に短い。実際スムーズに進行できれば1プレイ辺りの所要時間は30分程度となる。

どちらかといえば本作は最初から「妖子」という作品のファンに向けて作られたといった趣で、高めの難易度やクセが強い操作感などを加味した場合、アクションゲームとしての仕上がり自体は均整の取れたものとは言い難い。

その一方でパターン攻略を楽しめるゲームとしての一面もあり、ドット絵によるビジュアルカットやステージ間のBGMはいずれも高水準で、本作プレイ中に確かな満足感を得られるファクターとなっている。キャラデザインの宮尾岳氏がデザインを手掛けるパッケージも、氏の手掛ける各作品や妖子ファンにとっても欠かせないコレクターズアイテムとしてその役割を果たすだろう。

(本作のカートリッジのラベルとパッケージはどちらも宮尾氏のイラストだが、異なるデザインとなっている)

アニメーション映像作品を嗜む層が必ずしもアクションゲーム好きかというと決してイコールとは言い切れないのだが、両分野の親和性がこの時代において既に成立していた好例の1つとも捉えられるだろうか。

 

プレイ後の感想

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「魔物ハンター妖子 -第7の警鐘-」はOVA作品という原作がある以上、ファンゲームとしての意味合いが強いタイトルであることは疑いのないところではあるが(実際、筆者も原作のファンという視点から本作を購入した経緯を持つ)、個人的な本作においての評価は「難易度はやや高めだが、不思議な魅力をもったアクションゲーム」といったところだ。

90年代OVA作品らしいテイストな本作の世界観はゲームという分野との相性も良く、2Dアクションファンにとっては同時に難易度の面でも歯ごたえある作りとなっているので、メガドライブユーザーは一度手に取ってみて欲しい。

 

なお「妖子」の関連ゲーム作品は本作以外にも、「魔界からの転校生」(PCエンジン CD-ROM²)、「遠き呼び声」(同Super CD-ROM²)がそれぞれ発売されており、この2作は連作としてどちらもCD-ROMの容量を活かしたデジタルアニメに分類されるアドベンチャーゲームとなっている。

随所でボイスアクトが成されており、各キャラクターにもより感情移入できる作風となっているので、今回紹介した「第7の警鐘」などの関連商品を切っ掛けに「妖子」シリーズを追いかけてみたくなった方には、プレイのハードルこそ上がるがこちらの2本についても併せてオススメさせて頂こう。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) .5

 

良い点

  • 攻めと守りを瞬時に切り替えられる妖子の一連のアクションは、使い慣れてくると次第に操作の独特な楽しさへと繋がっていく
  • 破邪の剣を水平に構えた妖子の姿が大写しとなるオープニングを始め、高水準なドットグラフィックによるビジュアルカットを随所で堪能できる
  • 妖艶な雰囲気の1面から始まる、各BGMのバリエーションが豊かで楽曲クオリティも高い

惜しい点

  • 上段から下段への振り下ろし剣撃、妖魔リングの独特な仕様、制御の難しいジャンプなど、いずれのアクションも操作のクセが強い
  • 上記のようなクセの強い操作性に踏まえて、アスレチック色の強いステージが多く、特にジャンプに不慣れな内は足場ジャンプさえも困難と映る
  • 全編通して制限時間にあまり余裕がないステージデザインで、心理的に急かされながらのプレイへと陥り易い

 

 

 

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