Cash Cow DX(キャッシュ・カウDX) ― プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©Flynn’s Arcade all rights reserved

 

基本情報

 

タイトル Cash Cow DX
対応機種 Steam,Nintendo Switch 他
販売 pixel.games(Steam版),Flynn’s Arcade(Switch版)
開発 pixel.games
発売日 2024年2月17日(Steam版),2024年9月26日(Switch版)
対応言語 英語
備考 IARCレーティング:7+(暴力(軽度))

日本語非対応(ゲームプレイに影響は一切なし)

 

作品概要

 

「Cash Cow DX」(「キャッシュ・カウDX」)はpixel.games開発のゲーム作品。後発となるNintendoSwitch版はRAWRLAB Gamesが移植、Flynn’s Arcadeが販売をそれぞれ担当。

本作は80年代スタイルのアーケード風ゲーム。邪悪な”泥ブウ”集団ピッグポケットに盗まれた大量のお宝を取り返すべく、キャッシュ・カウ達が冒険の旅へ繰り出す―、といった内容の2Dアクションゲームだ。

 

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「Donut Dodo」の開発者Sebastian Kostka氏が手掛けるpixel.gamesの新作タイトルで、今作も8bitへのこだわりがたっぷり詰まったクラシックゲームリスペクトな一作となっている。ゲーム全体から溢れるスピーディー且つスリリングなゲーム展開にも注目だ。

 

リンク:pixel games SARL-S(X(Twitter))

リンク:Flynn’s Arcade(X(Twitter))

リンク:RAWRLAB Games(X(Twitter))

 

操作キャラクター&ゲームモード

 

「Cash Cow DX」のゲームモードは以下の4種類。

初期状態ではARCADEの難易度EASYとPRACTICEのみが選択可能。それ以外はアンロックされた状態となっており、解放には下記の表記載の条件を満たす必要がある。

ARCADE EASY、NORMAL、HARDの3種類の難易度があり、1周エンド式の全5ステージ構成。
ENDLESS MARATHON 残機を全て失うまで続く耐久モード。ARCADE-NORMAL初回攻略後にアンロック。
GOLDRUSH SPEEDRUN スコアチャレンジとタイムアタックに特化したモード。ARCADE-EASY初回攻略後にアンロック。
PRACTICE 練習用モード。ステージを指定して練習プレイが可能

 

オプション関連

 

本作のオプション設定はタイトルメニューからのみ入る事ができる。ゲームプレイ中、ポーズメニューから変更は出来ない点に注意。

BEZEL 壁紙の表示オン/オフ(オフ時は画面外が黒地になる)
SCANLINES CRT(ブラウン管)風フィルターのオン/オフ
SCREEN FLASH 画面の明滅演出のオン/オフ
SCREEN SHAKE 画面の振動演出のオン/オフ
RUMBLE 使用コントローラーの振動機能のオン/オフ
VOLUME 全体の音量(0~100%)
RESET SCORE スコアボードの初期化
INERTIA MODE 慣性モード。CLASSICとMODERNの2種類から選択可能

 

【項目の補足】

・BEZELはオンオフの切り替えのみで壁紙は1種類固定。

・SCANLINESは走査線風フィルターだけでなく、ブラウン管モニター特有の丸みを再現した演出も同時に反映される。

・SCREEN FLASHは画面全体が青色で明滅する昔ながらのフラッシュ効果演出。この演出に耐性がない方はあらかじめオフにしておこう。

・INERTIA MODEは直訳すると「慣性モード」となるが、細かい効果については現在検証中。

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン 移動
Lスティック 同上
Lボタン
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン 決定/ジャンプ
Bボタン キャンセル
Yボタン
Xボタン
Rボタン
ZRボタン
+ボタン ポーズメニュー

 

登場キャラクター

 

Cash Cow

操作キャラクター。奪われたお宝を取り返すために邪悪なピッグポケット達に立ち向かう。

ゲーム開始前に性能が異なるNORMAL(上画像左)とTURBO(上画像右)の2タイプから選択が可能だが、後者は難易度EASYでARCADEモードを一度クリアする必要がある。

 

Party Piggy

最終ステージで登場するファンキーな出で立ちの豚。

本体はステージの背景となって踊っているだけで、攻撃らしい攻撃はしてこない。

 

Speedy Spiky

ピッグポケットに属する1匹。難易度上昇に伴って移動速度が著しく増加。

基本的には足場の端まで来ると反転するといった挙動をしているが、ジャンプ可能な距離だった場合は対岸の足場へ飛び移ることも。

 

Rolly Roony

ピッグポケットに属する1匹。足場の端に差し掛かってもお構いなしにプレイヤーがいる方角向けて執拗に追ってくる。

縦穴ループも利用するので、近くにいる時は頭上にも注意を配る必要がある。

 

Bouncy Bobby

ピッグポケットに属する1匹。コイルスプリングのような見た目が特徴で、一定の箇所で飛び跳ねながらの往復移動を繰り返す。

難易度によって跳躍力や飛距離が変化するため、それぞれに対応したかわし方を熟知しておこう。

 

ゲームシステム

 

ゲームの目的はステージ内に散らばる泥ブウ小僧たちによって盗まれたお宝を回収すること。ステージ内のお宝回収率は画面上部のMOONEY*の項目で%表記で示され、100%に到達でステージクリアとなる。

多様なボーナス要素が用意されているので、恙無く狙って行くことで高いスコアを狙う事が可能だ。

(*作中において金目のものを指していることから、MOONEY→MONEY(お金)をもじった本作ならではのダジャレ的なワードであるものと思われる)

 

コンボボーナス

キラキラと光るオブジェクトが各ステージの回収対象となるお宝。

1個獲得時の基本スコアは黄色く輝くお宝が25$、七色に輝くお宝が100$となっている。

 

お宝は極めて短い間隔で連続入手することでコンボが発生する。

発生中はお宝獲得時のスコアが×2時は50$、×3時は75$…と言った具合に等倍で増加し、途切れずに取り続けていくことで倍率は最大10倍まで上昇。

さらに取り続けることで最終的にCOMBO MAXに到達、この状態は宝石の獲得が途切れても数秒間維持される。

コンボは獲得スコアに大きく影響する要素で、敵の猛追をかわしつつ如何にコンボ数の減少を抑えながらお宝を回収し続けていくかが課題となってくる。

 

エクステンドボーナス

モードを問わず、100,000$到達毎にキャッシュ・カウの残機が1つ追加。

条件となる桁が大きいだけに、積極的にコンボを狙って行かないと中々到達することができない。

 

また、エクストラボーナスエリア(後述)においてエクストラアイテムを1つ入手時に確定で100,000$が入り、確実に残機を1つ増やすことができるので、各ステージでは忘れずに狙いたいところだ。

 

宝石とハッピーアワー

宝石の効果発動中はハッピーアワーとなり、お宝の取得ボーナスが一時的に2倍になる。コンボボーナスと組み合わせることで大きくスコアをアップするチャンスだ。

ハッピーアワー中は一時的にBGMが切り替わるが、難易度HARDプレイ時のみ発動時間がかなり短く、スコアアップを狙えるチャンスも限られる。

 

ツルハシ

各ステージの特定のポイントに出現。ハッピーアワー中は一時的に姿が消えるため、入手することができない。

獲得後、一定時間キャッシュ・カウがツルハシを振るうようになり、効果発動中はトゲ床も平気な完全無敵状態になると共に敵を撃退することもできる。

また、このツルハシはエクストラボーナスエリアへの鍵という役割も兼ねたものになっている。詳しくは次項を参照。

 

エクストラボーナスエリア

各ステージには一定の条件を満たすことで入場が可能なエクストラボーナスエリアが存在する

ツルハシの入手後、効果が発動中にステージ内の特定ポイントに設置されたシークレッドドア(上画像)が開かれた状態になるので、急いで入場しよう。

 

エクストラボーナスエリアでは、BGMが終わる前にアルファベットアイテムを獲得することで、100,000$=1機分の残機が追加される。

BGMが一巡した時点で強制的に外に出されてしまうので、ギミックを上手く使って素早い入手に努めたいところ。

また、エクストラアイテム獲得の有無に限らず、各ステージのボーナスステージはワンプレイにつき一度までしか入場することができないので要注意。

 

ステージ紹介

 

LOONY LOOPS

各モードにおけるファーストステージ。印象的な一回転ループは一度進入すると自動的に駆け抜ける事ができる。

最初のステージにして本作ならではのゲームバランスや執拗な敵の追撃がいきなり牙を剥く。例え最低難易度でプレイを始めても、慣れない内はミスも頻発し易い。

作中のゲーム内要素は一通り出揃っているので、まずはここでゲーム全体のペースを掴んでおこう。

 

BOUNCE BLAST

最下段にはトランポリンが配備。上に載る事で大きく跳躍が可能だが、一部のものは合計3度乗っかると破裂し、以降はステージ最上段へと抜ける片道通行の抜け穴へと変化する。

このステージはトゲ床が多く、ジャンプをミスしてうっかり落下死という事態を招くことも珍しくない。トランポリンの周囲は特にトゲ床だらけなので、利用する際には慎重に。

 

WACKY WAVES

水上に浮かぶ船は足場として利用できるものの、常時左右に大きく揺れるためかなり不安定。

また、船上のキャッシュ・カウは船の動きに合わせて揺れないという仕様により、そのまま立ったままいると落下してしまう。

ピッグポケット達は水上に落ちてもそのまま平気で移動を続けるので、素早く次の場所へと飛び移らないと危険だ。

 

MINECRAFT MANIA

坑道がモチーフとなったステージで、随所に設置されたトロッコに載って移動が可能。上下に延びたレールは時に他のレールと交差したり複雑な繋がり方をしている。

レールの途中でジャンプしてトロッコから降りてしまうと車両がその場に留まることになるが、この場合は一度ミスしてリスタートするまでトロッコの位置がリセットされずにそのままとなってしまう。一度乗った場合、必ずレールの反対側まで走らせておくことをお忘れなく。

 

ZIPWIRE ZANY

ステージ内に設置されたジップラインにぶら下がって、下方に向けてワイヤーの先へと滑降することが可能。前ステージのトロッコとは異なり、こちらは下から上へは戻れない片道通行のギミックである。(※ただし利用後のジップラインは、キャッシュ・カウが降りた後に自動的に元の位置に戻る)

また、全てのお宝を回収するとペイバック(お返し)タイムがスタート。報復としてステージ中央に配置された計4つのスピーカーをツルハシで破壊しよう。

ただし、1つ壊す毎にツルハシを再入手しなくてはならないので、最後まで気を抜かないように。

 

プレイ後の感想

(※今回、Nintendo Switch版パブリッシャーであるFlynn’s Arcade様より、本作のゲームキーを提供頂きました。この場を借りてお礼申し上げます)

 

「Cash Cow DX」はpixel.games、及びパブリッシングのFlynn’s Arcadeが得意とする、現代的な80年代アーケードゲームの新作だ。

開発者が同じということで、タイトルデモのキャラクター紹介やゲームデザインなど一連の構成は「Donut Dodo」を踏襲したものになっており、4画面構成の左右スクロール型ステージ、操作キャラクターの移動高速化、時間制によるアイテムコンボ要素など、濃密且つハイテンポなゲーム展開を体験できる。

 

ENDLESS MARATHONのような特殊ルールのゲームモードを除けば、基本的には1周エンド方式の全5ステージというボリュームでワンプレイ辺りの所要時間は短い。また、今作ではプレイヤーの取れる手段がただ敵をジャンプでかわしていくだけでなく、入手後に一転、反撃が可能となるツルハシという攻撃要素が用意されているのが嬉しい。

 

とはいえ、プレイヤーの前に立ち塞がるのは疲れ知らずとばかりにステージを駆けまわるピッグポケット達や扱いを間違えると自爆し兼ねないギミックの数々。接触=即アウトという非情な仕様も相俟って、上手く立ち回れないとあっという間に残機が奪われて行ってしまう。

取り分け難易度HARDに至っては敵の移動スピードの高速化に伴いその暴走度合いも極まっており、何度もプレイしないとステージ内を自由に走り回ることもままならないだろう。最下段にはトゲ床がびっしりと敷き詰められているステージが多く、着地ミスなどが要因で事故死というケースも多い。

「Donut Dodo」ではゲーム内容と共にノリノリな8bitスタイルのBGMも注目されたことはファンにとってはご存知であるところだが、「Cash Cow DX」のサウンドもまた見逃せない。

今作の楽曲を手掛けるのは、Tuī名義で知られるVGMコンポーザーのVincent Verger氏。当ブログにおいてこれまでレビュー記事で扱った作品では、Chew Chew MimicFlea!に楽曲を提供している。

なお、Switch版配信直前にあたる9月24日よりデジタル盤、及びCD盤のOSTが各種通販サイトやレコードショップにて販売開始となった。本作のサウンドに興味があるという方はこちらも要チェックだ。

 

邪悪なピッグポケット達は敗北を喫した。 キャッシュ・カウ達のお宝は無事だ! …今のところは。

また今作では、この手のアーケードスタイルのゲームでは珍しいプラクティスモードが標準搭載されている。

苦手なステージの練習用としてだけでなく、好きなステージを1面だけ手軽に遊びたいという時にも重宝したりと、遊び易さへの配慮が行き届いているのは嬉しいところ。

 

同じコンセプトを以て作られた「Donut Dodo」と比べてみても、近いゲーム性はあるもののしっかり区別化が成されており、決して二番煎じとは感じさせない造りとなっている。

筆者個人の感想としてはアクションゲームとしてのスピード感やスリルという面であれば、本作がより上回っているといった印象を感じた。

 

「Donut Dodo」を楽しめたという方や、クラシックアーケード作品が好きという方にとっては、本作「Cash Cow DX」は特にイチオシのタイトルとなっている。是非お試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) .0

 

良い点

  • アーケードゲーム黎明期の作品を徹底的に意識した、シンプル且つ中毒性の高いゲームデザイン
  • VGMコンポーザーVincent Verger氏の手による軽快なチップチューンBGM
  • ステージを選んで集中的に練習可能なトレーニングモードを搭載

 

惜しい点

  • 一見での難易度はかなり高め
  • 一部モードのアンロック目的で、アーケードモードを各難度で順次攻略する必要がある
  • タイムキーパー的な敵が不在なため、ステージ内に居座ることができてしまう

 

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