Unto Deepest Depths アントゥー・ディーペスト・デプスス ー プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©Flynn’s Arcade all rights reserved

 

 

基本情報

 

タイトル Unto Deepest Depths
対応機種 Steam,Nintendo Switch
販売 McCollum Games(Steam版),Flynn’s Arcade(Switch版)
開発 McCollum Games, RAWRLAB Games(※Switch版移植担当)
発売日 2025年12月11日
対応言語 英語
備考 IARCレーティング:7+(暴力(軽度))

※日本語非対応

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作品概要

 

「Unto Deepest Depths」(アントゥー・ディーペスト・デプスス)は、ソフトウェア開発者Jason Macollum氏によるゲームディベロッパーMcCollum Gamesが開発、販売を手掛けるゲーム作品。Nintendo Switch版においてはFlynn’s Arcadeがパブリッシング、移植はRAWRLAB Gamesがそれぞれ担当。

本作はトップビュースタイルによるターン制ストラテジーゲーム。ユニット編成で各戦闘マップを順次攻略して行き、計5つのバイオームを制覇することがゲームの目的となっている。

 

フィールド移動とチーム運用の合間に戦闘、イベントが交互に展開していくゲームシステムで、戦闘パートは初期の「ファイアーエムブレム」シリーズのような正方形マス型マップ上で行われる完全ターン制仕様。道中の戦闘でパーティが全滅しないように勝利を収めていき、最後に待ち受けるエリアボスを倒すことでステージクリアとなる。

 

リンク:Jason | The Shaggy Dev(X(Twitter))(BlueSky)

リンク:Flynn’s Arcade(X(Twitter))(BlueSky)

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン 移動、選択
Lスティック 同上
Lボタン 【戦闘中】(味方ユニット選択中)移動距離、有効範囲の確認
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン 決定
Bボタン 戻る
Yボタン 【マップ画面】パーティ編成画面へ
Xボタン 【マップ画面】マス説明のアクティブオン/オフ
Rボタン 【戦闘中】(味方ユニット選択中)移動距離、有効範囲の確認
ZRボタン
+ボタン 設定メニュー

 

ゲーム開始準備

 

プロフィールの作成

新たに冒険を開始する際はタイトルメニュー上から3番目の項目「Venture Forth」(冒険しよう)を選択。始めに行うのはプレイヤープロフィールの作成だ。

と言っても設定自体はかなり簡易的なもので、決定する項目はプロフィール名と自身の顔アイコン、肩書き(Background)の3つ。プロフィール名はあらかじめゲーム側でテンプレートとして用意されたものから1つ選択する方式となっている。「プレイ毎に毎回吟味するのは億劫」、と言う場合はそのままでも構わない。

顔アイコンの種類はYボタンで切り替えることができる。チェインメイルやローブを纏った人物など何パターンかが用意されているが、選択はお好みでOK。

 

「Background」はゲーム進行時に恒常効果の特殊ボーナスを付与する要素で、以下ではその一部を紹介。

Captain(リーダー) 昇級コストが低く済む代わりにアップグレードのコストが増加
Nobody(何者でもない) アビリティとスキルが使用不可
Wealthy(金持ち) 出発時にいくらかのXPを保有する代わりにボス討伐報酬のXPが減少

これ以外にもゲーム本編をやり込んでいく内に、新たなBackgroundの選択候補がアンロックされていくとのことだ。遊び易くなる効果が開放されるのを求めて、どんどんプレイしてみるといいだろう。

 

開始時点の編成を決定

 

プロフィールに関する各項目を決定後、「Choose your starting party」の項目から、2体のユニット編成をL、Rボタンで切り替えて選択しよう。

ゲーム開始直後の段階で選べる組み合わせは以下の3通りだが、Background同様にゲームプレイを通じて新たな編成パターンがアンロックされていく。

 

 

KnightMage

(騎士+魔術師)

ArcherPeasant

(アーチャー+農民)

KnightKnight

(騎士+騎士)

ゲーム序盤の傾向からいくと、近距離戦闘と中~遠距離戦闘をこなせるユニットが1体ずついた方が臨機応変に対処し易い。なるべくMageかArcherのどちらかが入った編成を選ぶといいだろう。

 

ゲームシステム

 

編成メニュー

プロフィール作成後に改めてゲーム開始となる。まずはフィールドマップ画面上で+ボタンを押して、編成メニューを展開しよう。

編成メニュー上では各スロットに「Promote」と「Upgrade」の2つの強化項目があり、これらの機能を通じてユニット毎に能力の管理を行うことができる。

ユニットの強化を含めた各機能の運用には、遠征を通じて獲得できるXPが重要となっているので、1つのフィールドマスを踏破する毎にこまめに現編成の確認やユニットの準備を整えておこう。

 

ユニットの昇格と雇用

 

「Promote」(昇格)コマンドを通じて、選択中のユニットを上位のクラスに昇級することができる。昇格にはクラス毎に一定量のXPコストが必要となる。

また、空白のメンバースロット内にある「Hire」を選ぶことで、”4XP”と引き換えにPeasant(農民)ユニットを1体雇用できる。人員を増やしたい場合には、思い切ってXPを投入してみるといいだろう。

 

ユニットの種類について

 

以下では編成に加えることができるクラスユニット計9種と、図表形式によるクラス昇格を紹介。

【Hire&Promote早見表】

 

クラス名 移動距離/効果範囲

Peasant(農民)

Knight(騎士)

Mage(魔術師)

Arecher(アーチャー)

Lancer(ランサー)

Warrior(ウォーリアー)

Pyromancer(パイロマンサー)

Healer(ヒーラー)

Arbalist(アーバレスト)

各ユニットの行動順や移動先の判断を誤ると、味方に攻撃してしまう事故を起こしてしまう危険性もある。ユニット毎の移動距離や有効射程は特に理解しておこう。

 

アップグレード

「Upgrade」(アップグレード)メニューではXPと引き換えに、各特性(初期段階では全16種類)を習得してキャラクターを個別に強化する事が可能となっている。各特性はツリー形式に5つに分かれた項目アイコンからパスを1つ選んで下位のものから順に強化していく方式で、単純な能力アップ系から戦闘時に便利な効果を持つものまで様々。

分岐パスが存在するツリーの場合は、ユニット毎にどちらか1つのパスしか選択することができない、という点には注意が必要。右側3種のパスを強化する際は気を付けよう。

 

特性の種類

ゲーム内に登場する特性の内、ゲーム開始初期から利用可能な16種類の詳細を以下で紹介。

(※特性の内容はクラス問わず一律同じです)

Health + 4 XP
ユニットの体力を1増加する
Health ++ 5 XP
ユニットの体力を1増加する
Health +++ 6 XP
ユニットの体力を1増加する
Damage + 6 XP
全ユニットに対して1ダメージ追加する
Damage ++ 9 XP
全ユニットに対して1ダメージ追加する
Berserker 5 XP
前回ターンにダメージを与えた場合、追加ダメージを与える
Survivor 4 XP
戦闘中1回のみ、体力が満タンの状態で致命傷を受けた場合、体力が1の状態で踏みとどまる
Nea Miss 7 XP
戦闘中1回のみ、死亡を回避する
Revenge 5 XP
死亡時に攻撃者に3ダメージを与える
Helping Hand 2 XP
戦闘中1回のみ、味方ユニットの隣でターンを終了した際に回復する
Expert Precision 7 XP
味方ユニットはこのユニットからのダメージをすべて回避する
Comradery 3 XP
味方と隣接している場合、追加ダメージを与える
Group Shield 3 XP
味方と隣接している場合、被ダメージを軽減する
Bounty Hunter 4 XP
このユニットが1回の戦闘で3体以上の敵を倒した場合、XPを1獲得する
Bounty Hunter Plus 6 XP
このユニットに”Bounty Hunter”が発動した場合、追加でXPを1獲得する
True Hunter 6 XP
“Bounty Hunter”が発動し、このユニットの体力が最大状態で戦闘を終了した場合、追加でXPを2獲得する

注意点として、一度アップグレードした特性は元に戻すことができない関係上、同様にXPを振り分ける前の状態に戻すこともできなくなっている。

XPは一定量確保していてもイベントマスなどで頻繁に増減し易く、強化リソースとしては常に貴重なポイントとなる。無駄遣いしないように上手く運用していこう。

 

フィールドメニュー

本作のフィールドはライン同士で繋がれた各マスを順に進めていく方式となっている。マスの種類は画面左下の補足にある通り、Battle(戦闘)、Event(イベント)、Boss(ボス戦)の3つ。

基本的にはボス戦のマスを目指す片道進行となり、後戻りは不可。道が分岐している場合は、どちらか一つのルートを選択する必要がある。

Xボタンを押すと編成メニュー(※「編成メニュー」の項目を参照)を呼び出すことができるので、必要であれば次のマスへと進む前に準備を整えておこう。

 

戦闘マス

フィールド移動時、各戦闘マスに入る事で戦闘パートへと突入する。バトル開始前には、必要に応じてユニットの配置を決めることが可能。赤く表示されたマスの範囲で各ユニットを希望の配置ポイントにドラッグで設置しよう。

全ての配置が終えたら、Xボタンを押して戦闘開始。今作の戦闘システムは完全ターン制となっており、プレイヤー軍→敵軍、の順で展開。全てのユニットの操作が終わった時点で、自動的に相手側のターンへと切り替わる仕様となっている。

各ターンではユニット1つ辺り、移動先と行動を順に1回ずつ指定する必要がある。ユニットのクラス毎に移動距離やアクションの有効範囲を確認した上で、戦闘型クラスであればなるべく敵に攻撃が届くように、Healerの場合は必要に応じて回復技が味方ユニットに届くように動かしていくのが理想だ。

 

体力ゲージについて

プレイヤー側と敵側各ユニットの頭上に横に並んで表示されたブロックが体力ゲージを示しており、各種攻撃やトラップの被弾によって減少。失ったゲージの回復手段はHealerによる回復魔法のみとなっている。

体力ゲージを全て失った時点で対象ユニットは退場となり、戦闘終了までの間は復活はできない。

 

ユニット操作時の注意点

本作のユニット操作の際に特に気を付けたいのが、以下の2点だ。

・各ユニットはターン毎に必ず1マス以上移動する必要がある

各ユニットの攻撃は味方ユニットに対しても有効となる

これらに加えてユニットの行動順も非常に重要で、操作するユニットの順序や移動先次第では味方の攻撃で自爆して不要なダメージを負ってしまう、なんて事態もありえてしまう。

事故防止のためにもユニット毎の移動方向や距離、攻撃技の有効範囲をしっかりと把握しておきたい。

 

戦闘終了後

マップ上の全ての敵を倒す事で勝利となりリザルト画面へ。勝利時は報酬として一定量のXPを獲得できる。

リザルトの確認を終えてフィールドマップ画面へ戻りたい場合は「Continue」、タイトルメニューへ戻りたい場合は「Quit to Main Menu」をそれぞれ選択すればOK。

一方、プレイヤー側のユニットが全てやられた場合はゲームオーバーとなり、次回の冒険は再び最初からとなってしまうので気を付けよう。

 

イベントマス

フィールドマップ上で「?」のマスに止まった場合は、様々な内容のイベントがランダムで発生する。代表的な効果はXPの増減や仲間ユニットの追加、バトルの発生など。

 

やつれた男』

今は廃墟となった城塞へと続く古い石畳の道を歩いていると、荷物の詰まったバッグを抱えて土の上に座り込むやつれた男に出会う。

「ここ最近は大変なんだ。でも、もしよければ、ちゃんと掃除はするよ」と彼は言う。

何も与えない | 経験値が足りない

イベントでは内容によって選択肢が出る場合があり、結果に応じてパーティ全体に様々な効果が与えられる。マイナス効果となるものも登場するため、時にはリスクを負ってしまうことも。

 

特性について

あなたは旅を通じて成長し、新たな特性を獲得するかもしれません。  

再ロール – 2XP

頑丈

体力がアップ。

 

スカベンジャー

戦闘で獲得できるXPが増加。

ボス戦ではXPを獲得できない。

フィールドマップ上の「?」マスでは様々なイベントがランダムで発生するが、その1つとして特性を授かるという内容に遭遇することがある。

無造作に選ばれた2種類の特性の内どちらかを選んで決定する事で、特別な効果を授かる事ができる。ただし、効果の持続は次回挑戦時のバトルマス1回分なので、クリア後は効果が切れてしまう点に注意。

 

アンロック要素について

作中ではゲームのプレイ状況に応じて、プロフィール作成時の出自(Backgrounds)、ゲーム開始時の編成(Starting parties)、新たなアップグレード(Upgrades)のそれぞれが段階的にアンロック可能となっている。

計36種類が存在するアンロック要素だが、開放条件はゲーム内で明記されていない。各ユニットを昇級してみる、アップグレードを実行する、などなど、ゲームプレイを通じてとにかく色々と試してみると良いだろう。

 

プレイ後の感想

(今回、Nintendo Switch版パブリッシング担当のFlynn’s Arcade様よりゲームキーを提供頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。)

 

「Unto Deepest Depths」。日本語では『最深部へ』といった意味合いを持つタイトルの本作は、敵軍が待ち受けるフィールドマップ上を1マスずつ深部を目指して進行していく、非常にオーソドックスなシステムのストラテジーゲームだ。

中世を意識した雰囲気を伴う世界観ではあるが明確なバックストーリーは特に持たず、プレイヤーサイドの各ユニット達にも個性は無くボードゲームにおける駒としての役割を持つのみといった無骨な装いに徹している。装飾要素を可能な限り削った上で、ステージクリア方式の戦略系シミュレーションスタイルへと特化した作りになっているのが印象的。

 

バトルやイベントが発生する道中の各マスを1つずつ順に進行しながらフィールドマップを攻略。最後に待ち受けるボス戦マスの踏破を経てステージクリア達成。

戦闘マスでは、タイルマス方式によるプレイヤーと敵サイド同士の、どちらかが全滅するまで争い合うバトルパートが交互に展開。各ユニットの攻撃は敵と味方に忖度しない形となっており、プレイヤーのターン時には行動順や移動先を誤る事で、味方の攻撃で自爆してしまう危惧もあったりと中々にシビアな仕様となっている。

 

『嬉しくない驚き』

ダンジョンの古びた廊下を歩いているとゴボゴボという音が聞こえ、フードをかぶった人影が目の前に現れて行く手を阻んだ。

「なんだ、そこにいたのか」

人影がそう告げると、廊下の奥から重々しい生き物たちが集まり、その輪へと加わった。

「長い事探したぞ」

一方、フィールドに登場する「?」マスではテキストによって綴られるテーブルトーク風のイベントが発生。選択肢が表示される場合もあり、選んだ結果次第で経験値やバフ効果を獲得する事ができる。

ただ、本作では対応言語が英語のみとなっている関係上、特にこれらのイベントパートはそのテキスト分量も多くなっている傾向が強い。操作自体は単にAボタンを押して進めていくだけではあるが、文面を通じてどんな事が起こっているのか改めて内容が知りたいという場合は、別途翻訳が必要となる場合もあり、注意が必要だ。

 

同ジャンル作品としては小規模且つかなり古典的な見た目ながら、80~90年代産海外PCゲーム風のいぶし銀な佇まいを感じさせる独特の雰囲気と、コンパクトな規模に収められたゲーム内容が本作の魅力。言語面のネックはあるもののゲームの仕組み自体はそう難しくはないので、ビジュアルを見て好みだと感じた方は遊んでみて損はない。

クラシカルテイストの中世風ストラテジーゲームを味わってみたい、という方は、本作「Unto Deepest Depths」をどうぞお試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 7.0

 

良い点

  • シンプルさを突き詰めたクラシカルな戦略型シミュレーション
  • 一戦辺りがコンパクトなため、必要以上に時間を取られない
  • フィールドマップは同じながらも、遊ぶ度に戦闘フィールドが変化するランダム要素有り

 

惜しい点

  • 日本語に一切対応していない
  • 味方ユニットの攻撃が他のユニットにも及ぶ関係で、慣れない内はMage等の範囲攻撃でうっかり自爆してしまい易い
  • 全滅時にリトライ機能はなく、容赦なく最初からのスタートを強いられる

 

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