Neo Cab ~親友との再会から始まるタクシードライバーリナの数奇な一週間

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Neo Cab is a Trademark of Chance Agency LLC

 

※本作はテキストスタイルのアドベンチャーゲームです。

記述においての配慮を十分行ってはおりますが、ゲームジャンルの性質上、場合によってはネタバレを少なからず含む場合がありますことをご了承下さい。

 

基本情報

 

タイトル Neo Cab
対応機種 Steam/Nintendo Switch/iOS
販売 Fellow Traveller
開発 Chance Agency
発売日 2019年5月10日(Steam版)/2020年5月28日(Switch版)
対応言語 日本語,英語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語,韓国語,オランダ語,ポルトガル語,ロシア語,中国語 (簡体字),中国語 (繁体字)
備考 CEROレーティング:B(12歳以上対象)(麻薬)

 

 

作品概要

 

「Neo Cab」(「ネオ キャブ」)はサンフランシスコのゲームスタジオChance Agencyが開発を手掛ける近未来が舞台のアドベンチャーゲーム作品。コンソール版ではFellow Travellerがパブリッシャーを担当。

ゲームの肝となる部分はドライバーと乗客とのコミュニケーションで、プレイヤーはNeo Cabのドライバー・リナの視点で様々な客とのやり取りを通し、カリフォルニアの都市ロス・オジョスでの彼女の一週間の出来事を体感していく。その上で評価を遵守した優良ドライバーであろうとするか、それとも自身の感情を重視する一人の人間であろうとするか、社会の不条理や完全自動化が進むドライバーに対する一部の客からの不当な扱いに直面した時、大きな選択を迫られる場面も登場する。

 

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リンク:Neo Cab(Twitter)

リンク:Fellow Traveller(Twitter)

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン/Lスティック 選択肢を選ぶ、カーソルの移動
Lボタン
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Yボタン
Xボタン (マップ画面時)カーソルを現在地に戻す
Bボタン
Aボタン テキストを読み進める
Rボタン
ZRボタン
+ボタン メニュー表示

 

登場人物

 

以下では作中に登場する登場人物の一部を紹介。

 

リナ・ロメロ

巨大企業Capraが誇る公共交通機関Neo Cabのドライバー。本編舞台となるロス・オジョスで親友サビーとの再会を心待ちにしている。

サビー・リード

リナの親友。3年前に喧嘩別れをしたままの状態が続いていたが、その後連絡を取りロス・オジョスでの再会を約束していた。

アズール・ヘルナンデス

到着初日、リナの車に突然訳あり気味に乗り込んできた男性客。ルスルージュにあるクラブで働いているらしい?

リアム・ベアード

ロス・オジョスには写真撮影でやって来た男性客。

アゴノン

メタウォピアン信奉者。人生は痛み。痛みこそ人生

ウーナ・セイントクレア

量子統計学者。ことある毎に自前のガジェットで宇宙の無数に枝分かれしたタイムラインを観測しているようだが…

カルロス・ウォン

Neo Cab乗客の1人。職業について尋ねてもはぐらかされるが、当人曰く「人を助ける仕事」をしているという。

 

フィオナ・パク

ビデオチャットで出会ったボーイフレンドと初めてデートをすることに。彼女の頭部から顔にかけて観られる発光体は”ナノファンデ”と呼ばれるこの時代のメイクツール。

ステラ・ブニュエル

イメージ演劇役者。Capraから送られてきたプロットに目を通し、自身に割り振られた役を練習中。

ギデオン・デカルブ

親の過保護の下、4歳の頃からkindermechに身を包むことを強いられた少女。同じような子供達を増やすまいと14歳の若さで、ソフィー法の可決に対して真っ向から異を唱える。

 

上記以外にも複数の人物が本編に登場する。Neo Cabドライバー・リナとして、貴方は個性豊かな乗客たちとどんな会話を展開していくだろうか―?

 

 

ゲームの流れ

ロス・オジョスへと向かうプロローグを経て、プレイヤーはリナのドライバーとしての生活を一週間に渡って追っていく。

作中のリナの活動は全編を通して夜間のみで展開し、1日毎に乗客を選択して2~3度の送迎を業務上のノルマとしてこなしていくことになる。その日の分の送迎が終わった後は、宿泊施設を選んで休息を取る事で次の日へと進む事ができる。

そうして送迎車のドライバーとして業務を淡々と実行していく日々の中、やがてリナは不本意な形である事件に間接的な形で巻き込まれていく…。

 

システム

 

「Neo Cab」は会話パートメインによるノベル形式のゲーム作品ではあるが、会話中の選択肢以外にも随所でプレイヤーに選択を促して来る場面が登場する。以下では本作のゲームシステムを簡単に紹介していく。

 

マップ画面/乗客選択

各夜毎の目的はまずはNeo Cabのドライバーとしての勤務。タクシーを待つ乗客がマップ上に一括で表示されるので、好きな相手を選んでいこう。

ただし、現在地より遠い距離にいる乗客を拾うとそれだけNeo Cabの電力(後者)が余計にかかることを念頭に置いておきたい。結局はプレイヤーがその時その時で誰を載せたいかによるので、不安な場合は最寄りの充電スタンドを経由していこう。

 

Neo Cabプライム会員

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利用者ごとにNeo Cabに対する評価が5段階の☆で表示されるので、これも顧客を選択する上での参考にしたい点だが待機中の顧客の中には一部、Neo Cabのプライム会員が存在する。いわゆる上お得意様だが、作中ではこうした顧客は人間のドライバーであるリナに対する当たりが強い客がほとんどで、コミュニケーションを通じて良い評価を得る上では難易度が高い。設定上、低評価を受けたドライバーは解雇されてしまう危険性があるので、Neo Cab運転手を続けたいのならば基本的にこうした顧客を載せる事は避けるのが得策なのだが…。

 

送迎

乗車場所へ向かい、顧客を載せた後は目的地へと自動で向かう。到着するまでの間、随所で出現する選択肢を選びながら客との会話を進行していく。

Neo Cabのメインとも言えるパートで、ここでの選択は物語の展開にも少しずつ影響していく。選ぶ上での時間制限などはないので、やり取りをゆったりと楽しもう。

 

feelgrid

本編を進めているとあるタイミングから利用可能になる。Feelgrid(フィールグリッド)と呼ばれるこのアクセサリはリナの感情を視覚情報化する装置で、赤なら怒り、青なら冷静、といった具合に色によって現在のリナの感情の傾向が表示される。

主には客との会話によって大きく移り変わる場合がほとんどで、現在の感情はコミュニケーション時にも影響を及ぼし、場合によっては特定の選択肢が選ぶことができなくなったりする事がある。リナのバックボーンを理解した上で感情を巧く誘導していくのが、物語を紐解いていく近道となるだろう。

 

juice(チャージスタンド)

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電力で走行するNeo Cabはバッテリーが切れると走る事ができなくなる。そのため定期的にロス・オジョスの各所にある充電スタンド(juice)でチャージしなくてはならない。

バッテリーは4本のメーターで表示され、スタンドでチャージする際はバー1本分、バー2本分、満タンの3通りからチャージ量と支払いを選択できる。現実のガソリンスタンドと同じように、店舗ごとに料金が異なるところもリアリティがあって面白い。状況に応じて必要分をチャージしておこう。

 

crashr(宿泊施設検索アプリ)

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各夜の就労時間を過ぎると、宿泊所検索モードへと移る。専用アプリcrashr(クラッシャー)を使ってロス・オジョス区内の宿泊所が一括で表示されるが、料金も目当ての施設へ行くのも全て自己負担。日当で増減した手持ちの資金や愛車の残り燃料と相談して適切な宿泊場所を選択しよう。

基本的に自動化やAIに対して抵抗があるリナは、サービスの性質からせっかくの宿泊でも心身共にゆっくりと休めない事も多い。翌日以降の送迎に影響が出なければいいが…?

 

 

プレイ後の感想

 

Neo Cabは店員と客の世間話中心のコミュニケーションで進行するアドベンチャーゲームで、1本のメインストーリーの傍らで様々な客との会話を楽しむことができる。この方式のゲーム作品は近年「Va-11 Hall-A」(2016/Sukeban Games,Wolfgame)、「Coffee Talk」(2020/Toge Productions)などインディーゲームを中心に一つのジャンルとして定着した感はある。いずれもバーテンダー、バリスタ、タクシー運転手とアプローチの違う業種を題材に、しっかりそれぞれの作品で違う世界観を醸し出しているのは魅力的だ。

さて、本作を一つのアドベンチャーゲームとして見た時、その評価は如何か?と問われると、始まりから終わりまでとにかく淡々と静かに進んでいく作風となっている。近未来テイストな世界観と欧米風のキャラクタービジュアルの組み合わせは少々クセが強く、プレイヤーを選ぶ要因ともなりうる。

 

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ゲームシステム的な面では、各顧客からの高評価を貰う上で、最適な選択肢の解についてヒントがほぼないため手探りでの攻略を余儀なくされる。(それでも大概の顧客では取り易いが)

加えて本編を普通にプレイしていると一日辺りの給与は少額しか稼げず、そこから半分以上が定期的な車両の電力チャージと毎晩の宿泊費に消えるため資金がまともに増える機会がない。この”日々の送迎のノルマ以外に余り遊びの無いスケジュール”もプレイにおける不自由を強いられがちな部分と言える。一泊110€の高級宿泊施設に泊まってみよう、などと咄嗟に贅沢なことを思いついたところで、翌日以降の活動の費用の事を思えば反射的に断念することになったとしても致し方のないことだ。(※この点については大金を稼ぐ事が出来るイベントがあるにはあるのだが、詳細は割愛)

 

作中登場するFeelgridというアイテムは物語にも関わることになる本作の重要なファクターで、舞台となるロス・オジョスと言う町の象徴であると同時に、それを装着しているリナの感情の起伏がゲームシステムの1つとして作用している。大企業Capraが提供する様々なオートメーションサービスの恩恵が受けられる町において、そこで暮らす生身の人間達の喜怒哀楽の感情はとても尊ぶべきものだ。

リナというプレイヤー視点を通してロス・オジョスの在り方を俯瞰して観ていく内、現実社会でも挙がっている様々な問題に触れていく機会もある。本作をより深く味わうためには一周と言わず、メインストーリーを終えた後も是非何周もプレイして色々な乗客との会話を楽しんでみて欲しい。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 7.0

 

良い点

  • 夜間運航のタクシードライバー視点を舞台にした独自の雰囲気を持つ作風
  • 夜の街の雰囲気を彩るLo-Fiサウンド重視のリラックスしたBGM
  • 近代社会問題を風刺した様々な時事ネタにも切り込んでいく数々の会話ネタ

惜しい点

  • 資金面の制限が強く、運航で稼いだ日々の手当は車両充電と宿泊費にほぼ消える、という地道な生活のサイクルが最後まで続く
  • リナのその時の感情によっては特定の選択肢が選べず、選びたい選択肢がある場合は対象の客を載せる前にあらかじめ感情を調整しておく必要がある
  • マルチエンディング形式ながら、ルート分岐条件が少々判り辛い

 

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