NUN MASSACRE(Nintendo Switch版) ― プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

スポンサーリンク

© Vague Scenario LLC. 2022

 

※作中の雰囲気を重視するため、上記のタイトル画像、及び「NEW Definitive Edition」の項目で使用しているものを除き、記事内のスクリーンショットは全てソフトウェアver.1.0.1時に撮影したものを使用しています。

※本作のスクリーンショットにノイズや乱れが含まれているのは、ゲーム内機能の「フィルター」適用時の仕様によるものです。ご了承下さい。

 

基本情報

 

タイトル NUN MASSACRE
対応機種 Windows/Nintendo Switch,他
販売/開発 Puppet Combo/Vague Scenario
発売日 2022年3月24日(Switch版)
対応言語 日本語,フランス語,ドイツ語,韓国語,ポルトガル語,ロシア語,スペイン語,英語
備考 IARCレーティング判定:16+(恐怖)

ver.1.0.2(「NEW Definitive Edition」アップデート)より色々と変更点あり

ゲーム起動時の協力表記にラタライカゲームズの名称あり

 

作品概要

 

「NUN MASSACRE」はブラジルのインディーゲームデベロッパーPuppet Comboが製作を手掛けるゲーム作品。Vague Scenarioが販売を手掛ける。

ゲームやノベライズを中心に主に80年代風ホラー系作品を複数本輩出しているプロジェクト・Puppet Comboによる作品の1つで、原題である「Nun Massacre」は「修道女の虐殺」を意味するタイトル。海外では本作のノベライズ版も販売中(英語)で、kindleでも購入が可能だ。

ゲーム版の内容は鬼ごっこ要素の強いファーストパーソン形式の探索アドベンチャーで、不審な内容の手紙によって、娘が通う寄宿学校へと呼び出された母親が単身校内へと向かう、というストーリーに沿って展開していく。

 

リンク:Puppet Combo(Twitter)

リンク:Nun Massacre(Puppet Combo official site内)*

(※ホラーゲーム製作というPuppet Comboのスタイルに基づき、上記リンク先サイト内の一部コンテンツには暴力的な描写が含まれている場合があります。)

 

ストーリー

 

(本編イントロ、および紹介ページより該当部を引用)

 

親愛なるマクドネル夫人。あなたがお元気であることを願います。

あなたのお子さんが病気です。すぐに治療を受けなければなりません。

本来であれば、私たちが対応するところですが、状況は緊急を要します。

電話での対応ができませんので、直接こちらにいらしてください。

あなたが平和と共にありますように。

 

マザー・アポロニアより

 

不可解な状況の中、ある手紙があなたの家へと届いた…

その内容は、あなたの娘が寄宿学校で病気になったというものだ。

娘を迎えに行こうとそこへと向かったものの、激しい嵐で道が塞がれてしまった。

地獄への一歩を踏み出そうとしていることも知らずにあなたは森の中を歩き続ける…

 

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン 左右:装備中のアイテムを選択
Lスティック 移動
Lボタン 左側を覗く
ZLボタン (押しながらLスティックで)走る
-ボタン インベントリ表示

 

JOY-CON(右)
Rスティック 視点操作、(押し込みで)背後を見る
Aボタン しゃがむ&立つ
Bボタン ジャンプ
Yボタン ズーム
Xボタン アイテムを落とす
Rボタン 右側を覗く
ZRボタン インタラクト
+ボタン ポーズ&メニュー呼び出し

 

 

各操作について

 

「NUN MASSACRE」の操作システムはごくスタンダードなファーストパーソン系ゲームに沿ったものとなっている。以下で一つ一つ紹介していこう。

 

しゃがむ/立つ

Aボタンを押すごとにしゃがみと立ち状態を交互に切り替えることができる。単に視点の高さの変化だけでなく、移動の際も低姿勢の方が相手に気づかれにくい。

気づかれないコツは物陰に隠れるなどの方法で姿を晒さないことと、灯りを極力点けないなどの対策で居場所を知らせないことだ。

 

走る/振り向く

早足で移動したい時はLスティック押し込みで走ることができる。勿論逃げる時にも有効だ。走行中はスタミナを消費するので、切らさないように管理しておこう。

移動中、背後の様子が気になるという時にはRスティックを押し込めば180度後ろを振り向くことができる。追手の様子を見たい時などに上手く使いたい。

 

装備アイテム切り替え

方向キーの左右で所有中のアイテムの切り替えを行うことができる(持ち運べるのは最大3種まで)。装備中のアイテムを使う場合はZLボタンを押すことで効果を発揮する。

包帯などの消耗品を使う場合は別途、インベントリメニューから行おう。

 

インベントリ

インベントリ確認画面では現在のステータス(健康状態)の確認、および所持中のアイテムのチェックや装備を行うことができる。

一度に持ち歩けるアイテムは3種類までで、それを超える分はその場に捨て置くなりの方法でその都度整理する必要がある。

 

ポーズメニュー

+ボタンでポーズメニューの呼び出し。主に環境設定などの項目はここで変更を行う(ゲーム難易度の変更はゲーム開始前でないとできない点に注意)。

画面左上にある「CRT」の表記にカーソルを合わせると、CRT風の画面効果のオンオフが可能(タイトル画面ではなぜかこの機能は変更不可な上に、移行時に毎回CRTオン状態へと強制的に切り替わってしまう ※ver1.02よりCRTオフ状態の画面へと変更になった)。見辛いと感じたら任意で切り替えてみよう。また、画面効果をVHS、モノトーン(白黒)、PSX(初代プレイステーション風)の3タイプから選ぶこともできる。

なお体感では日本語字幕でプレイ中の場合、「PSX」選択時にはフォントがつぶれて表示され読み辛くなるので、システムテキストを追いながらプレイするならばほかの2つを選んでいる方が見やすくて無難だ。

 

「設定」を選ぶことで環境設定オプションへと移行。幾つかの項目が見られるが、中でもあらかじめ設定しておきたいのは修道女の音声関連の項目だ。

修道女がこちらに気づい際に発するノイズの音量設定項目は、白いバーを少し右に合わせてあるだけでも相当大きな音量となる。ヘッドフォン環境プレイを想定した設計にしてあるものと思われるが、ノイズ設定オンでスピーカーでプレイする場合は騒音に近いレベルの音量なので、気になる場合はあらかじめ最小近くに絞っておくか、「修道女のノイズ」項目のチェックを切っておこう。

「カラカラ音」とある項目はコントローラーの振動機能を表している。必要に応じてチェックのオンオフを切り替えておこう(白状態がオン、色がない状態がオフ)。

 

なお、本作のポーズメニューやインベントリ画面では時間停止効果は発生しない。修道女が迫ってきている状況でこれらの操作を行っても、相手の動きを止めることはできない点にはくれぐれも要注意。

 

ゲームシステム

 

以下では本作のゲームシステムについてポイントとなるものをピックアップして紹介していこう。

 

怪しいものを調べる

青い光を放つ場所(方面)には、物語を進める上でのヒントやキーアイテムが隠れている。

あくまで方向を示しており、場合によっては蓋や引き出しの中に隠れていることもある。その場合は当然ながらこれらを取り除いてからでないと入手は不可能だ。

 

隠れる

一部の部屋ではベッドの下や棚の影など身を隠すことができる場所も存在するが、隠れる場面を修道女に見られていた場合は無意味な行為となってしまう。隠れる場合は、近くに修道女がいないかしっかり確認してから行動に移すように心がけよう。

 

徘徊する修道女

寄宿学校内では両の眼窩から血を流す不気味な修道女が徘徊している。もしも、画面にトラッキング風ノイズ(画面下部にチリチリとした効果音と共に映る白い横線のノイズ)が映るようならば、それは近くに修道女がいるという兆しだ。

本作では基本的に彼女に存在を知られることなく校内の探索を行うのが基本となる。しかし修道女は侵入者の気配を察するのが異様に上手いので、迂闊な行動は絶対に厳禁だ。

 

システム的なヒントに乏しい本作においては、どこに潜んでいるか分からない彼女に遭遇した際の対処法がわからず、当初は混乱と恐怖で何もできないまま餌食となってしまうかもしれない。じっくりと観察していると、一応彼女の巡回ルートは決まっているようだが…?

レーダーを装備中ならば、より距離が判り易くなるので、もしも校内で見つけたならばうまく活用しよう。

 

修道女に見つかってしまったら…

修道女がこちらに気づくと、耳を劈くばかりの奇声(この特徴から、本作プレイヤーからは「爆音修道女」と例えられることも)を立てながら、ナイフを片手に凄い勢いとスピードで迫ってくる。そのまま彼女に何度も刺されてしまえば命はない(難易度イージーの場合は残機3でスタートとなり、ミス直後は特定の部屋からリスタートとなる)。

武器がない場合の対策手段は基本的に逃げて隠れてやり過ごす、がワンセットとなる。もしもこちらの存在を彼女に気づかれた場合はひとまず逃げてみよう。

 

逃げる上で特に有用なのは寄宿学校の構造を把握していること。幸い、校内のフロアのほとんどは部屋割がほぼ同じなので慣れれば動き回りやすくなるが、現在何階にいるのかに関しては階段付近の壁面でないと確認が難しい。

部屋構造を知るためのヒントとして、2階の何処かにこの寄宿学校全階の大まかな部屋割りが記された手書きの地図が隠されている。まずはこれを頼りに攻略の糸口を見つけ出すことで、落ち着いて進めやすくなるだろう。

 

アイテム

 

探索序盤で入手可能なアイテムの一部を紹介。

 

アイテム 備考
ライター 一般的なオイルライター。自分がどこにいるのかを確認するのに使える。別の用途があるかもしれない?
木製の板 木製の板。何かを横切るときに使えるかもしれない
これを投げて音を出すことができる。
マップ 手書きの地図
レーダー アメリカ合衆国政府の所有物と書かれている。歩いている人を追跡できるようにしたい。
包帯 包帯(※インベントリから使用時、生命値を回復)
マネキンの腕 切断されたマネキンの腕

上記表の備考の項目はアイテム説明をそのまま記したものとなっているが、アイテムの用途は1つではない場合もあるので息詰まったら色々試してみよう。

いずれのアイテムもただ所持しているだけでは効果はなく、使う時は必ず装備を行い必要な場面で使用することが重要。また、アイテムは最大で3種類しか持ち歩けないので、必要に応じての整理も課題となる。

持ち運べずに一旦置いたものについても、必ずその場所を覚えておくようにしよう。後で必要になった、といった場合に取りに戻るために動くのも一定のリスクを負うことになるからだ。

 

プレイ後の感想

「NUN MASSACRE」は探索とステルス要素を混ぜたゲームシステムにZ級ホラー映画のような王道のストーリーが絡み合い、極上の緊迫感と追われる恐怖を味わうことができるシンプルなファーストパーソン型3Dアドベンチャーで、ホラーゲームファンならば見逃せない作品だ。

ゲーム全編のローポリゴンビジュアルだけでなく、全編を通して使用されているVHS風の歪みやトラッキングによるノイズ画面演出(年代によっては「ビデオの3倍録画」という言葉を聞くことでしっくりくる方もいるかも?)が非常に秀逸で、これが単なるノスタルジックな効果に留まらず、閉塞的で暗い空間環境での恐怖感を煽る上で実に効果的。さながらホラー映画で、殺人鬼に追われる登場人物であるかのような気持ちをより強く疑似体験できる。

 

ゲームはイントロと本編の2つのパートで構成されており、主人公であるマクドネル夫人が嵐の夜に人里離れた寄宿学校に車で向かうまで―、というイントロ部に至ってはプレイ開始時に毎回スキップも可能なのだが、簡易な操作チュートリアルを含むだけでなく映画の導入のようなオープニングが挿入されるという憎い作りで、この部分単体でプレイするだけでも作中の雰囲気を存分に味わうことができる(しかもある手順を踏めば、イントロでエンディング(バッドエンド)を迎えるということも出来たり…とシナリオ展開の自由度の高さから、筆者はかなりの衝撃を受けた)。

初回プレイはとりわけ修道女との遭遇時、”対処法が分からない故の恐怖”を存分に味わうことができた。筆者の個人的な視点を加えると、ファーストパーソン形式ゲームは画面酔いを起こしやすいという体質もあって長時間プレイには耐えることができないこともあり、一旦エンディング(もちろんバッドエンドだったが)を迎えた時には、再プレイへのモチベーションが大きく下がる事にもなったのだが、プレイを続けて対処法がわかってくると一転、先の展開が見たくなるという魅力に取りつかれるという事態となった。

 

作品紹介におけるアプローチからゲーム内の演出に至るまで、筆者にとってはいろいろな部分に衝撃を受けたホラーゲーム「NUN MASSACRE」。80年代カルトホラー映画をイメージしたとされる独特の作風をはじめ、随所にこだわりが詰まった仕上がりとなっているので、同ジャンルファンならば必見の1本だ。

なお本作を手掛けるPuppet Combo開発のゲーム作品にまつわるエピソードとしては、昨年同チームによる「殺しの館」(Nintendo Switch版「Murder House」)が日本のe-shopで配信開始となった翌日に特になんの告知もなく停止になったりと何かと話題に事欠かない(「ホーム画面のアイコンが怖すぎる」というクレームが多数寄せられた、など諸説あるものの配信停止となった確かな理由は今もって不明)。こちらのタイトルは後に「新殺しの館」(「Super Murder House」)と改まって、2022年4月14日より配信開始となっているので興味を持たれた方はこちらも要チェックだ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 7.0

 

良い点

  • ノスタルジックなローポリゴンに加え、CRT風画面やVHS風ノイズを再現した画面演出が伴う独特の映像表現
  • ホラーテイストの鬼ごっこという、緊張感と恐怖感に振り切ったゲームシステム
  • 全編のテキスト総量は多くはないが、日本語ローカライズにきっちり対応している

 

惜しい点

  • 拳銃などのごく一部のアイテムを除き、敵に対しての撃退や反撃、振り切る手段に乏しい
  • システム内にプレイ中断機能が搭載されておらず、本体のスリープ機能使用以外では再び最初からプレイする事になってしまう
  • 基本的にフレームレートは良好だがファーストパーソンというゲームデザイン上、プレイヤーの体質によっては画面酔いの危惧がある

 

 

 

寄宿学校探訪

 

イントロから寄宿学校内冒頭を中心に本作の雰囲気をスクリーンショットを交えつつ紹介。

 

寄せられた手紙を元に、件の寄宿学校へとたどり着いたマクドネル夫人。車を止め、険しい崖が続く校舎へと徒歩で向かう道すがら、断崖絶壁に向かって放置された一台の車椅子を発見。

樹を挟んだ反対側には十字架が確認できる。明らかに不審なこの状況に、ただ事ではない気配を感じる…

 

(システム的な)光源を頼りに進むと、開錠された扉を発見。ここが唯一の進入路のようだ。

建物から灯りは一切漏れておらず、人気などとても感じられる様子もない。果たして娘は無事なのか?

 

とある場所でライターを発見したことで、探索が行いやすくなった。また別の部屋では意味ありげに設置されているテレビとビデオデッキの姿を確認。デッキにテープは入っていないようだが、どこかにあるのだろうか?

 

2階へと続く階段。誰かの罠か、床底が破られ嵌った者を抜け出せないように鉄条網が張り巡らされている。足を踏み外せば、自力で這い出ることは出来ないだろう。ここを渡るには、向こう側へと架けることが可能な何か足場となるものが必要だ。

 

また別の部屋ではドレッサーの脇に隠されたダクトを発見。人一人なら潜り抜けることが出来そうな広さもある。この先はどこに通じているのだろう…。

 

上階の壁面にMEDICALと書かれたフロアを発見。この施設は救急病院も兼ねていた? 随所に隠された娘の日記を紐解いていけば何かわかるかもしれない。

 

 

ここまで画像と共に紹介してきた場面はほんの触りの部分。果たしてマクドネル夫人はこの恐怖の地で、娘と無事再開することができるのだろうか?

 

 

NEW Definiteve Edition

全プラットフォームにおいて、2022年6月2日にバージョンアップデートが開始となった。

「NEW Definiteve Edition」と題されるver.1.02では環境設定UIデザインの変更やアイテム配置のランダム化といった新規オプションに加え、修道女を出現させないことで寄宿学校内を自由に探索可能な新規難易度など、新たなコンテンツが追加されている。また、これまで起動時に強制CRTフィルターオン状態だったタイトル画面が、フィルターが消えてより鮮明になっているのがアップデート効果の特徴の1つだ。

アップデート日以前に既にソフトを購入しているというプレイヤーは無償アップデートが可能なので、ソフトの更新を通じて追加データをダウンロードしておこう。

 

 

スポンサーリンク