ルカノール伯爵(The Count Lucanor)- プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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© 2017 Baroque Decay
© 2017 Merge Games LTD

 

基本情報

 

タイトル ルカノール伯爵
対応機種 Steam/Nintendo Switch
販売 Neon Doctrine(Steam版),Silver Lining(Switch版、PS4版)
開発 Baroque Decay
発売日 2016年3月3日(Steam版),2018年7月26日(Switch版)
対応言語 日本語,英語,フランス語,スペイン語,ハンガリー語,ロシア語,ドイツ語,中国語(簡体字),トルコ語,ポルトガル語,韓国語,イタリア語,ガリシア語

(※青字はSteam版のみ。国内Nintendo Switch版ではゲーム内に言語選択設定が無く、日本語でのみプレイ可能)

※Nintendo Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみ遊べます。ただし、一部、ソフト内で言語を変更できる場合があります。

備考 CEROレーティング:D(17歳以上対象)(暴力、飲酒・喫煙)
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作品概要

 

「ルカノール伯爵」(「The Count Lucanor」)はフランスとスペインを拠点とするゲーム開発チームBaroque Decay製作のゲーム作品。Steam版ではNeon Doctrine、Nintendo Switch版では英国マンチェスターのSilver Lining Interactive*がそれぞれパブリッシングを担当。

本作は2Dトップビュー形式の探索型ホラーアドベンチャー。プレイヤーは10歳の少年ハンスの視点となり、森を冒険中に出会った青い精霊の案内の下、ルカノール伯爵が治めるというテネブラ城の探索へと挑む。

「Yuppie Psycho」の製作で知られるBaroque Decayが手掛けた代表作の内の1作で、ジャパニメーションスタイルのカットシーン演出やステルス要素を伴うアクションゲーム的なシステムが取り入れられているのが大きな特徴。作中の一部に含まれる暴力的な描写や演出から、CEROレーティング判定はD表記となっている。

e-shopの商品ページではMerge Gamesのコピーライト表記が見られるが、2025年現在、Nintendo Switch版のパブリッシングはSilver Lining Interactiveが受け持っている。なお、コンソール版に関する国内での配信はNintendo Switchのみとなっているが、海外ではPlayStationやX-boxなど各プラットフォームに向けても展開されている。

 

リンク:Baroque Decay(Official Site)(X(Twitter))

リンク:Merge Games(X(Twitter))

リンク:Silver Lining Interactive(X(Twitter))

 

(*名称に同一の語句が使用されている台湾のディベロッパー”Silver Lining Studios”とは全く別の組織である点に注意)

 

ストーリー

 

(※商品ページ内の紹介文より該当部分を引用)

 

昔々、ハンスという貧しい男の子が、森のそばでお母さんと一緒に暮らしていました。

誕生日なのに、ハンスはプレゼントもお菓子ももらえません。

怒ったハンスは、家を出ることにしました。

お母さんは、おじいちゃんの杖とチーズと3つの金貨を渡しました。

 

冒険を求めて、ハンスは森の奥へ進みます。

やがて辺りが暗くなり、怖くなったハンスは引き返そうとしました。

しかし、奇妙な精霊を見つけたハンスは、精霊を追って城にたどり着きます。

 

精霊は言いました。

「簡単な儀式で僕の名前を言い当てれば、莫大な富を継承させてあげる。」

 

城に囚われたハンスは、謎と幻想と恐怖でいっぱいの不気味なルカノール伯爵の後を継ぐことができるでしょうか。

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
Lスティック 移動
上下左右ボタン 移動
Lボタン 前のアイテム
ZLボタン
-ボタン 持ち物

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン 見る/取る/話す
Bボタン 戻る
Yボタン
Xボタン 持ち物
Rボタン 次のアイテム
ZRボタン
+ボタン メニュー

 

明るさの調節について

ニューゲームで本編を開始するとまず、ゲームの明るさに関する設定画面が表示されるようになっている。(ここでの設定後、以降は「オプション」から変更が可能)

明るさは0~200の数値の範囲で自由に調節が可能で、初期設定値は120。画面の指示に従い、蝶の見え方が丁度良いバランスとなるように数値を設定しよう。

ゲームのバランスを思えば初期値のまま始めるのが理想的だが、最大の200まで振る事で視界が広がり僅かながら冒険を進め易くなるといった側面もある。各自のプレイスタイルに合わせて最適な数値に調節してみると良いだろう。

 

ゲームの進め方

 

ライフゲージについて

画面左上に表示される赤いゲージはハンスのライフ残量を示しており、エネミーの攻撃を受けたり、各種トラップに接触することでダメージを負って一定量減少する仕組みとなっている。

失ったゲージは「くり」、「りんご」、「チーズ」などの各種食べ物を使用することである程度回復することができるが、これらのアイテムは全編を通じて入手数が限られているので気を付けよう。

 

持ち物メニュー

Xボタン押し、もしくは+ボタンメニュー上から展開可能な「持ち物」メニューでは、所持品の種類や各在庫数の確認が可能。

メニュー上では一部のアイテム選択時に「持つ」、「食べる」といった対応コマンドが表示されるが、回復系アイテムを使いたい場合は同メニュー上から「食べる」を直接を選択する必要がある。

 

任意のアイテムを選択中、Aボタンで指定する事で「持つ」の項目が「しまう」へと切り替わるが、これによって該当アイテムを手に持った状態となる。「リンゴ」のような切り替え候補に含まれないアイテムは、この方法で一時的に手に持った状態にしてから渡したい相手に話しかけてみよう。

また、上記の方法で指定した”切り替え候補外”の各種アイテムは、L、Rボタンによる切り替えが一巡すると切り替え項目から消えてしまう点に注意。

 

アイテムの種類

 

アイテムは大きく分けて、以下の3つのタイプに分類される。

1.特定の場面で直接指定して使用するもの(※食べ物を除いた幾つかのアイテム)

2.特定の場面で持っているだけで自動的に効果を発揮するもの(※鍵など)

3.「食べる」コマンドで使用する体力回復系(※食べ物類全般)

1に分類されるアイテムの場合、必要となる場面でL、Rボタンで該当アイテムに切り替え、アイコンを表示させた状態のままインタラクト対象を調べる事で効果が発動。

2に分類されるアイテムについては上記通り、持っているだけで必要な場面で効果を発揮する仕様となっており、「持つ」や「食べる」といったメニュー自体備えていない。

3に分類されるアイテムでは、「持ち物」メニュー上から「食べる」コマンドで使用する、といった工程が必要となる。「リンゴ」などの一部のアイテムにおいては、特定の対象に「渡す」事ができるといった1の特徴を兼ねているものも存在する。

 

以上のようにアイテムの分類毎に、その特徴や使用方法に関する仕様が異なっているので、それぞれ扱い方には注意が必要だ。

 

ロウソクを活用しよう

ゲームを進めていくに連れて、やがて物語の舞台はルカノール伯爵が住むと言われるテネブレ城へと移る。一面が闇に包まれている城内部の探索において、生命線とも言えるアイテムがロウソクだ。

基本的には1つ以上所持している際、手に持った状態で周囲を照らすといった使い方になるが、複数持っている場合は任意の床の上に設置して部分的な照明として使う事も可能。

 

燭台が近くにある場合は1つ分を消費して、恒久的に燃え続ける篝火の着火剤として利用する事もできる。ロウソクは城内の色んな所に隠されているので、無闇に貯め込むよりは積極的に使っていくといいだろう。

 

セーブの方法

本作の進捗状況の保存はカラスを通じて行う。基本的にカラスはテネブラ城の中庭にある噴水に常駐しているが、舞台が切り替わった時など特定のタイミングで出現して、自動的に行われる事もある。

それ以外の場合は「金貨」を1つ以上所持している際、アイテムスロットに金貨を指定した状態で話しかけると新しい保存領域へのセーブが行われる。

今作のセーブスロットは上書き形式ではなく、実行毎に毎回新規のスロットが作成されるようになっている。無闇に行うとセーブスロットで溢れかえってしまう危惧があるので、本当に必要なタイミングでの実行がおススメだ。

 

セーブ時の注意点

セーブは「金貨」を持った状態でカラスに話しかけ、上画像の台詞が表示された時点で実行される。セーブ直後立て続けにカラスに話しかけてしまった場合は、金貨を余分に消費してしまうことになってしまう。

こうした事故を防ぐためにはセーブ直後に必ず金貨を”しまう”ようにするか、アイテムを切り替えるよう心掛けておこう。万一うっかり話しかけてしまった場合は、直前のハンスの台詞の場面で即座にHOMEボタンでゲームを終了することで無駄な金貨の消費を防ぐことが可能だ。

 

危険な対象

探索を通して、ハンスに害を及ぼす邪悪な存在に遭遇することがある。

以下の対象に出会った場合は相手の視界に入らないようにやり過ごすか、もしくは全力で逃げ出そう。

ヤギ

二足歩行でこちらを執拗に追従してくる醜悪な白ヤギ。ハンスよりもわずかに動きが速く、直線での追いかけっこにおいては確実に追い付かれてしまう。

接近時は姿勢を低くして噛み付く動作を行うが、この時立ち位置が悪いとダメージを負ってしまう事になる。動き自体は単調なので、噛み付かれる直前に上下どちらかへと少し軸をずらすことで回避可能だ。

 

亡霊

黒衣を纏った亡霊はハンスの気配に気づくと強い力を使って引き寄せ、伸ばした触手で攻撃を行ってくる。

対策としてはこちらの気配を悟られないよう、姿を確認したらなるべく近づかないこと。間近に迫ってきた場合はロウソクを消して辺りを暗闇にするか、テーブルが近くにある場合は下に隠れてやり過ごそう。

赤の秘書長

普段はテネブラ城の図書館にいる赤の秘書長。亡霊をも凌ぐ程の恐ろしい力を持っている。

対策としては亡霊と同じ方法がほぼそのまま通用するが、攻撃力が極めて高く、一度狙われてしまえば死は免れない。彼がいる場所を探索する場合は、とにかく慎重に行動をすることを心掛けるのが肝要。

彼の基本的な行動パターンは机の上の本を読む、背後の宝箱の中身を確認する…、といった一定のパターンに従ったものを繰り返すものだが、部屋の中には秘書長の気を反らすための”ある仕掛け”が…?

 

ゲームオーバーについて

ライフゲージが全て失われた時点でゲームオーバーとなり、画面上に上画像のメニューが表示される。画面の操作指示に従い、必要な項目を選んでAボタンで決定しよう。

項目の中から「コンティニュー」を選んだ場合は、直近のセーブポイントからの再開となり、「ロード」ではセーブデータを直接選んで開始ポイントを選択することができる。

また、一番下の「タイトル」を選べば再挑戦を諦めて、一旦タイトル画面へと戻る事も可能だ。

 

アイテムリスト

 

(※アイテム名そのものが直接的なネタバレとなりそうな一部のアイテムについては除外しています。ご了承下さい)

名称 説明
木でできた杖。ぼくのおじいちゃんのもの。
骨。スピットルの大好物。
金貨 物を買うときに使える。
ロウソク 明かりとして持ち運びできる。床に置いてまわりを照らすこともできる。
くり ちいさいくり。食べると体力を少しだけ回復させる。
リンゴ おいしい果物。食べると体力をいくらか回復させる。
パン 固くなったパン。食べると体力をかなり回復させる。
チーズ おおきなチーズのかけら。食べると体力をたくさん回復させる。
指輪 蛇の模様がはいった指輪。
青い鍵 青い旗のそばのドアをあけられる鍵。
緑色の鍵 緑色の旗のそばのドアをあけられる鍵。
あかい鍵 あかい旗のそばのドアをあけられる鍵。
金色の鍵 上の階のドアをあけられる鍵。
バケツ 木でできたバケツ。液体をはこべる。
コーン ひとにぎりのコーン。
木の板 とても堅い、木でできた板。
バール 格子などをこじ開けることができる。
普通の大きさの手鏡。
はしご 高いところにいくことができる。
虫取り網 ちょうちょや虫を捕まえられる。
蝶の形をした宝石だ。

 

プレイ後の感想

「ルカノール伯爵」のストーリーは大まかに言えば、幼き少年の冒険譚、といったごくありふれた寓話的なものだ。

原題である「The Count Lucanor」というタイトルだが、軽く調べてみた感じでは恐らく14世紀のスペイン作家フアン・マヌエルが手掛けた同名の寓話集がモチーフとなっていると思われる。海外の古典文学に関心がある方は、チェックしてみる事で今作にまつわる意外な発見があるかもしれない。

 

樹々に囲まれた一軒家で母親と二人で暮らす少年ハンス。貧しい生活を送り続ける自身の境遇にうんざりしていた彼は、自らの幸福を求めて母と愛犬スピットルに別れを告げ森の奥へと駆け出していく―

16bit風ピクセルアートによるゲームビジュアルが、素朴ながらも絶妙な心地よさを醸し出しており、森の中ではリスやアナウサギ、シカなどの野生動物達がハンスの気配を察知しては慌てて姿を消す、といった様子がアニメーションで描かれる。作中で屋外の探索が行える期間は短く、動物達の姿を拝めるのはごくわずかだが製作者のこだわりを感じられるポイントの一つだ。

 

ゲームの内容についてはキーアイテム制に若干のパズル要素を交えたオーソドックスな探索型アドベンチャーで、ロウソクを携えなければ一面真っ暗闇、といった緊張感のあるフィールドシステムが作中の大きな特徴。

探索部分の難易度自体はそう高くはないが反面、城内の各種エネミーを対象としたサバイバル要素や、床や壁に仕掛けられたトラップの回避、といったアクション性の高い部分が見られ、危険察知と回避にまつわるプレイヤースキルを要求される。

その上で、主人公ハンスの移動操作には走るアクションが備わっていない事から、スピーディーに散策したいプレイヤーにとっては移動速度の遅さも含めてストレスと映ってしまう危惧もある。

 

筆者の場合は同じ箇所で何度もゲームオーバーになってしまったりとあまり要領よく進めることができずになかったが、全編クリアまでの想定プレイ時間はおよそ4~5時間程度といったところ。良質なローカライズにより、物語をしっかりと追い易いテキストも有難いポイントだ。

冒頭こそ、好奇心と野心を持った少年の巣立ちの物語― といった様相で始まる本作だが、そんな勇ましいプロローグはそこそこに、割と早い段階から雲行きの怪しい展開がプレイヤーに対して牙を剥いてくる。アニメ調のキャラクターが彩るキャッチーなキービジュアルに反し、”CERO:D”というレーティング判定に相応しいゴア描写が多分に含まれた作風であるという点は、本作の体験前にあらかじめ抑えておいて頂きたいところ。

 

テネブラ城の主、ルカノール伯爵の下へと少年ハンスを導く青い精霊の狙いは何なのか。そして、城の奥深くに隠された恐るべき秘密とは―

2Dスタイルのクラシカルな探索アドベンチャー作品に関心が高いと言う方は、本作「ルカノール伯爵」を是非お試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 7.0

 

良い点

  • 冒頭やゲーム後半で部分的に挿入される特徴的なセルアニメ調のカットシーン
  • 日本語ローカライズに対応
  • CERO:D判定相当によるゴア描写などの攻めた表現が多い恐怖演出

 

惜しい点

  • 走るアクションがなく、探索時の移動速度が常時遅く感じられてしまう
  • セーブに金貨を1枚消費する仕様につき、所持状況次第では進捗状態を保存できない場合も
  • (Nintendo Switch版)国内向けバージョンに関しては、他の言語を選ぶことができない

 

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