火吹山の魔法使い ~英国の80年代産大ヒットゲームブックをコンピューターゲーム上で再現

 

タイトル The Warlock of Firetop Mountain(火吹山の魔法使い)
対応機種 Steam/Nintendo Switch
販売/開発 コーラス・ワールドワイド(※Switch版)/Tin Man Games(※Steam版はディベロッパーも兼任)
発売日 2016年8月31日(Steam版)/2019年5月30日(Switch版)
対応言語 日本語(※Switch版のみ),英語
備考 原作は1980年発行のイギリス産ゲームブック「Fighting Fantasy」シリーズの同名ゲームブック

 

© Tin Man Games Pty Ltd, 2018.
© 2019 Chorus Worldwide Games
Fighting Fantasy is a trademark owned by Steve Jackson and Ian Livingstone, all rights reserved.

 

 

 

原作の面白さをそのままに— 英国の人気ゲームブックシリーズの一作品をコンピュータゲーム化

「火吹山の魔法使い」(「The Warlock of Firetop Mountain」)はテーブルトーク風のアドベンチャーゲーム。80年代発行の第一作から英国を中心に人気作となったゲームブックシリーズ「Fighting Fantasy」の一編、「The Warlock of Firetop Mountain」を原作としたゲーム作品だ。物語の語り部、及びルールや進行上のすべての役割を司る”ゲームマスター”の指示に従い、プレイヤーは1人の冒険者としてダンジョン”火吹山”へと挑む。

火吹山は魔道士ザゴールの暗躍によって、強力な魔物が多数巣食っていると言われている。街の救世主として根源を絶つべく魔道士に挑むもよし、冒険者各々がもった目的を達成して帰還するもよし、更なる冒険を求めてより深く潜るのもよし。選択可能な冒険者の数々と、道中で次々に登場する様々な選択肢によって多数の結末と展開が用意されており、その決定はプレイヤーに委ねられている。

火吹山という巨大な盤面を舞台に繰り広げられる、西洋テイスト溢れた本格派ファンタジー

 

オリアナと名乗る女性をゲームマスターに迎えて、プレイヤーは選択した肖像による火吹山の冒険へと参加する。初めてプレイする場合は、まずチュートリアルにさっと目を通しておこう。

ゲームブックやテーブルトークRPGではお馴染みのシステムだが、本作では要所要所で2個のサイコロを使ったダイスロールが発生。ロールごとに毎回判定ラインとなる目の合計値がその都度決定され、出た目によってそのラインより大きい数字か小さい数字かでイベントの成功or失敗判定が行われる。

 

ゲームモード

 

本作ではストーリーとガントレットの2タイプのゲームモードを楽しめる。

 

ストーリーモード

冒険者の視点で火吹山に挑むストーリーモード。選んだ肖像ごとにバックボーンや冒険の目的はそれぞれ異なるが、魔法使いザゴールに挑むことが出来る点は共通している。

 

ガントレットモード

(※本モードをプレイするには初回に魂を300消費して、いずれかのモンスターを購入する必要があります)

スケルトン、巨大ネズミなどの本編に登場するモンスターを肖像として選んで冒険することができる特別モード。ゲームの流れはストーリーモードと同じだが、テキスト要素を極限まで削り敵との戦闘に比重を置いたモードとなっている。討伐したモンスター数や難易度の高い戦闘を突破するなど、戦果に応じて魂をより多く獲得することができる。

 

 

ガントレットモードでは特定のコードを入力することでオリアナの肖像を獲得、彼女を使ってのプレイが可能となる。本作においてはゲームマスターである彼女の実力は果たして—?

(※コードの詳細については、日本版パブリッシャーであるコーラス・ワールドワイド公式Twitterにて公開されています)

 

 

操作方法(※Nintendo Switch版)

 

JOY-CON(左)
上下左右ボタン/Lスティック 項目の選択/(プレイ画面でログ最上部表示中、上or下キーで)メニュー/プレイモード切り替え
Lボタン (プレイ画面)メニュー内項目切り替え/(戦闘画面で)プレイヤーの向きを左方向に90度変える
ZLボタン
-ボタン メニュー呼び出し
JOY-CON(右)
Rスティック (マップモード中)マップを調べる
Yボタン
Xボタン (戦闘画面で)視点モード切り替え
Bボタン キャンセル/(マップモード中)ログ表示画面呼び出し
Aボタン テキスト送り、選択中の項目の決定
Rボタン (プレイ画面)右上メニュー/プレイモード切り替え/(戦闘画面で)プレイヤーの向きを右方向に90度変える
ZRボタン
+ボタン メニュー呼び出し

ゲームブックがベースとなっている本作の基本的な操作方法は、Aボタンで送ることで次々に表示されるテキストを読み進めながら時々現れる選択肢を選ぶだけというシンプルなものにまとまっている。ゲーム中、リアルタイムで進行する要素は一切登場しないので自分のペースでじっくりと読み進めていこう。

 

肖像(キャラクター)選択

新たな冒険を始めるにあたり、まずはプレイヤーの分身となる肖像を1つ選択する。初期状態では4人のキャラクターから選択可能だが、ゲームプレイを通じて獲得できる”魂”と引き替えに、新たなキャラクターを購入して追加することができる。魂は本編中にモンスターを倒すなどの手段を中心に、プレイすればするほど貯まっていくので、キャラクターを解放する上では本編をどんどん遊んでみよう。

 

能力

本作に登場するキャラクターの能力は技術、体力、運の3種類のパラメーターに集約される。体力はそのまま生命値を表しており、0になった時点で冒険終了となる。技術は戦闘におけるダイスの基本攻撃値、運はイベント時におけるダイスの閾値にダイレクトに反映される。(技術、運の詳細については後述)

これらの上限値はキャラクター毎に不変のものとして設定されているが、数値自体は冒険中随所で登場するイベントや運試しなどの結果次第で増減する場合がある。(上限値下限値を超えることはない)

 

属性

また、各キャラはそれぞれの職業や性格に準じた”属性”を2つ保有し、この能力は冒険中に様々な影響を及ぼす効果を持つ。文字の読解力の有無、強面であるか穏やかな顔立ちであるか、など肖像毎の特徴1つ1つが冒険で作用し、それに伴って旅の内容もプレイ毎に変化していくのだ。

 

攻撃技

各肖像はそれぞれ3~4種類の攻撃技を保有している。技ごとに威力、有効範囲、効果は元より、保有する技の構成も肖像ごとに異なる。色々なキャラを試して、各自プレイし易い肖像を見つけてみよう。

 

フリーリードモード

「運頼みやチェス風の戦闘といったゲーム要素はいらない」

「純粋に物語だけ味わいたい」

そんなプレイヤーに向けたモードがこの”フリーリード(Free Read)モード”。テキストを読むだけでストーリーを味わうことができるといった読むスタイルに徹した専用モードで、このモードでプレイ中の際、実質的な操作は選択肢を選ぶだけとなる。

 

フリーリードモードでのプレイ中は、運試しや戦闘の選択肢が登場する際「Free choice」という項目が別途追加され、これを選ぶ事でプレイ中の障害となる各種イベントを実質スキップすることができる。(※一部例外もあり) 途中で普通にプレイしたくなった時は本来の選択肢を選んで進めることも可能だが、フリーリードモードでプレイを開始した場合、実績の解除が無効となる上に魂を集めることもできなくなるので、なるべくこのモードが必要な時のみ利用していくようにしたい。

 

所持品

ストーリーモードプレイ中、右上メニューから肖像の情報を確認。”所持品”タブでは金貨、と所持品、旅の目的と獲得した魂などを観ることができる。冒険途中で手に入る”食料”や”魔法の薬”各種については上記ウィンドウ展開時、任意のタイミングで使用できるので必要に応じて使ってみよう。

 

戦闘

戦闘シーンは現在地の景色に併せたチェス風の盤上で行われる。ターン毎に駒となるプレイヤーが向く方向や行動を指定して、その経過を見守るといったもの。その場で待機といった行動はなく、各ターン毎に移動か各種攻撃のいずれかのアクションを必ず選択する必要がある。

基本的に正面同士で相手と隣接しない間合いから迎撃が可能な2~3レンジ攻撃技が強力だが、こうした特殊な有効範囲を持った技は一度使うと数ターン再使用ができない。プレイヤーのアクションと同時に敵の駒も動くので、常に敵側の次の動きを読みながら最適なアクションを選んでいく必要がある。各技の射程や性能を考慮しつつ、賢く戦っていこう。

 

衝突

こちらの攻撃と敵の攻撃がぶつかった場合は”衝突”と見做され、ダイスロールが行われる。こちらと相手側の技術値がそのまま基本値となり、ここにダイスの目を加えた合計値がそのまま双方の攻撃力となる。相手より合計値が高い場合は相手に一方的にダメージを与え、低い場合はこちらが一方的にダメージを受けるといった具合だ。

 

イベント(運試し)

道中随所で運試しが必要となるイベントが発生する。イベントでは戦闘での衝突時と同じく、ダイスを2つ放って出た合計値が現在の運の値より低ければ成功判定となる。

体力、技術、運のいずれかの数値が大きく増減するなど以後の冒険に大きく影響する場合もあるので、ギャンブラー気質でないプレイヤーの場合は避けられる場面では極力避けておきたい。

 

休憩所(回復と冒険の記録)

道中の随所には休憩所が登場する場合がある。ベンチに座ることで冒険を記録できる他、体力を5回復する効果もあり、食料がある場合は1消費して体力回復効果が2倍の10になる。進行次第では突然の死で冒険がいきなり終了する場合もあるので、こまめなリスタートポイントの更新は重要。見かけたら積極的に利用するようにしたい。

 

復活の石

 

途中で体力が0になり冒険を続けられなくなった時は、オリアナが「復活の石を使って冒険を再開するか否か」と選択を持ちかけてくる。ここで復活の石の在庫があれば、最後に休憩所を利用した状況から再開することができる。

復活の石はストーリーモード開始時にそれぞれのキャラクターが3個保有しており、冒険中での追加補充は一切できない。要は1度の冒険につき、3回までならばコンティニューできるということになる。反面ガントレットモードでは復活の石を使う事はできず、一度でも死ねば終わりのモードとなっているので気をつけよう。

 

冒険を楽に進める上でオススメのキャラは?

ストーリーモード、及びガントレットモードはどの肖像を選んでも最後まで遊べるようにはできているが、冒険の難易度についてはキャラ毎に大きく異なる。とにかくまずはザゴールを倒してみたいという方にとっては、有能な攻撃スキルを持った肖像を選ぶのが望ましい。その上で技術や体力の数値も頼もしいものであるかどうかも選出ポイントとなるが、アルフィナ・スカイライダー、リン・ウェン・ウー辺りが使いやすくオススメ。冒険を繰り返し、魂を必要分集めて交換してみよう。

 

 

魔道士ザゴールが暗躍する火吹山。冒険者を待ち受けるのは、栄光か? それとも破滅か?

 

以下では火吹山での冒険の舞台をピックアップで紹介していこう。

 

アンビル村の近くに高く根差す火吹山。村人達はこの山の深部を根城とする大魔道士ザゴールの影に怯えているという。それぞれの目的のため、今より冒険者たちはこの難攻不落の山へと挑むのだ。

 

火吹山深部に流れる川。進める道は2つ。石場を飛んで反対側に渡るか、それとも川に身を浸してその流れに身を任せるか…

 

死者の領域と呼ばれる石造りの建造物。上層のとある部屋中央には、真っ赤な液体がなみなみと注がれた巨大な聖水盤の姿が。血を想起させるこの液体の正体は—?

 

山の最奥部へとたどり着くも、巨大な赤いドラゴンが冒険者の行く手を阻む。目指すザゴールはこの奥に…?

 

 

ゲームブックというアナログゲーム的な味わいをコンピューターゲーム上でしっかり堪能できる

海外作品ということもありローカライズの精密さについては注目要素の1つとなるが、筆者としての印象はところどころ不十分なところも僅かに見られるものの、総じて快適に読めるレベルで収まっているように感じた。テキストベースなゲームであるならばフォントサイズについて不安が残るという方でも、オプションに文字の大きさを選ぶ項目があり、かなり大きく設定することも可能。痒いところに手が届く心憎い作りがとても好印象だ。ざっとプレイした感じでは致命的な不具合もなくこれといった欠点は見つからないが、Switch版ではゲーム起動時の読み込みがやや長い点、稀に強制終了が発生する場合がある点が少し気になった。

 

近代アニメーションとの親和性が強い現代の日本国内ゲーム市場においては、本作のような王道洋風ファンタジーといった佇まいのゲーム作品はかなりコアな層をメインターゲットとしていると思われるため、支持されそうな層は自然と限られるテイストの作品ではあるが、アナログゲームの面白さをそのまま落とし込んだ上で、コンピューターゲームならではの表現方式とうまく調和させた内容には唸らされる。

シングルプレイに特化している分、仲間内でワイワイやりながらプレイといった趣の作品でないのが少し寂しいところではあるが、近年では少し馴染みの薄いゲームブックらしさに溢れたテキストには、当時嗜んだ経験を持つ筆者としても懐かしさを覚える。ゲームブック「ファイティングファンタジー」の世界観と冒険者たちの火吹山の旅路を本作でじっくりと堪能しよう。

 

 

評価

 

個人的スコア 8.0(10点満点中)

 

良い点

  • 原作の持つ本格王道ファンタジーの雰囲気と、ゲームブックのシステム&ルールを忠実にコンピューターゲームへと落とし込む事に成功している
  • 数十種類用意されたプレイアブルキャラクターと豊富な選択肢によるゲーム内分岐により、プレイ毎に内容が変化する
  • 実績、立ち絵、新たな肖像の解放などの豊富な収集要素で、繰り返しプレイにも耐えるボリュームを持つ

惜しい点

  • 戦闘シーンにおいて、敵のルーチンがワンパターンなものが多い
  • (※Nintendo Switch版)ゲーム起動直後のデータ読み込みがやや長め。稀に強制終了が発生する事も
  • プレイヤーとして選ぶ肖像や進行ルート次第ではセーブ可能な休憩所の登場間隔が長くなり、リスタートにおいて不安が残り易い

 

 

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