
©2023 Developed by hiulit
はじめに ― Game of the Monthについて

欧州ゲームコンソール『Evercade』シリーズ本体購入者用プログラム「Game of the Month」より、今回は2024年度Game of the Month12月対象タイトル「Murtop」の紹介、そしてゲームプレイを終えての雑感を綴ってまいります。
普段から投稿しているゲーム感想の記事と内容面での大きな違いはありませんが、見出しなど一部構成が少し異なります。
また、この「Game of the Monthレビュー」シリーズでは紹介タイトル毎のスコア評は設けていません。併せてご了承下さい。
Evercade VS、及びGame of the Monthプログラムの詳細については以下の特集ページをご覧下さい。
@2021 Copylight Blaze Entertainment Ltd. (※2026年8月25日:「おまけ」のソフトカートリッジ一覧を更新) はじめに […]
基本情報
| タイトル | Murtop |
|---|---|
| 開発 | hiulit(移植協力:pixel games SARL-S) |
| 発売年 | 2023年(Steam、NintendoSwitch 他) |
| プレイ人数 | 1 player |
| 備考 | 移植に辺り一部機能の削除など、他機種版との違いがいくらか見られる |
作品概要

「Murtop」はスペイン、バルセロナの個人ゲーム開発者hiulit氏により製作されたゲーム作品。当記事で紹介するEvercade版には、「Donut Dodo」などで知られるルクセンブルクのディベロッパーpixel gamesが移植協力に参加している。
一画面固定スタイルのアーケードプラットフォーマー。ウサギのムルティを操作してお邪魔キャラ達の追跡や攻撃を搔い潜りながら、ステージ内の随所に眠るラディッシュの全回収を目指していく、といったゲーム内容だ。
本作そのものについては以前に当ブログにてNintendo Switch版の記事を紹介済みだが、その後も何度かに渡るマイナーアップデートによって少しずつ進化を遂げてきた。今回取り上げるEvercade版はオリジナルの登場からかなりの期間を経てからの公開となるが、基本となるゲーム部分は各プラットフォーム版をそのままにいくつかの変更点が見られる。その点も踏まえて改めての作品解説を当記事で行っていこう。
©Flynn's Arcade all rights reserved (※2025年7月13日追記)※撮影時期が多岐に渡った関係により、現在、本項で扱われているスクリーンショットについて、ソフトウ[…]
リンク:pixel games SARL-S(X(Twitter))
操作方法
(※Evercade版)
| VS Controller | |
| D-パッド | カーソルの移動、選択 |
| Aボタン | 爆弾のセット/(メインメニュー時)決定 |
| Bボタン | (メインメニュー時)キャンセル、戻る/(ステージ開始デモ中長押しで)スキップ |
| Xボタン | — |
| Yボタン | — |
| L1ボタン | — |
| R1ボタン | — |
| L2ボタン | — |
| R2ボタン | — |
| STARTボタン | ゲーム開始/ポーズ |
| SELECTボタン | クレジット投入 |
※本作ではHOMEボタンメニューの使用が不可能
ゲームの概要

「Murtop」をざっくりと紹介すると「ディグダグ」と「ボンバーマン」を合わせたような内容で、両作品の特徴は実際に遊んでみる事で一目で解るゲームデザインとなっている。ウサギのムルティを操作して地中を掘り進みながらニンジンを回収、全て回収が終わった時点でステージクリアとなる。
各ステージ内に現れるモグラの姿をした3種類のお邪魔キャラたちは執拗に追跡や攻撃を行ってくるが、ムルティが得意とする必殺の爆弾や岩を落とすといった方法で撃退する事が可能。1度の攻撃で複数の敵をまとめて倒すことができれば、倍率に応じて獲得スコアがアップ。
セット後の爆弾が放つ爆風は、土を掘り抜いて空洞状態となったエリア内を十字型に四方へと大きく伸びていく。巻き込んだモグラを一瞬で葬ることができる威力を持つが、自身が爆発に巻き込まれてしまうと当然アウト。セット後、およそ1秒程度ですぐに起爆してしまうため、仕掛けた後はすぐに爆風の範囲外へと退避しなければならない。
この他、5面クリア毎に挑戦可能なボーナスチャレンジや岩で多数の敵を倒すことでスペシャルボーナスチャレンジへの道が拓けるラディッシュの出現、など作中には高スコアを狙うための要素が複数詰まっている。
Murtop(Evercade Ver.)の特徴
![]() | ![]() |
| Nintendo Switch版 | Evercade版 |
移植バージョンとなるEvercade版では、他プラットフォーム版に比べて異なるポイントがいくつか見られる。最も目立つ変更点が画面構成で、違いについては上の2つの画像を見比べて頂くことで明確だ。
これまでは縦画面式筐体でのゲームプレイを意識した縦長の画面サイズだったのが、Evercade版ではプレイ領域の右側にスコアなどのステータス情報を詰め込んだ構成となった。80年代アーケードゲームらしさと言う意味では、後者がより雰囲気が近くなった印象だ。
また、この変更に伴いステージの横尺が、14タイルから1つ増えた15タイル制へと変わっている(縦尺に関しては同じ)。些細な変更点のようでいて、この点もまた攻略上においては大きな変化であると言える。

ベース部分はオリジナル版のものをそのまま扱っているものと見られ、QRコードのオンラインリーダーボードにも対応している。言語設定では、欧州向け製品であるEvercade用のリリースソフトとしては珍しく、日本語が選べる点も印象的。(言語設定自体は、他機種版でも備わっていた機能)
ただし、ベゼルやカラーパレット設定などの一部のオプションは削除されており、テストモードや統計モードといった既出の裏技についても、対応コマンドを入れてみたものの無反応で存在の有無を確認することができなかった。どちらも重要度の高い機能というわけではないが、利用不可となるとそれはそれで少々寂しくもある。

「Galacticon」の開発であるRadin Gamesの協力で実現したQRコード対応オンラインリーダーボード機能は、クロスプラットフォーム仕様によるグローバルなスコアアタックを加熱させるシステムだ。基本オフラインで完結している作品ばかりのEvercade対応タイトルとしてはこのようなシステムの搭載は初の試みでもある(※上画像では該当箇所を伏せてある点をご了承頂きたい)。
日頃から当ブログでFlynn’s Arcadeパブリッシング作品の記事を目にしてきた諸氏においては、「Satryn DX」や「Super Spy Racoon」などの作品にも同機能が活かされている事はご承知の通り。同パブリッシャーより発売の「フレッディ・ファーマー」にも採用されていたりと、同社のアーケードスタイル作品においてはもはや欠かせない重宝っぷりを覗わせており今後も度々目にする機会があるかもしれない。
プレイ後の感想

欧州地域圏をターゲットに展開するゲームコンソールEvercadeシリーズに堂々登場となった「Murtop」だが、単なるオリジナル版の移植には留まらず再調整の行われた部分がちらほらと見られる。
Steamのデモ版を含め、主にSwitch版を中心に正式配信前の段階となる初期のバージョンから筆者はその変遷を見てきたが、今回のEvercade版はいくつかの機能を削りながらもこれまで以上に歯応えのあるゲーム性へとシフト、本格的なアーケードゲームに寄せたバランスへと仕上がったように感じている。
ステージフィールドの広大化や敵の増量が特に顕著な点で、3や4の倍数となる各ステージでは画面上に10体オーバーものモグラ軍団が登場しており、他機種版と比べても画面上のワチャワチャ感や攻防におけるスリリング度合いがグンと増した印象だ。
なお、Evercade版ではHOMEボタンメニューが使用できないことから、ステートセーブ/ロード機能に頼れないといった面もある。いわゆるキルスクリーン*を狙うチャレンジ上、256ステージもの長丁場となる全面制覇に挑む上ではこれは中々厳しい仕様だ。
(*ループステージ制の一部のクラシックなアーケードゲームに見られる、”ステージ数の限界を迎えることで強制的にゲーム終了となる仕様のこと。用語的にはカウンターストップと類似)
EvercadeではGOTMに選ばれた対象タイトルは最終的にオムニバス収録でのカートリッジ化が約束されており、開催年の翌年2月期を目途にリリースされるのが通例となっている。
2025年3月10日*に発売されたEvercade用カートリッジ「Indie Heroes Collection 4」では、本作の操作キャラクターであるムルティがパッケージジャケットのセンターを担当。2024年度のGOTM選出タイトルを1年間見届けてきた筆者にとって、この発表はハード本体購入間もなかった昨年度以上に感慨深いものがあった。
(*映像では2月発売となっているが、公式の発表により発売日が延期となった)
個人的な話で非常に恐縮なのだが、先に触れたSteamデモ版との邂逅を起点に筆者は同作を介して後にいくつかの思いがけない経験を味わうこととなった。そういった私情もあり、自身の長きに渡るビデオゲーム体験の中でも「Murtop」は自分にとって極めて特別な意味を持つ一作にまでなったのである。その上で、本作の収録が決定している「Indie Heroes Collection 4」についても、発売日を迎えた暁にはどうにか入手して是非とも手元に置きたいと願うばかりだ。

「Murtop」自体は既に複数のプラットフォームで展開しているため、ただプレイするだけであればSteamやNintendoSwitchが最も手頃な選択肢となるだろう。本作だけを目的にEvercadeシリーズのハードを購入する、という稀有な国内プレイヤーはまずいないと思われるが、本体をお持ちという方は上記カートリッジを介して是非触れてみて頂きたい。




