シロナガス島への帰還 -プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©TABINOMICHI

 

基本情報

 

タイトル シロナガス島への帰還
対応機種 Steam,Nintendo Switch,他
販売 TABINOMICHI/room6
開発 HYOGO ONIMUSHI
発売日 2020年3月3日(Steam版)、2022年11月17日(Switch版)
対応言語 日本語,ドイツ語,スペイン語,韓国語,中国語 (簡体字),英語
備考 CEROレーティング:D(暴力,犯罪)(※17歳以上対象)

 

作品概要

 

「シロナガス島への帰還」(「Return to Shironagasu Island」)はHYOGO ONIMUSHI開発によるゲーム作品。Nintendo Switch版ではroom6がDL版を配信しており、パッケージ版ではバリエーション豊かな特典商品を同梱した複数の展開で、TABINOMICHIが販売を担当。

 

島根県出身の作家、鬼虫兵庫氏がテキスト及びイラストを手掛けた「シロナガス島への帰還」は、テキストとポイントクリックを中心としたミステリーサスペンスアドベンチャー。

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ニューヨークで探偵業を営む池田戦(いけだ せん)が、助手の少女、出雲崎(いずもざき)ねね子と共に、孤島「シロナガス島」で起こる凄惨な事件に立ち向かって行く、といったストーリーになっている。

NintendoSwitch版、及びPC版のリリースに即し、クラウドファンディングによって声優陣によるキャストフルボイス化が実現。これにより、完成版は豪華な仕様での登場となった。

 

外部リンク:旅の道 第三停留所(製作者公式サイト)

 

ストーリー

 

(※商品紹介ページより引用)

 

大富豪の遺書の中に残された『シロナガス島』への招待状。

ニューヨークで探偵業を営む男『池田戦』は、特殊な能力を持つ少女『出雲崎ねね子』と共に島へと向かう。

そこで起きる数々の奇怪な殺人事件。

果たしてシロナガス島に隠された真実とは……?

 

 

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
方向ボタン カーソルの移動、項目の選択
Lスティック 同上
Lボタン ログの表示
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック (Lスティック、方向ボタンと同効果)
Aボタン カーソル決定/メッセージ送り
Bボタン キャンセル/戻る/ウィンドウの消去
Yボタン オートリードON/OFF
Xボタン 既読スキップON/OFF
Rボタン ログの表示
ZRボタン
+ボタン メニュー呼び出し

 

 

登場人物

 

(※担当声優名は敬称略)

 

 

池田 戦

 

CV:ゲーム本編ではキャスト無し(※ドラマCDなどでの担当は大塚明夫)

本編主人公。ニューヨークで探偵業を営む成人男性。他のキャラとは異なり、作中に立ち絵は登場しない。

エイダの依頼を受け、相棒のねね子と共にシロナガス島へと向かう。

出雲崎 ねね子

CV:井口裕香

地面まで届きそうな長い髪が特徴の少女。いわゆるコミュ障で、極度の対人恐怖症。雑学への知識が豊富な一方、身だしなみには無頓着。

池田とは長い付き合いで、彼女が持つ”絶対記憶”の能力は、高い観察力が必要となる池田の仕事を幾度も支えてきた。

エイダ・ヒギンズ

CV:大原さやか

ある件で池田に相談を持ち掛けた依頼者。

夫ロイ・ヒギンズの死の真相を知りたいと願う彼女の意を汲み、池田は彼女に一案を申し出る。

アキラ・エッジワース

CV:石原夏織

エッジワース家の子女で、レイモンド卿から招待状を受け取った人物の一人。

歯に衣着せぬ性格で、言いたいことをハッキリと口にする。

ジゼル・リード

CV:伊藤静

エッジワース家に従事するアキラの世話係。

感情を一切表に出さず、淡々とした印象を抱かせる。

アレックス・ウェルナー

CV:小林ゆう

レイモンド家に招かれた人物の一人。

品の良さを窺わせる好青年だが、気弱な一面を覗かせることも。

リール・ベクスター

CV:田中理恵

ワシントン在住の女性で、レイモンド邸への招待客の一人。

雇われという形ながら、内科医の経験を持つ。

 

ジェイコブ・ラトランド

CV:東地宏樹

招待状を受け取った人物の一人。

高級酒に目がなく、ワインの知識については人一倍詳しい。

トマス・ハリントン

CV:石住昭彦

レイモンド邸招待客の一人。

高圧的な人物が多い招待客の中において、比較的温和な性格を持つ男性。

アウロラ・ラヴィーリャ

CV:茅野愛衣

レイモンド卿の屋敷で、池田が出会った少女。

ブロンドの髪と青い大きなリボンが特徴。

アビゲイル・エリスン

CV:小原好美

レイモンド家の侍女。ゲーム内での愛称は「アビー」。

招待客一同に対し、ヴィンセントと共に屋敷の案内役を司る。

 

ヴィンセント・スウィフト

CV:中田譲治

レイモンド家の執事。

招待客一同をもてなすと共に、レイモンド卿が遺したというメッセージを届ける。

上記表ではざっくりとした紹介に留めているが、実際には一癖も二癖もある人物達ばかり。

彼らを中心に、孤島の館レイモンド邸で一体何が起こるというのだろうか―

 

ゲームシステム

 

セーブ/ロードについて

ゲームプレイ中、途中経過を保存したい場合は+ボタンでメニューを呼び出し、画面左に表示された項目からSAVEを選択することでセーブ画面へ切り替えることができる。

セーブスロットは48とかなりの数が用意されているので、好きなスロットを選んで保存しよう。

本作にはオートセーブが搭載されておらず、特定の場面では選択を誤るとBAD ENDに直行してしまうというケースもあるので、セーブは小まめに行うことをオススメする。

 

探索パート

アドベンチャーゲームにおいてはスタンダードなポイント&クリック方式が取られており、手の形のカーソルをLスティック、または方向キーで操作。

調査可能な対象の上を置いた際にカーソルがピンク色で強調されるので、ここでAボタンで決定すると対象に対する池田、またはねね子による反応が返ってくる。

どの対象も繰り返し調べる内に、次第に同じことしか言わなくなるので、そうなった時には改めて別の場所を調べてみることで、新たな発見があるかもしれない。

 

時間制限

本編進行中、限られた時間内に、目の前に迫っている危機を乗り越えなくてはならない、といった状況に遭遇することがある。

問題となる場面では画面上部に赤いメーターが表示され、実際の時間進行に応じて左から右へと少しずつ減少。メーターを全て失うと、少し前のシーンからのリトライとなってしまう。

 

原則として、経過した時間分のメーターを回復する手段は、最初からやり直す以外にはなく、ボイスを最後まで丁寧に聴きながら進めた場合、確実に時間内に間に合わないといった点が目立つ。

どういったシーンであるかについては露骨なネタバレとなるのでここでは割愛するが、考える時間がしっかりと欲しい場合は、聴くことを諦めて読み飛ばしてしまおう。

 

 

プレイ後の感想

以下では『シロナガス島への帰還』の感想を記していくが、メインストーリー本編を読み終えた時点でのものとなることをご了承頂きたい。

 

本作は、閉鎖的な場所を舞台にしたサスペンスということで、有力者を中心に多様な国籍の人物が一堂に会するのが特徴の1つ。

アリューシャン列島内に浮かぶ絶海の孤島や、招かれた者のみが立ち入ることを許されるレイモンド邸というロケーションも、物語に不穏な気配を漂わせることに一役買っており、ここで起こる一連の事件は、やがて秘められた恐ろしい真実を浮き彫りにしていく。

 

主人公である池田戦の科白を除いて全編フルボイスで展開する本編は、じっくりと読んで8~9時間程度のプレイボリュームがあり、物語の大きな分岐こそないが、選択を誤ればBAD ENDとなってしまう場面も随所に登場。

また、特定のシーンでは時間制限が設けられており、迅速に正解の道を辿らないとリトライを要求されるといった適度な緊張感もある。

ある程度アドベンチャーゲームを嗜んできたゲームファンならば、この時間制限付きの後半のある場面で、90年代の傑作SFアドベンチャー『ポリスノーツ』のワンシーンを思い出す方もいるのではないだろうか。

 

シナリオの高い読み応えに反して、アドベンチャーゲームとしての完成度の面ではわずかに粗が見られ、現代のゲームシステムの基準で見て遊びにくさを感じる部分もある。

本編中は何箇所かに、選択を誤ればBAD ENDに直行となる場面が存在するのだが、結末を見た直後に”リトライが可能となる箇所”と”タイトル画面へと戻される箇所”の2つのパターンが見られたりと、今一つゲームオーバーの仕様に統一性が見られない。

幸いセーブスロット自体は大量に用意されているので、一気にプレイする場合は直近の場面からのやり直しを想定して、小まめなセーブをオススメしておく。

 

操作面でも気になる箇所があり、ポイントクリックパートでのカーソルチェック時の反応が少し鈍く、Aボタンをしっかり押さないと反応してくれない場合がある。

Xボタンでアクティブとなる既読スキップについても機能面に少々難ありで、具体的には早送りの速度があまり芳しくなく、スキップしている気分を満足に味わえない。

また、オンの時も毎回段落を示す”▼”の箇所ではテキストの進行が停止する仕様になっていたりと、一般的なノベルゲームのテキストスキップの仕様に慣れていると思わぬストレスを感じる要因となる。

 

+ボタンで呼び出すことができる”メニュー機能”が、基本的に(一部の場面を除いて)テキストパートでのみ呼び出し可能という仕様であるのも気になるポイント。

本作にはオートセーブ機能が搭載されておらず、特定の場面まで読み進めた場合でもゲーム側からセーブを促してくるといった場面も登場しない。

そのため、ファーストプレイ時で操作をしっかりと把握できていなかった場合、うっかりセーブを忘れたままゲームを終了。その結果、次回起動時にはまた最初から読むハメに…、といったケースも考えられるので注意したいところ。

 

その他、テキストを読み進める内に一定間隔で瞬きや口パクが動作しなくなる、といった演出面での微細な気になる不具合も見られたが、この現象については12月22日公開のver.1.0.3アップデートで改善が行われている。

上記の日付以前に本作を購入した方は、忘れずにアップデートをしておこう。

 

プレイアビリティの面で気になる部分が若干目立つ一方で、ストーリーについてはしっかり見応えがあり、物語や舞台設定の空気感は、2000年代初期の和製PCアドベンチャーゲームの雰囲気を漂わせる。

テキスト中心なノベル寄りのゲーム構成ではあるものの、時にはプレイヤーに推理を要求する場面も登場したりと、ゲーム的な要素もしっかりと備わっている。

 

真っ当なサスペンスに満ちた物語に対して、デフォルメの利いた独特なキャラクターデザインは人を選ぶ部分もあるが、登場人物ほぼ全員にそれぞれしっかりとした見せ場が用意されている点にも注目。

特に主人公組の池田&ねね子は互いに両極端なタイプの2人だが、じゃれ合いながらもここぞという場面では見事な名コンビっぷりを披露。今後も機会があるなら、是非別の作品でも2人の活躍を観てみたいと願うところだ。

 

本格ミステリーノベルながらも、およそワンコインというロープライスで手に取ることができる低価格設定も非常に嬉しいポイント。

本項を目に通し、『シロナガス島への帰還』に興味が湧いた諸氏は、是非本作を手に取って、池田やねね子と共にその事件の奥に隠された真相を追ってみよう。

 

なお、本編でエンディングを迎えると、タイトルメニューに「EXTRA」モードが開放される。

EXTRAは、本編後日談にあたる追加シナリオで、若干ギャグテイストの強いおまけ的なエピソードが展開。

しっかり読んだ場合、およそ3時間程度のボリュームとなっていてかなりの読み応えを持つ。

本編を終えた後には、是非こちらも併せて一読してみよう。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) .5

 

良い点

  • 壮大なスケールで展開する読み応えたっぷりのサスペンスストーリー
  • コンシューマー版は豪華キャストによる全編フルボイス仕様
  • ダウンロード版は720円(Steam版は500円)とロープライスで手に取り易い良心的な価格設定

 

惜しい点

  • 既読スキップの速度が遅く、機能としての使いにくさを感じる
  • 全く別の場面での選択肢が普通のテキストシーンで不意に登場するなど、細かな誤動作を確認している
  • ゲームオーバー判定があるシーンで、リトライ機能が用意されていたりされていなかったりと、仕様に統一性の見られない場面がある

 

 

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