©IP VADIM GILYAZETDINOV
©CIRCLE Entertainment
基本情報
タイトル | The friends of Ringo Ishikawa |
対応機種 | Steam,Nintendo Switch |
販売 | yeo(Steam版),CIRCLE Ent.(Switch版) |
開発 | yeo |
発売日 | 2018年5月17日(Steam版)/2019年4月4日(Switch版) |
対応言語 | 日本語, 英語, フランス語, スペイン語, ロシア語, 中国語 (簡体字), 韓国語, ポルトガル語
Nintendo Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみプレイが可能。ただし、一部ソフト内で言語を変更できる場合有り。 (※青字はSteam版のみ対応) |
備考 | CEROレーティング:D(17歳以上対象)(飲酒,喫煙) |
作品概要
「The friends of Ringo Ishikawa」はロシアのゲーム開発者であるVadim Gilyazetdinov氏主導のインディーゲームスタジオyeoが開発、販売を手掛けるゲーム作品。Nintendo Switch版のパブリッシングをCIRCLE Ent.が担当。
本作のゲーム内容は2Dスタイルのアクションアドベンチャー。プレイヤーは高校生の石河倫吾(いしかわりんご)の視点で、仲間や級友たちと共に高校3年目の秋という節目の期間を過ごしていく。
80年代における日本郊外の町を想起させる一地域を舞台に、オープンワールド形式でゲームが展開。不良キャラらしくケンカに興じるだけでなく、体力造りや学業に取り組む、アルバイトをこなす、読書に耽る、研究に参加して奨学金を受け取る、といった自由度の高さを持ったゲーム内容がウリの1つだ。
操作方法
(※Nintendo Switch版)
JOY-CON(左) | |
上下左右ボタン | 移動、(椅子/ベンチ付近で↑or↓)座る |
Lスティック | 同上 |
Lボタン | ステータスメニュー |
ZLボタン | |
-ボタン | (長押しで)ゲームの終了 |
JOY-CON(右) | |
Rスティック | |
Aボタン | 決定、テキスト送り、(長押し中↑)腕組み立ち、(長押し中↓)ヤンキー座り、(R長押し中)パンチ(牽制) |
Bボタン | 戻る、喫煙/煙草を投げ捨てる、キック |
Yボタン | |
Xボタン | |
Rボタン | (長押し中)防御/攻撃モード切り替え、(腰掛け中)本を読む |
ZRボタン | |
+ボタン | 一時停止 |
作中ではゲーム内で紹介されない特殊操作が多数用意されている。別項目で紹介。
ゲームシステム
特殊な操作
作中では特定の場面やオブジェクトに対してのインタラクティブ時にのみ発生する特殊なモーションがいくつか存在する。以下に代表的なものを列挙。
(A長押し中)↑ | 腕組み立ち |
(A長押し中)↓ | ヤンキー座り |
ベンチ、椅子などの近くで↑or↓ | 着席。(桟橋の場合は腰を下ろす)
本を持ち歩いている場合は、Rボタンで読書モードに突入することができる。 |
手すりなどの近くで↑or↓ | 自宅の隣エリアにある橋の欄干など、一部の場所に限定。 |
A+B | ジャンプ。(※このアクション自体は冒頭チュートリアルに説明あり)
鉄棒や雲梯に向かって使うと、各運動モードに突入する |
(倒れた相手の近くで)↓ | 馬乗りで掴みかかった状態になり、Aボタンでカツアゲ。一定額のお金を奪い取ることができる |
時刻と時間経過の仕組み
本作では経過日数を「〇Day」といった形で示される。現在の日数は日付が変わった瞬間に表示される他、Lボタンメニューの上部項目で曜日と共に確認することができる。(例:『SA, 6』であれば、”6日目 土曜日”を表す)
作中の1日は現実時間と同じく24時間制だが、通常はおよそ8秒経過毎に10分刻みで経過していく。読書や研究中の際は、一時的に時間経過が速まる。
また、運動による各種トレーニング、校内授業、自主勉強、ビデオ鑑賞時などの場合はイベントシーン終了時に1時間~2時間単位で一気に時間経過が行われる。
パラメーター
HP | 体力値 | STR | 力 |
Lvl | キャラクターのレベル | VIT | 体力 |
Exp | 経験値 | SPD | 速さ |
REF | 防御 | ||
K.Pow | キック攻撃力 | K.Def | キック防御力 |
P.Pow | パンチ攻撃力 | P.Def | パンチ防御力 |
T.Pow | 投げ技攻撃力 | T.Def | 投げ技防御力 |
※Lvlの上限は10で、それ以降はExpの数値も変動しなくなる。
※〇.Pow、及び〇.Defの計6項目は経験値ゲージ制になっており、戦闘時に同じカテゴリに分類される技を相手に命中させる事で経験値が上昇。ゲージが満たされるとレベルアップする。
基本的にNPC扱いとなる仲間キャラクター達においてはLvlが上がることはまずなく、パラメーターが顕著に変動するのはほぼ倫吾だけ。
場数を踏んで強くなる事で仲間たちの頼もしいサポート役として活躍できるが、多数を相手にするとあっさりとやられてしまう事もあるので注意しよう。
空腹度と食べ物
時間経過や一日辺りの行動は、倫吾の空腹度に変動をもたらす。空腹度はFULL、SATED、HUNGRY、STARVEの4段階で表され、表示が右のものへと向かうほど飢えた状態へと傾いていく。
空腹状態下では戦闘時に各技のキレが悪くなるなどのマイナスな影響が見られるが、その一点を除くとデメリットはほぼないため、喧嘩っ早いプレイをしていない限りは最悪放置していても大きな問題はない事が多い。
空腹度は食事をとることで飢えを満たすことができる。具体的には、店内での食事と持ち運びが可能な食べ物アイテムの摂取の2通りの方法がある。
なお、アイテムとしての食べ物は種類を問わず、最大で合計8つまでしか持つことができない。
“8種類ではなく8つまで”というところがポイントで、例えば刺身定食を5個、ハンバーガーを3個持っている場合はそれ以上他の食べ物アイテムを購入することができない、という点に注意。
喫煙について
煙草を1本以上所有している場合、立ち状態、または腰掛け状態でBボタンを押すと煙草を取り出して喫煙を開始。再びBボタンで吸い殻を投げ捨てる。煙草の残り本数はLボタンメニューの上部メニューで確認することができる。煙草の補充は残り本数が0になった際に町の自販機、またはバーテンダーの伊藤を通じて購入が可能。
プレイ中に文字情報として伝えられることはないが、喫煙中は体力の自然回復速度が高まるといった隠し効果がある。ヤンキー座り動作と組み合わせた場合であれば、効果率は更に上昇する。と言っても、回復量はゲーム内の10分単位間隔でもほんのわずかなので過度な期待は禁物。
友人を仲間に加える
倫吾の友人である将、四郎、吾郎、健の4人は学校内で見かけた場合、話しかけた際に「加入する」を選ぶと仲間に加えて共に行動することができる。
本作では本編進行時やプレイスタイル次第で他校生とのストリートファイトが展開することがあるが、Lvlが低い段階で倫吾単独で他校生に喧嘩を売るのは自殺行為に等しい。そのため、ゲーム前半は仲間の力を存分に借りるのが良いだろう。
一部の例外を除き、各登場人物達の一日辺りのルーティーンは大体決まっているため、日付が変わっても平日の同じ時間帯であれば同じ場所で遭遇することができるが、本編の進行度合いに応じていつもの場所にいなかったり、仲間に誘おうとしても加入しない場合もあるので注意。
戦闘について
他校の不良生徒から因縁をつけて殴られる、または先にこちらから手を出した場合は、それを合図に戦闘状態へと突入する。
戦闘モードに入ると画面左上に体力と気力値を示すゲージが表示されると同時に、Aボタンでパンチ、Bボタンでキックによる基本攻撃を繰り出せるようになる。また各種スキルを習得している場合は、対応操作によってそれぞれの技を繰り出す事も可能だ。
戦闘から離脱したい時は敵を放置して、エリア外に出る事で自動的に戦闘終了となる。ただ、仲間(NPC)が残って戦っている場合は、早い段階で引き返さないと自動的に解散となってしまうので注意。
なおもう一つ重要な注意点として、戦闘モード中はLボタンが機能しないようになっている。これにより、スキルの入力方法の確認や食べ物の摂取といったLボタンメニュー一連の機能を一時的に使用することができなくなってしまう。多彩な技で戦い抜きたいのであれば、覚えた技の操作にはあらかじめ慣れておこう。
倒れた場合のペナルティ
喧嘩に敗北してHPが0になった場合や、不眠の時間が余りにも長く続くと倫吾は力尽きて倒れてしまう。この場合は自室からの再スタートとなるがその際、強制的に時間が半日分程度進んでしまうというペナルティを負ってしまう。
翌日にのみ見られる何かのイベントがある場合、起き上がる時間次第では予定が大きく狂ってしまう事にも成り兼ねないので気を付けよう。
戦闘中に倫吾以外の仲間(NPC)が倒れてしまった場合は、戦闘終了後に近くに寄って起こすことができる。ただし、HPは一桁台のままの復活となる上に、プレイヤー側で自由に回復を働きかける事もできないという点には注意。
登場施設の一例
自室
郊外にあるアパートの一室が倫吾の住処だ。
以下では自室内で実行できる各アクションを簡単にまとめてみた。
机付近でA | 五科目から1つを選んで自主勉強が可能。1時間と引き換えに選択科目の勉強度が最大2%増加 |
本棚付近でA | 所有する本の中から、持ち歩く本を1つ選ぶことができる。選択中の本は項目の末尾に「in use」の表記が点灯する |
ベッド付近(奥側)で↓ | ベッドに腰をかけ、Rボタンで持ち運び中の本を読むことができる |
ベッド付近(脚側)でA | 就寝の準備を行う。起きる時間を指定した後、Aボタンで決定。 |
Lボタン | メニューの「保存」項目を選ぶ事で、手動セーブが可能。 |
作中での進捗状況は基本的にオートセーブによって保存されるが、自室はゲーム内で唯一手動セーブが可能なエリアとなっている。
オートセーブと手動セーブは別枠として扱われるので、あらかじめ作っておくことで進行中に発生した不意のトラブルを防ぐといった効果もある。手動セーブは定期的に行っておこう。
また、テレビやゲーム機といった家電製品を別途購入することで、利用できる機能が拡張される。どちらも値の張る商品だが、本作に臨む上では一度は試してみて欲しい。
学校
倫吾が通う高校の校舎内にある主な施設や特徴を以下で紹介。
教室
解放時間は平日07:00~20:00(=通学可能な期間)
倫吾のクラスである3-2の教室は校舎3階(階段を3度上がった階)の東側にあたる。西側の3-1の教室では四郎や健の姿を確認できる場合があり、『仲間』を選択することで共に行動することができるようになる。
特定の時間帯で教室にいる際、自分の座席(窓際最後尾の席)に座る事で授業が開始される。時間割は以下の通り。
MO | TU | WE | TH | FR | SA | SU | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
一限目 | 文学 | 歴史 | 物理 | 歴史 | 数学 | テスト | ― |
二限目 | 物理 | 数学 | 化学 | 文学 | 化学 |
(※『文学』は自室の勉強メニューにおける『文献』に該当。恐らく翻訳のブレと思われる)
時間割に添った科目による授業が自動的に進行していくがこの時、Aボタンを長押ししている間は授業内容の書き取りを行い、授業終了時に長押ししていた時間に応じて授業科目の勉強度パラメーターが上昇する。
また、方向ボタンを各方向に押す事で机に向かう倫吾に色んな姿勢を取らせることができる。これらの姿勢はサボリ行為として見做される事から、書き取りアクションとの併用はできない。
土曜日には一限目と二限目の時間を丸々使ったテストが実施され、参加した場合は翌週以降に職員室で『獲得する』を選んだ際、成績に応じた額の奨学金を受け取ることができる。
ある程度勉強していれば手軽に最高額を受け取ることができるため、生活費の捻出に非常に重宝する。色々と買い物をしたいのであれば、ゲーム前半~中盤はなるべく参加するようにしておこう。
職員室
解放時間は平日07:00~20:00(=通学可能な期間)
職員室では平日に限り、教師の町田と出会うことができる。上述にもある通り、毎週土曜に実施されるテストを受けた場合は翌週以降「獲得する」の項目が追加され、テストの成績に応じた額の奨学金を受け取ることができる。(最大¥10,000)
また、一度でも好成績を収めると「研究」の項目が追加。これを選ぶことで論文の製作作業へと移行する。20:00になると学校から締め出される関係もあり、満了には膨大な時間がかかるが、完成後に提出すると大金を獲得することができる。
図書室
解放時間は平日07:00~20:00(=通学可能な期間)
図書室では司書の奈美を通じて書棚から本を受け取り、読むことができる。特定の条件を満たす事で速読が可能となり、およそ2倍のスピードでページを消化できるようになる。
ただし、図書室用の本を読めるのは図書室内に限定され、持ち出すことはできない。また、20:00を過ぎると締め出されてしまうため、ページ数の多い本は読破に日数がかかる点にも注意。
体育館
体育館は基本的に複数の部活動が利用している関係で、時間帯や曜日によって発生イベント内容が入れ替わる。(※イベントの入れ替わりの関係で、時刻によって入れないタイミングもあるので注意)
柔道部 | 月、水、金15:00~17:00 |
空手部 | 平日18:00~20:00 |
演劇部 | 上記以外の放課後(日曜除く) |
無人 | 上記以外の時間帯
(日曜を除いた主に午前中~授業時間中) |
柔道部に限り、トレーニングを通じてSPを獲得することができる。また、「学ぶ」を選ぶとSPと引き換えに各種投げ技のスキル習得が可能。
屋上
解放時間は平日07:00~20:00。(=通学可能な期間)
特定の時間帯では吾郎が滞在している事があり、仲間に加える事で共に行動することができるようになる。
また、条件を満たすと卓球台が設置され、仲間同士でミニゲームの卓球をプレイ可能になる。
街のお店
以下では街中にある施設の内、その一部を紹介。
食料品店
食料品店では一部の惣菜や飲料系の食べ物アイテムを購入する事が可能。取り分け刺身定食は¥1260と高価だが、1つ食べるだけで空腹度を一気にFULLまでもっていくことができる。
また、扉前にある自販機では煙草を買うことができる(¥440)。補充したくなった時はここを訪れるといいだろう。
ボクシングジム
毎日08:00~21:00。トレーニングを通じてボクシングスキル(パンチ)用のSPが増加。所要時間は1時間。
学ぶを選択する事で各種ボクシング系列のスキルを選んで習得することができる。(要SP)
フィットネス
毎日08:00~21:00。トレーニングを通じて最大HP値の上昇を見込める。所要時間は1時間。
1回辺りのトレーニングには¥1,000の費用が必要となる点に注意。
レンタルビデオ店(アルバイト)
開店時間は毎日12:00~20:00。
アルバイト時の勤務時間は月、水、金の13:00~20:00となっており、1回までであればサボり行為が免除される。シフトは柔道部の日程ともろにかぶるので、併行で参加できない点には注意。
一度シフトに入ると7時間弱拘束される事になるが、終業後に日当として¥4,000を獲得できる。
書店
開店時間は毎日12:00~20:00。店員の男に話しかけることで本の購入が可能。ラインナップは図書室のものと100%異なっているが、こちらの販売品は実際に購入して持ち歩くことが可能となっている点で異なる。
購入済みの本は自室の本棚へと並べられ、棚の中から1冊選んで持ち歩くことができるようになる。
公園
鉄棒や雲梯の近くでジャンプ(A+Bボタン)すると、各器具にしがみ付いて懸垂が可能となる。
Aボタンの押し具合をタイミング良く調節して腕の屈伸を連続で行っていく。次第に倫吾が疲れを見せ始めて、腕が上がらなくなった時点でやめるとLvlに応じた分、最大HPが増加する。
鉄棒と雲梯でそれぞれ1日に1回ずつ実行可能となっているので、時間を見つけてフィットネスと併せてコツコツ続けている内にHPが異様に高い倫吾になっているかも―?
プレイ後の感想
「The friends of Ringo Ishikawa」は不良少年達が繰り広げるドラマを題材にした「くにおくん」シリーズのような世界観と、2Dドットのビジュアルとオープンワールドの様式を取り入れた自由度の高いゲームシステムが特徴の一つだ。
ストリートファイト要素や80年代の日本を意識した世界観や時間の概念などを含めて、「シェンムー 第一章 横須賀」をどことなく彷彿とさせるところもある。作中で使用されているBGMはLo-Fiやチルといったダウナーな雰囲気のものが多く、さながらアウトローな登場人物たち同士の鬱屈した心情を表現するかのようでもある。
不良グループのリーダーというポジションにある石河倫吾ではあるが、プレイヤーの取る行動次第では様々な経験を積むことが可能となっている。勉強に勤しみテストで好成績を収めて奨学金を受け取ったり、レンタルビデオ屋でアルバイトに従事したり、ボクシングジムやフィットネスでトレーニングに精を出したり…など、1日の限られた時間を活用して色んな体験が出来るのがゲームとしての魅力ポイントである。
一方、物語を進めていきたい場合、本編内で導線らしき導線が敷かれていない事が多く見られ、次に向かうべき場所を教えてくれる機能が備わっていない事も手伝って次の目的を見失い易いのが困りもの。この仕様は時に、時間通り物事を進めたいというタイプのプレイヤーにとっては陥り易い罠として機能する事がある。
特に、”目的地に辿り着いても時間帯が合っていなければ進行しないイベント”があるのがひときわ厄介で、関連NPCから事前に日時を指定されるケースもあるが、一部の例外を除いて基本的にゲーム側からのアプローチはない。筆者はラストシーン目前で見事にこれに引っ掛かり、その結果、進め方が分からないまま延々と無意味な日数を送り続けるループに嵌る羽目となった。
ファーストリリース版で既に色々なゲームコンテンツを楽しめる充実ぶりを見せながらも、Steam版では2025年現在も2人同時プレイへの対応、新エリア実装、乗り物や魚釣りといった追加要素がアップデートによって増え続けているというから驚きだ。(※上記追加コンテンツについては、残念ながらNintendo Switch版は現在のところ対象外となっている)
こういった多彩な遊び要素が用意されている点も本作の魅力的な部分ではあるのだが、プレイヤーに対して作者が真に見せたかったのは恐らく本編物語の方に比重が大きいものであると考える。この点については、実際にプレイヤー各位で確かめて頂きたいところだが、最後までプレイし終えた時の感覚はまるで一冊の文学作品を読み終えたかのような充足感だった。
実際に作中のゲーム要素として”読書”が登場するが、図書室の場合は室内で、書店に並ぶ本であれば購入後に1冊持ち歩き自室のベッドや町中のベンチ、桟橋といった腰を掛けられる場所であれば好きに読み進めることができる。
本の内容をプレイヤーが実際に読めるわけではないのが残念なところだが、習慣化することで”活字好きな不良”というキレモノな石河倫吾として振る舞うことも可能で、一部の本の読破後には専用の会話イベントも用意されていたりと実に細かい。
といった具合に、作中には大小含め様々なイベントが随所に散りばめられているが、なまじ自由度の高い作品であるだけに、一周プレイでその全てを確認するのは困難。細かいところまで味わい尽くすべく、繰り返しプレイして1つでも多くのイベントを見つけていくのもまた一興な遊び方となるだろう。
喧嘩、勉強、恋、挫折、苦悩― 青春の日々を送る内に、三種三様な生き方を見つけていく石河倫吾とその友人たち。物語の果てに倫吾が辿り着く結末とは―。
「Arrest of a stone Buddha」、「Fading Afternoon(消えゆく真昼)」といったVadim Gilyazetdinov氏の他作品をプレイ済みで、作風が肌に合う、という方にとっては本作「The friends of Ringo Ishikawa」はマスターピースと言うべき一本に仕上がっている。是非お試しあれ。
評価
個人的スコア(10点満点中) | 8.5 |
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良い点
- 不良学生同士の友情、ドラマを題材に一人の孤高な男の生き様を描いた物語
- 文学的要素を絡めた、高い芸術性を感じさせる科白回し
- ストリートファイト、授業や部活動への参加、トレーニング、アルバイト、読書など多数のプレイ要素によって自由度が限りなく高い
惜しい点
- ゲーム内で詳しく言及されない特殊操作が幾つかあり、プレイヤー側で色々試してみないと気づき辛い
- 各種イベント発生への導線が分かり辛く、条件に気づかない場合はゲーム日数を何十日過ごしても結末へと至れない状態に陥る危惧がある
- 自室のベッドで休む毎にオートセーブされる仕様につき、ケンカに負けたり睡眠不足で力尽きると保存状態が自動的に上書きされてしまう(※別途、手動セーブデータのバックアップを取る事が大事)
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