ぶん殴れ!恋愛ゲーム - プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

スポンサーリンク

©AlignmentSharp

 

 

基本情報

 

タイトル ぶん殴れ!恋愛ゲーム
対応機種 Nintendo Switch
販売 AlignmentSharp
開発 同上
発売日 2025年9月25日
対応言語 日本語, 英語

Nintendo Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみプレイが可能。ただし、一部ソフト内で言語を変更できる場合有り。

備考 CEROレーティング:B(12歳以上対象)(恋愛、暴力)
スポンサーリンク

 

作品概要

 

「ぶん殴れ!恋愛ゲーム」は日本のゲームスタジオAlignmentSharp(アラインメントシャープ)が製作、販売を手掛けるゲーム作品。

本作は同社が手掛ける初の恋愛ゲーム(?)。プレイヤーは高校1年生の名栗文(なぐりふみ)の視点となり、学生生活を送る日々の中で生徒会長にして先輩の周防翔馬(すおうとうま)との交流を重ねていく。

 

オーソドックスなゲームシステムだった前作『マージ世界の錬金術師』とは打って変わり、今作はインパクト十分なその表題からもかなり異色な作風となっている。アラインメントシャープの公式Xによると、「正直思いついたので作ってみたが誰向けなのかよくわかってません」との開発サイドからの味わい深いコメントも寄せられている。

配信開始日となる2025年9月25日の時点ではNintendo Switchのみでのリリースとなっており、他プラットフォームでの展開予定については不明。

 

リンク:Alignment-sharp(Official Site)

リンク:AlignmentSharp(X(Twitter))

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン 項目の選択、(錬成画面でのボード上で)カーソル移動
Lスティック 移動
Lボタン 【準備パート】(設定メニューで)タブ切り替え
ZLボタン
-ボタン 【準備パート】タイトル画面へ戻る

 

JOY-CON(右)
Rスティック 【追跡パート】カメラ操作
Aボタン 決定

【追跡パート】銃

Bボタン キャンセル

【追跡パート】地雷設置

Yボタン 【追跡パート】手榴弾
Xボタン 【追跡パート】バズーカ
Rボタン 【準備パート】(設定メニューで)タブ切り替え
ZRボタン
+ボタン 設定メニュー

 

ゲームシステム

 

ゲーム内のパート構成

本作は全7つのステージで構成されている。各ステージは「自宅」、「追跡」、「交流」の3つのパートで構成されており、タイトルメニューでは到達した範囲内で、開始ステージを自由に選ぶことができる。

(※文中で使用している「追跡パート」や「交流パート」などの各名称は、筆者側で用意した暫定的なものとなります。ご了承下さい)

各パートについては以降、順を追ってそれぞれ詳しく紹介。

 

自宅メニューについて

「買い物へ行く」選択では、ショップで「追跡パート」で使用可能な武器アイテムの購入が、「格闘ジムへ行く」ではトレーニングで新たな必殺技を習得することができる。両パートについての詳細は後述。

どちらのメニューも取引や習得には一定額のお金(¥)が必要となるが、初期状態では一文無しであるため、「交流パート」を通じて資金を稼ぐ必要がある。

ゲーム開始時点ではまずは「休む」を選択して、最初の追跡、及び交流パートへと突入しよう。

 

買い物について

「買い物に行く」を選択する事でショップメニューへと切り替わる。ここでは所持金と引き換えに、追跡パートで使用する各種武器アイテムを購入することができる。

 

単発銃(おもちゃ)

命中時にスタミナを減らすことができる。(マシンガンは長押し中連射可)

購入毎に単発銃(おもちゃ)、ライフル(おもちゃ)、マシンガン(おもちゃ)と最大3段階に変化

バズーカ(おもちゃ)

相手に向かっていく誘導弾を発射する。威力大

1度のみ購入可能。

手榴弾(おもちゃ)

投擲後、着弾した場所で爆発する

1度のみ購入可能。

地雷(おもちゃ)

相手が近くに来ると爆発する地雷を設置。1ステージ毎に使用回数に制限あり

購入1回毎につき最大所持数が+1

上記のアイテムは各アイコンの右上に表示された英字がそのまま対応ボタンとなっている。

いずれも「追跡パート」において翔馬の足止めに役立つ効果を持っており、命中時は対象のスタミナゲージを消費することができる。

バズーカ(おもちゃ)と手榴弾(おもちゃ)は買い切り商品につき、一度購入後は売り切れ状態となる。

地雷(おもちゃ)のみ各ステージでの設置数に制限が設けられているが、その他の武器については弾数制限はなし。

 

格闘ジムについて

「格闘ジムへ行く」では、所持金と引き換えに文自身の強化が可能。購入1回毎にLvアップと共に必殺技を1つ習得することができる。

各必殺技にはいずれも専用のボタン入力操作のコマンドが割り当てられており、これらのアクションは「交流パート」で改めて使用することになる。一度覚えれば、以降のステージでも継続して使用が可能。

購入を重ねる度に必要額が段階的に上昇するため、新たな技の習得にはより多くの費用がかかる形となっている。

 

追跡パート

校舎は三階建てで、各階の両端には階段が備え付けられているといったシンプルな構造になっている。廊下の途中には扉が見える事があるが、全て飾りで入ることはできない。

このパートでは画面右上のミニマップで位置を確認しつつ、赤の光点の位置まで移動して先輩に追いつくのが目的となる。

先輩はこちらの存在に気づくと全力で逃げだすので、全力で追いかけて接触しなくてはならない。

 

追跡パートでの注意点

ちなみに校舎西側の階段傍には開けたスペース(上画像)が見えるがここはエリア限界に辺り、手前に透明な壁が広がっていて通る事はできない*。(実際にミニマップ上でも壁の外側にあたる)

また、階段から廊下へと続く壁は両端が微かに出っ張っており、付近を移動中の際は引っ掛かり易いので注意が必要だ。

 

(*本作の校舎ステージはゲームアセットによるステージ素材が起用されており、Nintendo Switchでリリースされているタイトルでは「ホーンテッドゾンビ スクール」などでも確認することができる。)

 

スタミナゲージについて

画面左上のSTAMINAはプレイヤーの文ではなく、先輩のスタミナを示すパラメーターとなっている。

ゲージはハンドガンや手榴弾などの各種武器攻撃が命中することで減少。スタミナゲージを全て奪うと翔馬は息を上げ始めて、一定時間その場に留まるようになる。

普通にやっていると中々追いつけない翔馬との距離を詰める大きなチャンスとなるが、この状態は時間経過と共に回復する。あまり離れた位置でこの状態に陥らせた場合、追い付く前に回復されて再び逃げてしまうといった懸念がある。

 

交流パート

先輩に追い付いた後は舞台が中庭や教室へと移り、文と翔馬二人きりによる交流パートへと切り替わる。

本作の本領発揮とも言うべきこのパートでの目的は、会話が終了するまでの間に1円でも多くの資金を稼ぐことにある。

パンチやキック、各種必殺技といったフィジカルな技を駆使して翔馬を攻撃することで、打数に応じた額のお金(単位は¥)が支給される。なお、本パートでの翔馬自身は文との会話は行う反面、移動や攻撃は一切してこないサンドバッグのような役割に徹するスタンスとなっている。

 

必殺技リスト

各必殺技は格闘ジムでの購入を通じて1つずつ、段階的に習得することができる。

(※【】内は入力ボタンの組み合わせ)

【B】雷光弾

(らいこうだん)

【X】爆砕波

(ばくさいは)

【Y】氷月蹴

(ひょうげつしゅう)

【B+↓】雷霆走

(らいていそう)

【X+↓】鉄塊衝

(てっかいしょう)

【Y+↓】千武脚

(せんぶきゃく)

【B+↑】水神爆

(すいじんばく)

【X+↑】烈風刃

(れっぷうじん)

【Y+↑】幻影脚

(げんえいきゃく)

【B+←→】炎龍砲

(えんりゅうほう)

【X+←→】閃光烈火槍

(せんこうれっかそう)

【Y+←→】飛燕連舞

(ひえんれんぶ)

◆モーション一例

   
雷光弾 水神爆
幻影脚 炎龍砲

 

ドロップするお金の割合はヒット数に比例して大きくなるため、途中でコンボを切らさずいかにヒット数を稼ぐかがポイントとなる。翔馬を壁際に追い込んだ状態から打ち上げ系の必殺技を命中させて、空中に浮き上がったら別の必殺技で拾っていく―、といったパターンを意識すると稼ぎやすい。

Aボタンで発動可能な通常技(パンチ)とは異なり、各必殺技は基本的に一連の連携中に一度しか出すことができない。そのため、同じ技のみを連発。使用した技は連携が途切れる事で再び使用可能となる。

また、交流パートではホームメニューとは異なり、習得した技や対応操作の確認ができない。そのため、一つ一つの必殺技がどんなアクションでどの操作に対応しているかは、実際に使用することで対応ボタンを頭に叩き込んでいくしかない。

 

本パートは物語の核である会話シーンも兼ねている事から、ステージ毎に文と翔馬の会話がテキスト形式で展開していく。会話の終了時がそのまま時間切れのタイミングとなっているが、それまでにどれだけ多くのヒット数と資金調達を狙えるかが本作のメインの目的と言えるだろう。

 

ゲームオーバーについて

追跡パートで翔馬に接触できないまま、時間切れになった場合はゲームオーバーとなる。

終盤のステージに向かう程、翔馬の移動速度が向上することで追いつくのが難しくなり、少しずつ難易度が上昇していく傾向にある。

最終ステージにおいては丸腰では捉えることがほぼ不可能に近くなるので、ショップでアイテムを購入して上手く活用しよう。そのまま狙うのではなく、進行ルートを予測して先回りするなどで相手の虚をつく形で使用するといいだろう。

 

プレイ後の感想

「ぶん殴れ!恋愛ゲーム」においてのゲーム目標は、”入学式で見かけた気になる先輩と両想いになること”、と極めて単純明快なものである。

しかし、インパクトの強いそのタイトル名は明らかに本作の内容がネタに全振りしていることもまた明白であり、開始2分でもう何処か様子がおかしいゲーム内容をひとたび前にすれば、プレイヤーはたちまち抱腹絶倒する事必至だ。

“恋愛”という一要素において些か穏やかではない、”ぶん殴れ!”なるノイズが混ざり込むのはいったいどういうことなのか。

 

本作ではゲームパートが3種類に分かれているのが特徴で、「自宅メニュー」では所持金を活用してショップでの武器購入、ジムでのトレーニングを通じて強化のためのセットアップを行う。コミュニケーションの準備を行う。

「追跡パート」ではサードパーソンシューティングのようなシステムで銃器や手榴弾、バズーカを駆使して足止めして翔馬を捕まえるというルールによる鬼ごっこが展開。一定の戦略性を伴い、後半に進むに連れて難易度も上昇するため、これはこれで白熱するパートではある。

しかしながらどちらも比較的有り触れたゲームシステムであるためかこれら自体にはそれほどのインパクトはなく、表題の「ぶん殴れ!」の要素も含まれていない。言ってみれば本編におけるサビ前にあたり部分であり、次のパートへと続くための繋ぎに過ぎないのだ。

 

作中システムの大本命とも言うべきなのが、そこから続く翔馬との「交流」パートだ。

ここでは恋愛ゲームにおける”カップル同士のくすぐったいやり取り”が背景で行われる中、格闘ゲームのトレーニングモードでダミーキャラを相手にひたすら技を打ち込むかのようなスパーリング的なゲーム内容が展開する。

「ぶん殴れ!~」と言う物騒なフレーズも正にこのパートにかかっているものであり、本来交じり合わないであろう”恋愛”と”インファイト”という2大要素の化学反応によるギャップで風邪を引きそうになる。正しく「俺たちは一体何を見せられているんだ…?」状態だ。

 

タイトルといい内容といい、完全に初見で笑いを誘うタイプの作品となっているが、交流パートにおける連携技の組み立て自体は楽しく一定の爽快感もある。

技命中時のヒットエフェクト周りが思いの他しっかり出来ていたり、各必殺技発動時にわざわざ技名をボイスで叫んでくれたり― といった点は、取り分けマイナー路線の格闘ゲームを触ったことがある層にとってはいい味わいとなって映るかもしれない。

(その上で、無抵抗のまま文の技をひたすらに喰らい続けて空高く打ち上げられていく先輩・翔馬の姿は、やはりシュールの極みではあるのだが)

ちなみに本作のストーリーは完全なる一本道で、会話上に重要となるワードは一切登場しない。連続技を決めるという行為に白熱する余り、二人のイチャイチャなやり取りが頭に入ってこなかったとしても何ら問題はないので、安心して(?)コンボ開発に臨んでみよう。

 

1時間程度でクリア可能なため全編ボリュームで言うとかなり短めだが、戦略性を伴う3D鬼ごっこや(意中の異性をサンドバッグと見立てて)ビシバシと技を撃ち込む爽快感、技連携の模索といった独特のゲーム性を楽しめる。

また、他のアラインメントシャープ作品同様に低価格で購入可能な点も評価ポイントの一つ。その分、いかにもな低予算作品という印象は否めないが、内容の独自性で言うと現状他に類を見ない一作であると言えるだろう。

個性的なゲームが大好き、という方は本作「ぶん殴れ!恋愛ゲーム」を是非お試しあれ。

ただし、実際の恋の駆け引きにおいては、間違っても”ぶん殴る”という選択肢を持ち込まないよう、くれぐれもご注意を―

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 7.0

 

良い点

  • 『新感覚の恋愛ゲーム』を謳いつつも、清々しいまでに”ネタに全振り”なゲーム内容
  • 恋愛的やり取りとスパーリングが融合したかのような、交流パートの強烈なインパクト
  • 低価格により手に取り易い

 

惜しい点

  • 良くも悪くもネタ一本釣りな作風で、ゲームの内容やボリューム自体は薄味
  • 【交流パート】チェーンコンボを狙えるか狙えないかで、資金繰りの効率に大きく差が出てしまう仕様となっている
  • 【追跡パート】STAGE6辺りに入るとこちらが決して追い付けない速度で翔馬が逃げるようになり、武器アイテム無しでは捕まえるのが不可能に近い

 

関連記事

©AlignmentSharp     基本情報   タイトル マージ世界の錬金術師 対応機種 Nintendo Switch,Windows 販売[…]

 

 

スポンサーリンク