Helvetii(ヘルベッティ)- プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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HELVETII ©2022-2023 TEAM KWAKWA. LICENSED BY RED ART GAMES AND PUBLISHED BY RAINY FROG CO. LTD.

DEVELOPED BY TEAM KWAKWA. ALL RIGHTS RESERVED.

 

基本情報

 

タイトル Helvetti
対応機種 Steam/Nintendo Switch 他
販売 Red Art Games/レイニーフロッグ(国内コンソール)
開発 Team Kwakwa
発売日 2023年2月3日(Steam版)/2023年4月13日(Nintendo Switch版)
対応言語 日本語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語,ポルトガル語,英語
備考 IARCレーティング:12+(軽い暴力)

 

作品概要

 

「Helvetii」(「ヘルベッティ」)はスイスのゲーム開発スタジオTeam Kwakwaによるゲーム作品。フランスのRed Art GamesがPC版、レイニーフロッグが国内コンソール版にてそれぞれパブリッシングを担当。

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本作はローグライク要素を交えた2Dアクションゲーム。マップがランダムで生成される各エリアを順に攻略していくステージクリア式のゲームデザインとなっている。ガリアの地に蔓延した呪いを解くべく立ち上がった3人の勇者は、冒険の旅を経て力を合わせながら呪いの根源へと迫っていく。

 

題名の「Helvetii」は、かつてのスイス地域圏に居住していたとされるガリア人の部族”ヘルウェティイ族”を指す言葉が元となっており、ガリアの歴史にまつわる古代神話に因んだ神々、魔物が密接に絡み合う特有の世界観で物語は展開していく。

なお、上記一連の題材については、共和制ローマ時代末期の人物であるガイウス・ユリウス・カエサルの著書『ガリア戦記』がモチーフになっている部分もあるようだ。

 

リンク:Helvetii(Official Page)

リンク:Helvetii(X(Twitter))

リンク:Red Art Games(X(Twitter))

リンク:Rainy Frog(X(Twitter))

 

ストーリー

 

(※ゲーム内プロローグより引用)

ヘルウェティイ族は呪いに侵される以前から、既に病に蝕まれていた。

血と暴力と、野心という病に……

その病に駆り立てられ、ある若き軍団長は力を欲した……一人の身に過ぎた力を。

 

彼の欲望と力への飢えは、さらに強い欲望を持ったある男を引き寄せた。

オクタヴィウスという名の背教者が現れ、栄光が手に入ると甘言を弄して、軍団長にある契約を授けたのだ……

下界と天界とを隔てる壁を破壊し、計り知れぬ力を呼び込む契約を。

 

しかし全ては奸計に過ぎなかった。神々の力は、膨大な対価なくしては得られるものではないからだ。

力を求めるあまり盲目となった軍団長は契約を受け入れ、愚かな戦いに身を投じた。

 

程なくして一族は大いなる勝利を収めたが、祝福はその日、厄災へと姿を変えた。

軍団長の体から放たれた呪いは、傷口から溢れ出す血のように拡がり続け、触れたもの全てを歪めていった。

やがて穢れは東の山々に根を張り、その地が呪いの力の根源となった。

 

ほう……私が運命の輪を回すのを阻止しようと、

戦士とドルイド、それに一匹の獣が手を組んでこちらに向かっているだと?

いいだろう……

ならば、地獄の底までやってくるがいい!

 

 

難易度選択

 

難易度について

新たに冒険を始める際は、「ノーマル」と「ハード」の2種類の難易度からどちらかを選んで開始する。

ただし、最初の内は「ノーマル」しか選ぶことができず、「ハード」については難易度「ノーマル」をいずれかのキャラクターでクリアすることで選択が可能。

「ハード」では敵の能力や一戦辺りの出現数、編成が大幅に変化しており、上級者向きのバランスとなっている。更なる高みを目指したいというプレイヤーは、「ノーマル」クリア後に挑んでみよう。

 

シードの生成

作中における「シード」とはいわゆる識別子にあたるもので、ゲームプレイ中にインベントリ確認画面の左上で6桁の数字を確認することができる。

これをメモしておき、タイトルメニューの「シード入力」画面で入力することで、同じマップ構造を保った状態でプレイする事が可能となる。

 

キャラクター

各ステージ開始前に使用キャラクターを選択することができる。この仕様により、本編の途中から異なるキャラクターに切り替えて冒険を続けることも可能だ。

各パラメーターにはシジルや料理系アイテムの効果による上昇分も併せて反映され、[パワー]から[運]までの4種類のステータスには、追加分に赤いマークが点灯(最大+10まで)。ニューゲームで開始する場合はアイテム未所持の状態となる影響で、料理効果による強化分は全て失われたままでのスタートとなる。

ディヴィコ

野心に溢れるヘルウェティイ族の若き軍団長。

持ち前の高耐久度と近接攻撃を活かした戦いを得意とするインファイタータイプ。

レナート

呪いによる腐敗が森中に広がり、その影響でキツネの姿へとその身を変えた半人半獣の青年。

獣の特性を活かした素早い動きとアクロバティックな技が強み。

ナメイオス

大昔に人里を離れ、一人で静かな時間を過ごしていたドルイド。魔法のカラス「カロス」を従える。

潤沢なマナを以て、多彩でトリッキーな連続魔法で敵を翻弄する。

 

操作方法

 

操作方法(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
Lスティック キャラクターの移動
上下左右ボタン キャラクターの移動(サブ)
Lボタン マップ表示(ミニ表示/全体表示)
ZLボタン 召喚1*/(メニュー画面で)左
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック カメラの移動/(押し込みで)挑発
Yボタン 攻撃
Xボタン 特殊攻撃
Bボタン ジャンプ/戻る
Aボタン 遠距離攻撃/決定
Rボタン ダッシュ
ZRボタン 召喚2*/(メニュー画面で)右
+ボタン メインメニュー

 

Xボタンの特殊攻撃は、使用キャラ毎にアクションの内容が大きく異なる。詳しくは後述。

また、ZL及びZRボタンによる召喚1/2アクションは各神々と契約中の場合に限り使用可能となる点に注意。

 

アクション

 

基本アクション

 

各操作キャラクターの基本アクションについては、対応ボタンと共に以下の表で簡単に説明。

移動 ← or →
ジャンプ
段差降り (降りられる場所の上で)B+↓
攻撃(地上/空中) Y(特定の方向に入力中は技が変化)
ダッシュ
遠距離攻撃

ジャンプは基本的に単発使用だが、ゲーム内で入手可能なアイテムの中に2段ジャンプが可能となる効果を持ったものが存在する。

ダッシュは地上、空中の両方で使用可能。遠距離攻撃は全キャラクター共に無制限に使用できるが、一発毎に少量のマナを消費する。

 

 

通常攻撃は地上時、空中時共に連続入力で技がどんどん派生。地上で使用する場合はボタンを押す際、キー上入力、下入力を介した場合もそれぞれ異なる技へと変化する。

ディヴィコの場合は特に上入力で発動可能な「打ち上げ攻撃」(上画像1枚目)はガード状態の相手を浮かせ、無防備状態を一時的に作ることができるといった有用な効果もあり重要度が高い。チェーンを維持する上でも活用できるので、積極的に組み込んでいこう。

なお、下入力に対応した攻撃アクションがある一方で、本作ではしゃがみアクションが存在しない。

 

固有技

固有技はXボタンで使用。使用上の条件は特になく、地上/空中共に自由なタイミングで発動が可能。

名称が示す通り、キャラクター毎にアクションや効果がそれぞれ異なっている。

 

ディヴィコ(強攻撃)

敵の強攻撃の発動前(頭上に「!」マークが点灯中)に命中すると、技を潰すことが可能

レナート(パリィ)

敵の一部攻撃に合わせてタイミング良く使用することで、攻撃を弾いて無効化

ナメイオス(マナバースト)

使用魔法の威力を一時的に向上させる。使用中は少しずつMPが消耗していく

 

使いどころとしてはディヴィコは敵の大技を潰す目的で、レナートはカウンター狙い、ナメイオスは威力向上用の補助的な使い方といったところだ。

キャラ毎の固有技の特徴をしっかり把握した上でそれぞれ戦術に組み込んでいきたい。

 

画面の見方

①:HP ⑤:経過時間(トータル)
②:MP ⑥:召喚UI
③:所持金 ⑦:ミニマップ
④:鍵の所持数

 

ゲームシステム

 

ステージ構成について

本編は全4ステージ構成。各ステージは前半部と後半部の2つのアクトから成り、各アクトのボスを倒して脱出口から外に出ることでアクトクリアとなる。

 

マップの見方

進行中Lボタンでミニマップ(画面右上に表示)、及び全体マップの表示切り替えを行う。

回収可能なアイテムが残っているエリアがある場合はエリアマスが黄色く点灯した状態で表示されるので、アクトクリアまでの好きなタイミングで忘れずに回収しておこう。

 

契約

道中でランダムで発見できる石碑を介し、神と契約することで召喚技が使用可能となる。

契約には一定量の最大HPを神に捧げる必要があり、契約中はこの状態が維持されることになる。違う候補を選びたいという場合は、現在HPの一部を消費してランダムで別の神を呼ぶことも可能だ。

召喚技はマナ消費量や効果が異なる2種類の技を一度に習得する形となっており、説明が青色の効果はZL、赤色の効果はZRボタンにそれぞれ割り当てられる。

 

また、契約中は召喚技とは別に常時発動効果を獲得することができる。「1」という表記があるように、常時発動効果は神と契約するごとに1つずつ、最大3種類まで追加されていく。

必ずしも同じ神と契約を続けなくてはならない、といった縛りは特になく、契約対象となる神の組み合わせは基本的に自由。ただし、契約の際にはその都度一定量の最大HPが犠牲となる点には注意が必要だ。

 

試練

「試練」はランダムで出題される課題に挑戦する自由参加式のチャレンジイベント。

各ステージ中に一度しか挑戦できないが、チャレンジに成功すると褒章としてエリア内の宝箱を開ける権利を得ることができる。

参加必須のイベントではないので、発見時に挑戦するかどうかはプレイヤー次第だ。

 

バトルリザルト

道中、ボス共に一戦毎に戦果に応じたバトルリザルトが表示。殲滅までの時間、最大コンボ数、戦い方に応じて様々なボーナスが加味された上で、戦績ランクがE~Sのいずれかで判定される。

各ボーナスの条件はノーダメージ、チャージ攻撃の使用、コンボ数を稼ぐなど様々で、適当に戦っていても何らかのボーナスは獲得が可能。ただし能力が控え目なゲーム開始直後は、雑魚戦であっても高い戦績を安定して狙うのが少々難しい。

敵の耐久度が著しく上昇するゲーム後半では一戦辺りに時間がかかりがちとなる反面、被弾を可能な限り抑えていけば高い判定を獲得し易い傾向にある。

 

ステージの各アクトクリア時には最終的なリザルトが表示され、獲得した戦績ランクの総合成績によって穢れの核が支給される。

獲得量は基本的に判定の高いリザルトを1つでも多く獲得したり、高い難易度(ハード)で挑戦中の場合においてより増加。

集めた核は各キャラクター用の特性の開放に必要なシジル(印章)との交換に使用することができる。詳しくは後述。

 

ショップ

謎のフクロウが経営するショップでは、手持ちの金貨と引き換えにアイテムを購入することができる。

店頭にはステージ毎に5種類のアイテムが並び、各アイテムは1ステージにつき1度のみ購入が可能。

鍵と妖精のリンゴのみ毎回固定配置で、残りの3項目はランダムでアイテムが決定される。

 

購入可能なアイテム(一部)

簡素な食事 金貨10枚。最大マナ+15、パワー+1
串焼き肉 金貨10枚。最大HP+15、技巧+1
ビッグ・ボブ 金貨25枚。最大HP+30、最大マナ+30、パワー+2、敏捷+2、技巧+2、運+2
金貨5枚。宝箱を開ける鍵をインベントリに1つ追加
妖精のリンゴ 金貨5枚。体力を全回復

料理系アイテムはいずれも使用中キャラの各パラメーターを強化する効果があり、購入を積み重ねることで各ステージを優位に進めることができる。

また、いずれのアイテムもアクトクリア前であれば好きなタイミングでショップに訪れての購入が可能。ボス討伐後に体力の消耗が著しい場合、ショップに妖精のリンゴを買いに戻って体力を全快してから次のステージに挑む、といった戦略的な進め方ができる。

 

宝箱

敵を殲滅した際、宝箱が出現する場合がある。

宝箱で主に入手できるのはHP、MP回復アイテム各種や金貨など。稀に鍵が出現することもある。

 

宝箱の出現率については、バトルリザルトの良し悪しは特に関係せず完全にランダム。

ショップと同様、一度出現した箱はその場に残り続けるため、アクトクリア前であれば好きなタイミングで回収が可能だ。

 

鎖で施錠された石の箱(試練の褒章箱と見た目は同じ)を開ける場合は鍵が1つ必要となる。

中には所持するだけで特殊な効果が発動する様々な貴重アイテムが含まれていることも…?

 

インベントリの確認

入手したアイテムはポーズメニューの「インベントリ」から閲覧が可能(アイテムを1つも入手していない場合は選択不可)。

アイテム説明と共に各効果も一挙に確認できるので、何をどれだけ所持しているのかをチェックしたくなった際には迷わず開いてみよう。

 

休憩とギャンブル

アクトを2つ攻略する毎にインターバルとして3人のキャンプの様子を描いたシーンが挿入。キャンプでは仲間との会話を楽しんだり、「休息」、「ギャンブル」、「戻る」の3つの項目を選択可能。

「休息」を実行した場合は、ある程度の量HPを回復した状態で次のステージへと進行。「戻る」を選んだ場合は、途中経過を保存してタイトルメニューへと戻ることができる。

 

「ギャンブル」では3つのダイスを投げ、出目の合計を“11以上”“10以下”かのどちらか予想してベットするといったシンプルなルールで、勝利すると所持金を増やすことができる。

3つのダイスは最初に1つだけ振るのだが、この段階で残り2つの出目を予想してベットを変えることも可能だ。

負けてもこれといったデメリットはないが、ギャンブルを選んだ際は休息の効果(HP回復)を得る事ができない点には注意。

 

特性&シジルについて

タイトルメニューの「シジル*」では、ゲーム内で集めた穢れの核と引き換えに、キャラクターの特性を開放することができる。

解放したシジルの各効果はゲーム開始時から恒常的に反映される形となっており、冒険中に食べ物で強化したパラメーターとは違ってゲームオーバー後に初期化されてしまうこともない。

本編が難しいと感じるようでも、能力の底上げを行うことでゲームクリアに少しずつ近づくことができる。そのためにも、どんどん本編をプレイして穢れの核を集めていこう。

(※Sigil。英語で「印章」「紋章」を意味する)

 

プレイ後の感想

「Helvetii」はこれまでのゲーム作品分野における題材として比較的珍しい「ガリア戦記」を世界観に据えた、ステージクリア型のファンタジックアクションゲームだ。

“絵画調グラフィックの2Dアクション”という本作のゲームデザインは、「ドラゴンズクラウン」や「十三機兵防衛圏」でお馴染みヴァニラウェア製ゲーム作品群を彷彿とさせる。

筆者が最も似ていると感じたのは同社製作のWii、及びプレイステーションVITA用タイトル「朧村正」(2009、2013)で、エリア切り替え移動式のステージ構造や連続攻撃によるチェーン要素、バトル後のリザルトシステムなどは特に近いものを感じるところだ。

 

3人の操作キャラはそれぞれ使い勝手やプレイスタイルが明確に分かれる性能をしており、三種三様のプレイ感を楽しめる。

中でもドルイドのナメイオスは変幻自在な魔法の使い手で、中距離~遠距離攻撃を得意とする。使役するカラスを中心とした各種攻撃アクションは技の軌道が読み辛く、安定したチェーンを繰り出すには慣れが必要な上級者向けキャラクターだ。

テクニカルな立ち回りは苦手というプレイヤーの場合は軍団長のディヴィコで食べ物を中心に購入、最大HPを盛って耐久力を高めた上で高威力のチャージ攻撃を主体にした力押しによる攻略が本編クリアへの近道となるだろう。

 

絵的な美しさに一番に目が行きがちな作品ではあるが、良好な操作性やスピーディーなゲーム展開など多方面において快適な内容で、シンプルにアクションゲームとしての質も高い。本編は1周辺り1時間程度でオールクリアが可能と、ゲームボリュームについてもダレてこない程良さ加減。

今回、1キャラクターで本編クリアといった段階まで遊んでみたが、結果、目に余るような不具合にも遭遇せず終始スムーズにプレイできた。ローカライズについてもテキストの破綻や不自然さは一切なく、申し分のない出来だ。

 

攻略面については強化要素が導入されていることもあってか、穢れた核の入手を経て特性を少しずつ習得してからでないとまともに進めるのは少々難しい。といっても難易度「ノーマル」については、アクションゲーム経験をそれなりに持つプレイヤーであれば、十分に攻略可能なバランスとなっている。

 

多彩に変化する技を組み立てながらのチェーンコンボが気持ち良さを生み出す、爽快感も兼ねた2Dローグライトアクション「Helvetii」。個性的な3人の勇者の中から、自分と相性のいい性能を持ったキャラを見つけ出して、是非連続チェーンを極めてみて欲しい。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 8.5

 

良い点

  • チェーンコンボを取り入れた爽快なバトルシステム
  • ヴァニラウェア製タイトルを彷彿とさせる絵画的な美しいグラフィック
  • 滑らかなキャラクターモーションと良好な操作性で、プレイ中のストレスは少ない

惜しい点

  • 強化要素前提のバランスにつき、ある程度特性を獲得しない内は全編攻略は少々困難
  • ゲームオーバー後は各アクト内で獲得した料理系の強化要素を全て奪われた状態で、一からのスタートとなってしまう
  • 全編に渡ってステージが狭く、マップのランダム生成要素があまり存分に活かされていない印象を受ける

 

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