樹海迷路(Nintendo Switch版) ー プレイ後の感想と作品解説【レビュー】

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©致意 2026

 

基本情報

 

タイトル樹海迷路
対応機種Steam/Nintendo Switch
販売致意
開発(同上)
発売日2026年1月21日(Steam版)/2026年3月12日(Switch版)
対応言語日本語, 英語, 中国語 (簡体字), 中国語 (繁体字)

Nintendo Switch 2(日本語・国内専用)では日本語でのみプレイ可。ただし、一部、ソフト内で言語を変更できる場合があり。

備考IARCレーティング:16+(激しい暴力)

 

作品概要

 

「樹海迷路」(じゅかいめいろ)は上海のゲームクリエイター致意氏が製作、販売を手掛けるゲーム作品。ジャンルはサウンドノベル。

怪談系VTuberとして活動中の少女・霜月時雨(しもつき しう)はとある噂の真偽を確かめるべく、”Vlogの撮影”という名目で友人の波立良志(はりゅう りょうし)、アドバイザーの柳生隆太郎(やぎゅう りゅうたろう)と共に、富士山麓の蒼木ヶ原樹海へと向かう。

 

サイエンスフィクション要素を盛り込んだサスペンス系ノベルゲームとして好評を得た「神無迷路」に続く作品で、主人公やヒロインなど一部の登場人物は続投。

前作の特徴の1つでもあった「かまいたちの夜」シリーズを彷彿とさせる人物キャラクターのシルエット演出は、リアルタッチなCGモデリングへ一新。また前作同様、テキスト内のキャラクターの台詞に該当する部分には須らく、声優陣によるボイスが挿入される仕様となっている(オプションでオンオフが可能)。

 

リンク:致意(X(Twitter))

 

ストーリー

 

(※ストアページ紹介文より引用)

 

「富士山麓に、来世を研究するという機関があるらしい」

そんな不穏な噂に興味を抱いた霜月時雨は、主人公・波立良志を誘い、蒼木ヶ原樹海の奥地へと足を踏み入れる。


ただのVlog撮影のはずが、森に入った瞬間に状況は一変した。

霧雨の夜、方向感覚を失い、霜月は忽然と姿を消し、良志もまた、もう一つの“現実”へと迷い込み、奇妙な精神病棟へと導かれてしまう。


そこにいる者たちは、皆、狂気めいた言葉を口にする。

「ここは夢だ」

「ここは異星だ」

「ここは死後の世界そのものだ」――。

 

真偽の境界が崩れる混沌の中、良志は深く翻弄され、やがて不可解な殺人事件に巻き込まれていく……。

 

 

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
Lスティック選択肢の選択
上下左右ボタン(同上)
Lボタンバックログ表示
ZLボタンフローチャート縮小
-ボタンしおりを辿る

 

JOY-CON(右)
Rスティック(フローチャート画面)カーソルの移動
Aボタン読み進める*
Bボタンスキップ
Yボタン自動モード
Xボタンメニュー
Rボタンテキストを隠す
ZRボタンフローチャート拡大
+ボタンしおりを挟む

(*携帯モードプレイ時は、画面タッチでも同じ効果となる)

 

ゲームシステム

 

※ゲームシステムの大部分は前作「神無迷路」と共通している事から、紹介記事の一部に過去の同作紹介記事と重複する内容を含んでいます。あらかじめご了承下さい。

 

ゲームの進め方

「樹海迷路」のゲーム構成は、画面上に随時表示されるテキストを読み進めていくスタンダードなサウンドノベルスタイル。基本的にはAボタン1つだけで読み進めていく事が可能となっている。

特定のシーンで出現する選択肢では候補の中からいずれか1つを選ぶことでルートが分岐し、場合によってはその後の展開にも大きく影響していく。

バックログを確認したい場合はLボタンで呼び出し。過去に同じジャンルを一度でもプレイしたことがあれば、自然に馴染むシステムであると感じられるはずだ。

 

メニュー画面、フローチャートシステムについて

本編プレイ中、Xボタンでメニュー画面が展開。登場人物や舞台となる地下研究所の地図の確認、各種設定もこの画面上から行える。

また、メニュー画面左側には辿って来た物語の道筋が「ノード」という構成単位を軸にフローチャート方式で表示されるようになっており、一度通ったノードや分岐はフローチャート上に記録され、自由に選んで遡ったり先の展開に進んだりと自由に行き来することができる。

未到達のエンディングやまだ選んでいない分岐の回収にはこの機能をフルに活用していこう。

 

しおりについて

フローチャート画面の下部にある小型メニュー内の項目「しおりを挟む」にカーソルを合わせてAボタンを押すと、メニューが表示。現在開いているページにしおりを挿むことができる(最大で3つ)。

挿んだ場所にジャンプしたい場合は、同じメニュー上から「しおりを辿る」を選び、スロットを選択すればOK。

特定の段落毎にノード単位で区切られているフローチャートとは異なり、既読の範囲内であればお気に入りの箇所を記録した上でブックマーク済みの段落へピンポイントでジャンプすることができる。

お気に入りの段落であったり、次周プレイ時のショートカットなどを理由に手軽に読み返したいという時は、フローチャートと上手く併用してみよう。

 

心印について

一つの結末を迎えた際に、「心印」が手に入ることがある。心印を入手したタイミングで、本編内の何処かにある”ロックされた選択肢”を開錠することができる。

 

ただし本作を初めてプレイする場合、各心印は実際に手に入れてみるまでは何処の選択肢のロックに対応しているのかは分からない。先の展開を見るためには一つでも多くの心印を手に入れるために、様々な分岐ルートを模索しながら様々な結末をその目で確かめていく必要がある。

 

登場人物

 

(※下記表内の人物紹介文はゲーム内テキストを参考にしていますが、ネタバレを含む箇所を一部省いて簡略化しています。)

波立 良志(はりゅう りょうし)本編主人公。21歳男性。

二度の入試に落ち、ついに浪人を諦めた。現在は霜月家に居候し、雑用をしながら仕事を探している。

気が小さく臆病だが、根は真面目で誠実。ただし、時々常識外れの行動で周囲を驚かせることも。

霜月 時雨(しもつき しう)19歳の個人勢・怪談系VTuber。列車事故をきっかけに良志と出会う。

冷静で機敏だが、オカルトや都市伝説に異常なまでの興味を持っている。将来の夢は父のような学術研究者になること。

柳生 隆太郎(やぎゅう りゅうたろう)24歳。VTuber運営の外注業務に携わっている。霜月に依頼され、Vlog撮影のサポートを担当。

口が悪く少し自意識過剰なところもあり、人付き合いは苦手なタイプ。

村上 賢一(むらかみ けんいち)42歳。強面で屈強な見た目に反して、根は陽気で人懐っこい元暴走族。

樹海の地形に精通している経験と知識を以て、霜月たちのガイドを担う。

市川 春斗(いちかわ はると)13歳の学ラン姿の少年。

自称「どこにでもいる普通の中学生」で、同年代に比べて落ち着いた話し方をする。

何か目的があって、富士樹海へとやってきたようだが…。

篠崎 葵(しのざき あおい)新任の臨時教員。担当は国語。

教え子である市川春斗の妹が樹海で失踪し、捜索を手伝うため2人で樹海へと向かった。

礼儀正しく生徒には優しく接する一方、冷静な判断力や身体能力の高さも兼ね備えており、野外行動にも長けている。

織田(おだ)業界を震え上がらせる「織田部隊」の首領。

持ち前の非情さによる心理的圧迫や尋問を得意とし、弱みを見せることはない。圧倒的な威圧感で、人を本能的に退かせる。

Vlade Moore(ヴラデ・ムーア)アメリカ出身の研究員。匿名板の書き込みを通じて学んだらしく、特有の訛りは残るものの、かなり流暢に日本語を話す。

職業的で無機質な印象を持った人物で、笑顔にも研究者特有の冷静さを覗かせる。

アインシュタイン世界的に著名な天才的物理学者の名を自称する人物。

気ままな口調で細かい事を気にせず、人当たりが良い。記憶力はあまり良くないため、日記に書かなかったことはすぐに忘れてしまう。

西沢 健吾(にしざわ けんご)一日中難しい顔をしており、何かを企んでいるような雰囲気を漂わせる人物。

「国際刑事」を自称しており、本人は必死に隠しているつもりだが、周囲の人物達のほぼ全員が知っている。

真面目過ぎる話し方が逆に可笑しみを誘う。

白井 忠蔵(しらい ちゅうぞう)日に焼けた年齢不詳の男性。とある場所で出会った主人公の介護スタッフを務める。

いつも笑みを浮かべ、冗談めいた口調で誰にでも気さくに接するが、自分のことは語らない。

慧蓮(えれん)53歳女性。

90年代のバブル崩壊によって失業したことで、生活が困窮。しかし、友人に紹介された「モークシャ教会」への入信後、一般信者から中核メンバーへと登りつめた。

自ら信奉する理念を深く信じており、理想のためなら何もかも犠牲にすることをためらわない。

 

 

プレイ後の感想

2024年に配信された「神無迷路」を履修済みなプレイヤーにとっては、同開発者が手掛ける待望の新作サウンドノベル「樹海迷路」。本作では富士山麓の蒼木ヶ原樹海*を舞台に、サイエンスフィクションを題材とした物語が展開する。

今作のグラフィックはリアルタッチのフルCGによって描かれており、各人物は顔立ちや容姿をはっきりと確認できるようになっている。しかしながら、前作の特徴的な青色の人物シルエット表現が気に入っていた身としては、ノベルゲームとして比較的ありふれた映像表現になってしまった点に少々の名残惜しさも覚える。

(*舞台のモデルは名前から見て、山梨県の”青木ヶ原樹海”であるものと思われる。)

 

サウンドノベルゲームとしての完成度は前作「神無迷路」からの変わらぬ高水準ぶりを覗わせており、前作を若干上回るものの800円という良心的な価格設定も嬉しいポイント。

オプション周りやフローチャートなどの各機能を含めて前作の時点でUI周りのデザインは洗練されており、ゲーム内テキストの書体をあらかじめ用意された3種類のフォントの中から選択可能な部分もそのまま流用されている。(なお今回、当記事内で掲載しているスクリーンショットについては、個人的に最も見栄えが良いと感じた「クレー One」設定で書体を一貫している点をあらかじめご了承頂きたい)

 

一般的なサウンドノベル作品同様、物語の展開は選択肢を選ぶことで分岐していくが、ゲームの仕組み上初回プレイでは大団円へと向かう事はできず、ロックされた選択肢を選ぶために必要な「心印」を集めるために理不尽な最期を迎える結末を何度も迎えなくてはならない。そんな数々のバッドエンドはバリエーションも豊かでプレイヤーを飽きさせないものとなっているが、選択肢の時点で突拍子もない内容のものも目立つ。

肝心なストーリー面に関してはサスペンスやサイエンスフィクション要素を一応は含んでいるものの、推理的なゲーム要素は前作に比べると抑えめとなっている。前作を履修済みである前提で物語を読んだ感想としては、全体的な展開やバッドエンドの内容なども含めてクセが強く、あくまで筆者個人の好みとしては前作の方が満足度が上といった感想に落ち着く。

また、本作を楽しめるかどうかのポイントの1つとして、他責思考の傾向が強い”主人公・波立良志の性格”を受け入れられるかどうかに依るところは大きい。この点は前作の時点で覗かせていた彼の個性だが、今作では事あるごとに表に出てしまう機会も多く(特に物語後半は顕著)、プレイヤー視点では悪い形で目立ってしまっている。

 

その他、本作にはおまけモードとして「フォトモード」なるものが存在しているのだが、このモードは本編から打って変わってサードパーソン方式の3Dアクションのような形で展開し、空間内を散策して被写体を見つけたらLボタンで撮影する、といったものだ。

筆者がこのモードを本格的にプレイしたタイミングは全ての分岐ルートを解放したオールクリア後なのだが、肝心の操作性があまり良好と言えず、被写体となる撮影対象自体の種類の少なさ、本編とこれといって連動性がなかったりとコンテンツとしては少々乏しさを感じてしまう。

 

ただし、開発者のXによると”Nintendo Switch版では樹海モデルの再現が難しい”といった事情が説明されており、同プラットフォーム版はロケーションが屋内に変更された形での実装となっている。本モードは開発側としても一押しのポイントなのか、移植の際にも「どうにかして入れたかった」という苦労が垣間見えるが、ノベルゲームのおまけとしては必要性をあまり感じられない内容に収まっているのが惜しまれるところ。

 

コンプリートまでの所要時間は7~8時間といったところで、この点については、プレイヤ―個々の読むスピードや全文をボイス込み(オプションでオフにすることも可能)でじっくりと堪能するかどうかに依るところも大きい。

ストーリーについては多様な要素を盛り込みすぎていて前作以上のクセの強いものに仕上がっており、サイエンスフィクションを始めとした作中で扱われるテーマも専門的で人を選ぶ部分が強いといった懸念はあるが、物語の後半~終盤にかけては盛り上げるポイントできっちりと盛り上げてくれるため、その点の満足度はしっかりと味わうことができる。

 

物語自体は本作のみで独立したものとなっているが、波立と霜月の関係性や一部シーンの描写において”前作「神無迷路」ありき”といった描写も含まれるので、未だ前作に触れていないという方はなるべく先にそちらを遊んでおく事を推奨させて頂く次第だ。

「神無迷路」を楽しめたという前作履修者は勿論の事、サイエンスフィクションを盛り込んだノベルゲームに興味がある、というプレイヤーは本作「樹海迷路」を是非お試しあれ。

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中)8.5

 

良い点

  • 実写テイストのBGとフルCGモデリングによる人物造形
  • 各人物の台詞部分はキャストによるフルボイス(オプションでオフにすることも可能)
  • 前作「神無迷路」で培われた、サウンドノベルとして洗練されたゲームデザイン

 

惜しい点

  • 多様な設定を盛り込んだストーリー展開は前作以上にクセが強いものとなっている
  • 他責傾向の強い主人公・良志の性格はある意味では人間らしいと言える一方で、プレイヤー毎に好き嫌いが分かれる懸念も
  • (Nintendo Switch版)個別モードとして存在する”フォトモード”の内容が薄く、あまり必要性を感じられない

 

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