ワールドエンド・シンドローム ~海街を舞台に展開する恋愛+伝奇ミステリーADV

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© ARC SYSTEM WORKS/TOYBOX Inc.

 

(※2023年4月9日加筆修正)

 

※本作はミステリー要素を含む内容となっています。

作品の紹介にあたり、物語の核心に迫るような記述は避けておりますが、記事内では登場人物の基本情報やチャプター構成の説明について、最低限必要となる範囲で触れています。

上記の点を踏まえた上でお進み下さい。

 

 

基本情報

 

タイトル ワールドエンド・シンドローム
対応機種 Nintendo Switch/PlayStation4/PlayStationVita
販売/開発 アークシステムワークス/TOY BOX Inc.
発売日 2018年8月30日(三機種共)
備考 CEROレーティング:C(15歳以上推奨)(セクシャル)

レーティング上の記載はないが、本作はサスペンス要素も含む内容となっている

 

作品概要

「ワールドエンド・シンドローム」(「WORLDEND SYNDROME」)はTOYBOX Inc.が開発、アークシステムワークスが販売を手掛けるゲーム作品。本作は架空の海街を舞台に展開する、恋愛要素と伝奇ミステリー要素を備えたビジュアル&テキスト形式のアドベンチャーゲームだ。

 

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“100年に一度、蘇った死者が生者達に紛れて惨劇を引き起こす”という「黄泉人伝説」が伝わる海街「魅果町」(みはてちょう)。電車に揺られて一人、この町へとやって来た主人公(名前変更可能)の少年の視点でゲームは展開。

プレイヤーは7~8月というひと夏の時間をこの町で、様々な人物達との交流と共に過ごしていく。

 

リンク:ワールドエンド・シンドローム(公式サイト)

リンク:金沢十三男@TOYBOX(企画&プロデューサー Twitter)

 

操作方法

 

(※Nintendo Switch版)

JOY-CON(左)
上下左右ボタン カーソル移動(マップ/メニュー画面)
Lスティック (Tips表示中)スクロール
Lボタン オートモード/(メニュー表示中)項目切り替え
ZLボタン
-ボタン

 

JOY-CON(右)
Rスティック
Aボタン テキスト送り/決定
Bボタン キャンセル/UI非表示、表示切替
Yボタン バックログ表示
Xボタン メニュー
Rボタン 既読スキップ/(メニュー表示中)項目切り替え
ZRボタン
+ボタン

※一部の操作はプレイ中、「メニュー」でキーコンフィグが可能。

 

登場人物

 

(※担当声優名は敬称略)

※最低限の情報のみ記載しています。より詳細な情報はCharacter | ワールドエンド・シンドローム 公式サイトでご確認下さい。

 

楠瀬 舞美

(くすのせ まいみ)

 

(CV:東城 日沙子)

 

魅果高校に通う2年生でテニス部のエース。

校内の両性からの人気は高く、サバサバした性格で細かい事を気にしない。

顔馴染みこそほとんどないが主人公とは従兄妹の関係で、彼女の叔父の別荘へと転がり込んだことで、一つ屋根の下での同居人という関係となる。

 

甘奈 未海

(あまな みう)

(CV:井澤 詩織)

 

魅果高校に通う2年生にしてミス研ことミステリー研究会の部長。

寡黙な性格で口数は少なく、成績優秀な反面運動は苦手。

学生たちの憩いの場となっているカフェ・パスティーシュでは従業員として日々、兄の大和を手伝っている。近年、祖母を亡くしている。

 

神代 沙也

(かみしろ さや)

(CV:中恵 光城)

 

魅果高校の女学生で、主人公の1年後輩にあたる。

大手製菓会社「神代堂」の経営で知られる魅果町の名家 “神代家”の長女で、一族の間で次期後継者として期待されている兄の壬生を陰ながら支えている。

お嬢様という出生柄、世間知らずな一面を持ち、その純真さから豊かな妄想力が炸裂することも。

 

音無 雪乃

(おとなし ゆきの)

(CV:伊藤 静)

 

出版社勤務の女性記者。20歳。ポジティブな性格で行動的。

町で発生したというある事件に関心を示し、単独での調査へと乗り出していく。

主人公と同じく魅果町外の出身だが、町には過去に一度訪れたことがあり、その際に現地の魅力に惹かれたという。

 

山田 花子

(やまだ はなこ)

(CV:木戸 衣吹)

 

瓶底メガネが印象的な隣町在住の少女。

ミステリー研究会では夏休み限定の部員として、主人公たちと共に活動に参加する。

緊張時には武士口調になるという癖を持っている。

 

二階堂 玲衣

(にかいどう れい)

(CV:木戸 衣吹)

 

国民的アイドルグループ”絶体絶命パンダ”のセンター担当。通称ニカレイ。

映画『ワールドエンド』で主演を務める事が決まり、夏休み期間中は撮影のためにロケ地となる魅果町へとやって来る。

 

麻木 健介

(あさぎ けんすけ)

(CV:山谷 祥生)

 

魅果高校2年の男子学生で、舞美のクラスメート。

空気を読まずに発言するムードメーカーで、転校して間もない主人公に素早く絡んで来る。

アイドルの二階堂玲衣の大ファンで、映画『ワールドエンド』で彼女がロケのために魅果町にやって来ることを何処からか聞きつけ、町内を駆けずり回っている。

 

 

山城 香織

(やましろ かおり)

(CV:沼倉 愛美)

 

魅果高校の女性教師で担当は民俗学。

新たな部活動として自身が立ち上げたミステリー研究会の顧問でもあり、クラスの生徒たちからは”カオリン”の愛称で人気。

著書「ワールドエンド」が大ヒットを起こし、魅果町をロケ地とした映画化が決定。一躍時の人となる。

 

 

甘奈 大和

(あまな やまと)

(CV:沢城 千春)

 

学生に人気のカフェ「パスティーシュ」のオーナー。シスコン気質で、妹の未海を溺愛している。

明るく社交的な性格だが、ドリンクを注文しても何故かオーダー通りの飲み物が届かないという謎のクセを持つ。

護身術マニアを自称する一方で、隠れゲームマニアとの噂も?

 

 

神代 壬生

(かみしろ みぶ)

(CV:白井 悠介)

 

魅果町の名家である神代家の長男にして、大企業「神代堂」の次期後継者候補。

あがり症で大勢の人の前に立つことを苦手としている。

プレイボーイであるとの噂が後を絶たない。

 

 

竜崎 涼子

(りゅうざき りょうこ)

(CV:羅 弘美)

 

魅果町に勤務する刑事。

女子高生連続失踪事件を初めとした魅果町に纏わる一連の事件を追っている。

孤独を愛するソロ気質で、携帯ゲーム機でのシングルプレイやひとりキャンプなど一人で嗜むことができる趣味を多数持つ。

 

辰美 シャーロット

(たつみ しゃーろっと)

(CV:笠原 あきら)

 

人気アイドルグループ”絶体絶命パンダ”の敏腕マネージャー。

映画「ワールドエンド」で主演を務める二階堂玲衣の記者会見のため、彼女のマネージャーとして同行。

彼女が本気で怒った時には流暢な英語を駆使して相手を圧倒する。

 

藤堂 徹

(とうどう とおる)

(CV:喜多田 悠)

 

週刊SPRINGの名物記者。

一度スクープの匂いを嗅ぎ付けると強引な取材をすることで悪評も高い。

二階堂玲衣のスキャンダルを狙っているようだが?

 

森川 九那

(もりかわ ここな)

(CV:吉岡 麻耶)

 

町立病院で入院生活を続けている10歳の少女。

平日深夜に放送されているラジオ番組「ワールドエンド・シンドローム」のパーソナリティ、月丘ひかるのファン。

 

神代 唐一郎

(かみしろ とういちろう)

(CV:横山 遵)

 

名家、神代家の現頭首にして「神代堂」の代表取締役社長。

壬生と沙也の父親で、女性関係の悪い噂が囁かれている。

再婚した妻とは死別している。

 

 

作中では上記以外にも、様々なサブキャラクターが登場。ゲーム進行中に一度でも名前が挙がったキャラクターについては、ゲーム内メニューの「登場人物」項目から概要の確認が可能となる。

 

 

システム

 

マップ画面/イベントについて

8月1日午後から登場するマップ画面では、1日につき午前、午後、夜の3つの時間帯でそれぞれ7箇所ある行き先の内から1つ指定する形式。観光マップ風のデザインにこだわりが感じられる。

1度でも選択した場所は、再度のプレイ以降同じ期日中に登場したキャラクターが予告マークとして挿入されるので、再プレイ時の目安としての利用しよう。

 

行く先では各登場人物のいずれかに纏わるイベントが発生することがある。

例えば舞美の場合は魅果高校や魅果駅前、未海の場合は住宅街の喫茶店パスティーシュ、沙也の場合は海岸通りの神代ホテルなど、攻略対象となるヒロインはいずれも傾向として出現し易いポイントがある程度決まっているので、一人に絞って頻出するポイントへと重点的に通うのが良い。

ほとんどの場合重要イベントについてはゲーム側で導いてくれるので、そのタイミングだけは見逃さないようにしよう。

 

同じ場所でも曜日、時間帯ごとに登場する人物は前後するため、よく出現する地域であってもお目当ての人物に必ず会えるとは限らない。また、重要なイベントは曜日や時間帯指定が決まっている場合がほとんどなので、きっちりチェックしておく必要もある。

イベント開始時は画面左上にEVENTのロゴが短い間表示され、シーン中はフルボイスとなる。各ルート攻略時に必須となる内容のものが多いので見逃さないように。

 

Tips/コレクション

一部の作中用語が「赤文字」で表示されることがあり、これらの用語は発見時にTipsに順次追加されていく。ゲームプレイを通じて合計108用意されたTipsを全て発見するのも本作を深く知る上でのお楽しみ要素の1つだ。

特定の突発イベントやミッションでは、達成後にコレクション対象となるものを受け取ることがある。Tipsを閲覧する上で必要となる”魅果町五色案内書”(パンフレット)各種や神代堂の定番商品など、いずれも魅果町の設定を深掘りするものとなっているので、物語を読み進める際には是非コレクションしてみよう。

 

 

三部構成となる各章について

 

序章

主人公が魅果町へとたどり着くプロローグ部を経て、8月1日を起点におよそ30日の夏休みを同街で過ごす日々を描く。

序章では3人のヒロインが攻略対象となっており、恋愛アドベンチャーゲームの要素を前面に出した構成となっている。

 

本編

序章の計3人のストーリーを攻略後、タイトル画面で「はじめから」を選ぶ事で新たに選択可能となる。序章から新たに2人のヒロインが順次攻略可能になると同時に、それに伴って一部のイベント発生のスケジュールが変更となる。

ゲーム構成は序章と同じく、8月1日からのおよそ30日間を主人公の視点で過ごしていくものだが、追加された2人のヒロインにまつわる物語はミステリー色の強いものや魅果町においての名家の歴史に迫る展開となっている。

 

真相編

序章と本編における全てのストーリーを終えた後、タイトル画面で「はじめから」を選ぶと新たに選択可能となる。本編の後日談でただ読み進めるだけの展開となっており、ここまで明かされることがなかった作中のいくつかの謎へと迫っていく最終章。

 

 

プレイ後の感想

カジュアルなキャラクターデザインに恋愛+伝奇要素を含んだミステリーという組み合わせが印象的な「ワールドエンド・シンドローム」。筆者が本作で特に強いこだわりを感じたのが舞台となる魅果町のディテールにある。

とりわけ景観へのこだわりは随所に見られ、海岸線沿いに佇む海カフェ、木漏れ日とせせらぎの対比が美しい真曳川(まびきがわ)といった夏という季節に良く映えるエリアが揃い、海街の雰囲気を強く漂わせている。

 

そんな魅果町の振興において強い影響力を持つのが大手製菓会社「神代堂」で、作中にはコレクション要素として神代堂ブランドの菓子商品も登場。

二階堂玲衣が出演する「グーチョコぱんだ」のTVCMが実際に挿入ムービーとして登場したり(何処で流れるかは是非プレイして確かめて欲しい)と、面白い形によるアプローチを楽しめる。

 

一方、ゲームシステム面については純ビジュアルノベルというよりはどちらかと言うと90年代のアドベンチャーゲーム的テイストな作りで、本作では主人公の視点で夏休みの1日1日をどういう風に過ごすか(=朝昼夜それぞれの時間帯に何処に行くか)をプレイヤー側で決めながら進めていく必要がある。

コレクション要素が存在することも手伝って、これらを回収する場合は意図的に日々の行動パートで寄り道プレイを行うことにもなり、全編を通じてただ読み進むだけのシンプル操作に徹したノベル形式を期待すると、少々煩わしさを感じる部分も出てくるかもしれない。セーブ&ロードが特定のタイミングでないと自由に行えないのも少し気になるところ。

 

“恋愛+ミステリー”というそれぞれの要素をしっかり満たした上で成っている本作の雰囲気は穏やか且つ何処か儚げで、風に揺れる草木や水面の揺らぎといった町の随所で見られる繊細な映像演出が更なる彩りを添えてゆく。物語を楽しみつつ全編を終えた頃には、すっかり舞台の町そのものに想いを馳せるようになってしまった。

 

パッケージデザインにもなっているキービジュアルに惹かれて本作を手に取ったという方にとっては、最後までプレイすることで心に残る忘れ難い作品となり得るだろう。読後の考察も楽しめる作品となっているので、テキストタイプのアドベンチャーを好む方は恋愛とミステリー、そしてほろ苦い切なさが交錯するひと夏の物語を本作で是非体験して頂きたい。

 

 

 

 

 

黄泉人よ 今宵だけは安らかに―

ワールドエンド・シンドローム

 

          月丘ひかる

 

 

 

 

評価

 

個人的スコア(10点満点中) 8.5

 

良い点

  • ディテールの細やかさや演出を含め、舞台となる魅果町に対する制作側の強いこだわりを感じられる
  • ストーリーライン上、重要なイベントシーンのみボイス対応となっており、テンポ良く読み進めることができる
  • 各章ごとにストーリーの引き方が巧みで、すぐに先が見たくなる構成となっている

惜しい点

  • システム面が若干手の込んだデザインとなっている分、純然なノベルゲームファンの視点で見た場合アドベンチャーパートが返って煩わしく感じられる危惧がある
  • セーブ&ロードを実行できるタイミングがマップ画面のみ(※セーブはテキストシーンの特定ポイントでも発生)となっており、自由なタイミングで行えない
  • 108つも登場するTipsに比べて、同じ収集要素のミッションやコレクションの量が少なく、該当コンテンツ自体の中途感が感じられる

 

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補足情報

 

主題歌/エンディングテーマ

本作の主題歌「Brand-new World」(歌唱:東城日沙子)、及びエンディングテーマ「Unending blue」(歌唱:二階堂玲衣/cv:木戸衣吹)は2曲共に、全ての物語を読了した後に改めて歌詞に目を通すことで、一段と味わい深く感じられる内容となっている。

ゲーム内ではこの2つの主題曲に加えて、ニカレイのアイドルらしさが炸裂する挿入歌「真夏のシークレット -5uk1-」(歌唱:二階堂玲衣/cv:木戸衣吹)を本編の何処かで聴く事ができるので、こちらの方も要注目。

 

体験版

ひとまず「ワールドエンド・シンドローム」の雰囲気を味わいたい、といった方にはまずは体験版がオススメだ。

体験版では序章の導入編となる7月31日までを丸々プレイ可能となっており、記事内の登場人物で取り上げた主要キャラの大半が登場するので、お気に入りのキャラクターを見つけるきっかけにもなるだろう。

体験版は2021年現在、Nintendo Switch/PlayStation4の二機種で配信されているので、購入を迷っている方はまずはチェックしてみよう。

 

魅果町 町内放送

「魅果町 町内放送」は、販売元のアークシステムワークスが公式に提供する「ワールドエンド・シンドローム」販促動画シリーズ。本作のプロモーションの一環として、ソフト発売前から長期に渡って展開した。

本シリーズ内でMCを務めるのは、舞美と未海のCVをそれぞれ担当する東城日沙子、井澤詩織の両氏。ゲーム内情報の紹介やミニコーナーを交えたwebラジオ風の構成になっており、時にはゲストを迎えての和気藹々としたトークが展開する楽しい番組だ。

 

番組は第10回をもって終了となったが、公開分は動画アーカイブとして現在でも公式サイトやYoutube、ニコニコでそれぞれ視聴可能。本作をよりディープに楽しみたいという方はこちらもお見逃しなく。

(※番組内ではお便りメールの募集告知が示唆される場面がありますが、現在は受け付けておりません。)

 

魅果町町内放送 | ワールドエンド・シンドローム 公式サイト

 

 

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